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☆服作り

 アルはふわんとした光に包まれると、一瞬の内にわたしの目の前から消えてしまった。

ログアウトは他の人から見るとこんな感じなのか、と思いながらしょんぼり肩を落とす。

いつもなら、ここで私もログアウトするんだけど、有給を取ってあるから明日もお休み!

ある意味ここからが本番だ♪


「さーて。

 じゃあ、これから生産実験と行くか―!」


 さっき初期の服の耐久を見てみたら、ただでさえ5しかなかった耐久が2まで減っていた。

戦闘でも攻撃なんか喰らってなかったんだけど……。

いつでも着替えられる様に、着替えも用意したいからまずは料理より先に裁縫からかなぁ……。

アルにはもう少しいい服着せてあげたいし。

彼は素敵なイケメンさんだから、着飾らせ甲斐があるに違いない。

……お兄ちゃんと違って、色々と着てくれそうだし。

それに目玉焼きなんかであんなに喜んでたアルに、もっといいものも食べさせてあげたいなぁ……。

その時の彼の様子を思い出しすと、なんだか口元がだらしない事になってしまう。

いかんいかん。

女の子なんだから、もうちょっとなんかこう、同じニヤニヤするんでも違った感じに……。

まぁ、今は服の方を何とかするのが先決だろうし、お料理関連は少しづつ……かな。



 取り敢えずは、今もってる生産スキルでできる事の確認。


まずは『料理』。

体力を回復するアイテムを作るスキルで、LV1でできるのは、『焼き料理』『下ごしらえ』の2種類。

イカ下足君の話からすると、リアルでできるのなら他の料理も作れるかもしれないから、余裕があったら試してみよう。


お次は『裁縫』。

こっちもLV1で、『フェルト縫製』と『裁断』2種類が基礎スキルらしい。

フェルトはほつれないからねぇ……。

確かに縫い物の中では気楽に縫えるかも。

ただ……なんというか、服の素材としては微妙な気がしてしまう。

日本ではあんまり、メジャーな服素材じゃないよね?

外国だとどうだか知らんけど。



 スキルを眺めた結果、商売人のレベルを上げてから裁縫に取り掛かる事に決める。

『裁縫』の補助と言うか素材調達用に、『紡績』スキルが欲しい。

方針を決めたので、早速ギルドに向かってクエを確認してみる。

ちなみに今回請けるつもりなのは、『初級クエスト』。

10回商売人のクエストをやったら出てきたもので、指定のアイテムを納品するものだ。


「やっちゃったなぁ……。」


 クエの中に、『ラビットソテー』と『目玉焼き』があるのを見て思わず呟いた。

先にこれを見てから、行商の値段を決めれば良かった……。


●ラビットソテーを納品しよう●

ラビットソテーを10個以上ギルドに納品しよう!

経験値 一つにつき5 報酬金額 一つにつき60G


●目玉焼きを納品しよう●

目玉焼きを10個以上ギルドに納品しよう!

経験値 一つにつき5 報酬金額 一つにつき40G


 行商で売った値段はラビットソテーが@40。目玉焼きは@30。

転売ならぬ、クエスト用で買ってた人も結構居そう。

ちょぴり涙目だ。

これじゃ、経験値と報酬差額をプレゼントしていたようなもんだよねぇ……。

道理で売れ行きがやたらといいはずだ。

次は気を付けよう……。

このクエは、最低納品数をクリアしていれば納品した数で報酬が支払われるそうなので、わたしは一度に大量に作れるラビットソテーの依頼を請けて、生産施設に向かった。


 今回、ソテーを焼く用にフライパンを買った時についてきたレシピは『ホットケーキ』。

材料を見てみると、ミルクさえ売店で買えば作れそうだ。

後で作る事にしよう。

それにしても、10回使うと無くなってしまうフライパンは結構な消耗品だと思う。

まだ、行商でこういった消耗品を売る人が居ないみたいなんだけど、早く売りに出ないかなー。

そっちの方が、耐久性が上がりそうな気がするし……。

あ、でも、プレイヤーの生産物を行商で買っちゃうとレシピが手に入らないか。

フライパンを買う売店に『焼き物料理 初級編』とかのレシピ集が置いてあるけど、1000G~とちょっとお値段が張る。

リアルの方でならある程度、食材の加工方法は把握してるんだけど、ゲーム内だとリアルにない食材もあるから、一応はレシピを見ておきたいんだよね。

そうすればある程度は無駄な手間が省ける。

まぁ、一度目を通した後なら、レシピは無くてもなんとでもなるんだけど。


 取り敢えず生産施設で100枚もソテーを焼くと、フライパンがお亡くなりになる。

丁度いいところだろうと、一旦施設を出てギルドで納品すると思惑通り商売人のレベルが上がった。早速手に入ったスキルポイントを使って、『紡績』スキルをゲット!

