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032-アルベルトではなくアルとして

さて。

色々あったけど、何とか任務は完了。

ジオランドプライムに着艦した俺は、彼をフィオーネ・エレクトリカルに送り届けた。

俺たちは大歓迎されたが、副社長は物憂げなアルベルトを見た瞬間に何かを察し、人払いを行った。


「そうですか........直ちに紛争の準備を行います」

「えっ?」


副社長の返答は、意外なものだった。

ここは法に訴えかけるものだと思っていたのだが......


「現社長を暗殺したのは許容できません。我々の企業同盟に直訴して、紛争を発令する予定です」

「そうですか......」

「そこで、あなたにはもう一つお仕事を任せたいのですが......」


副社長は、俺に仕事を依頼した。

今回の任務の報酬は、その仕事の依頼料も含まれている。

しめて総額1億5千万MSC。

俺の総資産は2億を超える事になる。

正直、今回の報酬の依頼料って、養育費が多分に含まれているような気がする。


「......良かったの?」

「はい」


自動運転のフロートカーに乗り、俺たちは宇宙港を目指していた。

上から照る太陽の光が、時折チューブ型の道路の継ぎ目に遮られて途切れる。

その断続的な変化を見上げながら、俺は呟く。

すぐに答えは返ってきた。

隣にいるアルベルト.....いや、アルは、俺の問いに即答した。


『アルベルト様を、保護してほしいのです』

『保護?』

『危険な旅路を乗り切ってきたあなたにしか頼めない事です。アルベルト様の身分を偽装し、あなたの仲間として加えてください。これから企業戦争が始まる以上、こちらもアルベルト様の影武者を用意して備えます』


大規模な企業紛争が始まるようで、今回の件は巨大な企業同盟――――アライアンス同士の交戦に十分な理由となった。

アルベルトは影武者となり、企業同盟の戦争の道具に仕立て上げられる。

逆に、ただの「アル」となった彼は、俺の仲間として輸送艦オリオンに乗る......そういう筋書きらしい。

まあ、ミッションのアップデートは多少なりともあるだろう。

この依頼は長期継続依頼としてF・EからSELLを経由して発動されており、任務内容は空白。

珍しくない、極秘依頼だ。


「だけど、お客様ではないからね」

「分かってます」


乗せると決めたからには、最後まで責任は取るつもりだ。

もう危険な仕事はこれっきりにしたい。

次はどうするかね......


「例えばだけど、何が出来るの?」

「.......何もできません....」

「じゃあ、何がしたい?」

「僕は何も知りません....だから、経済とか.....勉強したいです!」


経済か......

俺もよく知らないんだけどな。

まあ....それなら。


「弟子として働いてもらおうかな」

「はいっ!」


彼の身分については後日更新が行われるそうで、それまではここ.....ジオランドプライムにて過ごしてほしいとの事だ。

俺はナビに表示された到着時刻を見ながら、帰るころには夕飯だなと思う。


「今日は何が食べたい?」

「か....カレーがいいです.....」

「ちょっと時間かかるけど...」

「食べたいです!」


そんなに言うなら仕方ないか。

俺の数少ない得意料理だしな、腕によりをかけて作るとするか。


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