早速スキルの確認を……。



『紡績』LV1 『毛刈り』『鞣し』


 『毛刈り』

 羊やヤギなんかの毛を刈ることが出来る。

 逆に、紡績スキルがないと刈れないらしい。


『鞣し』

 革を柔らかく加工することが出来る。



――おおう……。

  服の素材作りにいいかと思ったんだけど……。

  どうもすぐにそっちの方向で使うのは無理っぽい。


 せっかく、その為にスキルを取ってみたのに残念至極。

仕方ないので、このスキルは暫くお蔵入りだ。

攻略サイトみたいなのを後で検索しておくかなぁ……。

前情報なしで遊びたかったから調べなかったけど、コレはちょっと痛いロスだわ。

ちなみになめしたい毛皮は沢山あるから、服作りの方が落ち着いたら『紡績』も上げて行こう。


 仕方がないので、売店でソーイングセットとフェルトを山程買って縫製スキル上げに取り掛かる。

道具を買った時にもらえたレシピは『ベレー帽』『6枚接ぎキャップ』『チューリップハット』『ショートマント』『かぼちゃパンツ』の五つ。

服のレシピは二つだけだ。

サイズに関しては、ゲーム補正とでもいうんだろうか?

1種類だけでどんな体系の人もカバーできるらしい。

とっても便利。

リアルでもそんな便利な服がるといいのに。

かわいいなぁって思った服があっても、わたしの場合は既製品の服だと見栄えがイマイチなんだよね……。

取り敢えずギルドの納品依頼もチェックしてみると、貰ったレシピは全て納品できるようになっていたから、早速その中でも少なめの材料で作れるベレー帽の納品依頼を請ける事にする。



――そっか。

  最初からレベル上げる用の作業を縫製にしとけばよかったんだなぁ……。



 そこでハタとそう気づいたけど、既に後の祭りだ。

ちょっと時間を無駄にしちゃったけど、気にしない☆彡

料理のスキルがひっそりと上がったんだから、それはそれでイイのだ。

職業レベルもそうなんだけど、スキルのレベルも最初の内はサクサクと上がっていく。


『縫製のレベルが上がりました』


 フェルト製のベレー帽を黙々と50個も縫うと、裁縫のレベル上昇のアナウンスが流れる。

早速レベル2になってから出来るようになった事を確認してみると、『布帛縫製』という項目が増えていて、思わず歓声を上げてしまった。



――これで、まともそうな服に取り掛かれる♪



 布帛って言うのは、一般的に『布』って呼ばれてる織り機で織られた生地の事だ。

基本的に、伸びない布なのでワイシャツとかキッチリした服にも良く使われてると思う。

ちなみに今縫っていたフェルトは不織布とも言って、毛球を型に嵌めこんで押し固め、熱湯で洗濯するとできるっぽい。

あ、この方法は大体こんな感じってイメージだから、このままやっても思ってるのと違う物が出来上がる可能性が高いから気をつけてね?



――この感じだと、次のレベルで覚えるのは『ニット縫製』かなぁ……。



 下着やカットソーに良く使われるニットは、『編み物』だ。

女性用のストッキングもニットの一種。

ほつれづらい物が多い代わりにミョンミョン良く伸びるから、縫うのにちょっとコツが要る。

コレも早く縫えるようになりたいなぁ……。



――暫くは、料理は簡単に沢山作れる物オンリーにして、暫く裁縫をメインに考えようかな?

  アルにも、かっこいい服を着せてあげたいし♪



 ギルドにベレー帽を納品し終え、新しい依頼を請けたわたしは生産施設への道を戻りつつ、ご機嫌で鼻歌を口ずさんだ。

2018/5/24 加筆・修正を行いました。

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