033-家族として受け入れる
「さて」
「....はい!」
俺とアルは、オリオンの居住区にある和室にいた。
昨日、ここの存在に改めて気づいたので、ここで彼と話をする事にした。
彼も、正座に付き合ってくれている。
「互いに自己紹介をしようと思う」
「....そうですね!」
俺は彼と旅をするにあたって、自己紹介をしておくべきだと思った。
彼と秘密を共有し、確固たる信頼を築きたい。
ただ、俺の性別については気味悪がられるだろうから隠しておくことにする。
あくまで詰められたら弱い部分だけだ。
「お...私は話すと長くなりそうだから、アルからでいいよ」
「はい...僕はその、話した事だけなんですけど...フィオーネ・エレクトリカルの社長がお父さんで、お母さんは僕がまだ赤ちゃんだった時に死んじゃって...ます」
「...そう、なんだ」
時折足が痺れたのか、佇まいを直しながらアルは語ってくれた。
ずっと父子家庭で育ってきたことを。
父親のことが好きだったけれど、その父親はもう居ない。
やっぱり強い子だなぁ、俺だったら折れてしまう。
「お父さんは、よく言ってました。この世の中、大事な人がいつ死ぬかわからないって...だから、早く大人になりなさいって」
「...」
そうして、父親の死と共に逃げ出して、俺に出会って。
見知らぬ環境で、信用できるかもわからない他人の俺に命を預けて。
立派過ぎる...全てを知った今では輝いて見える。
「...これで。僕の話は終わりです」
「うん、よく分かった...ありがとう」
では、俺の話をする時だ。
俺はまず保険を用意する。
「私の話は....その、荒唐無稽かもしれないけど。一応、信じてほしい」
「は、はい!」
「私は、この世界の出身じゃないんだ」
「世界.....?」
「そう、別の世界から来た...っていうべきかな?」
俺の言葉に、アルは疑問符を頭に浮かべるような状態だった。
話が飛躍しすぎたか?
「私は一応、ジスティカ王国出身という事になってるけど、本当は....ずっとずっと遠い場所から来たんだけど.....」
「異次元人ってことですか!? 凄い....科学の雑誌で読んだ事ある!」
異次元人....?
宇宙人の世界版みたいなもんか。
人はいつでも未知に憧れるものだものな....
「それとは少し違うかも。ただ、出身はどこといわれても、説明は出来ない....って事」
「帰りたいって、思ってるんですか?」
「勿論」
だけど、帰る手段がない。
どうやってここに来たかも分からないんだからな。
「まあ、それはおいおいね。......つまり、まぁ....この世界の事はあまり知らないから、知ってる事はなるべく共有してほしいな」
「はい!」
折角和室なので、俺はそこで立ち上がってお茶を淹れる。
備え付けの茶葉はちゃんと日本茶である。
大事に飲まないとな。
「このお茶....どこかで飲んだことあります」
「ん? そうなんだ」
日本茶を見つけるのも目標にするか。
俺は茶を飲み干す。
喉元過ぎれば熱さを忘れる....って言うが、内臓に入っても熱いもんは熱いな...
「明日は買い物に行くよ」
「連れて行ってくれませんか....?」
「危ないから駄目」
ジオランドプライムにはまだ、彼を狙う人間がいるかもしれない。
船だけ残して買い物に行けば、船は取り残されるが....一応警備サービスを依頼しておこう。
警備ドローンと移動式セントリーガンが船を取り囲んで、侵入者を排除するサービスだ。
ちょっと高いが、お金はあるからな。
「欲しいものはある?」
「お菓子.....とか......」
「飴はもうだめだよ、煎餅とかあったら買っておくね」
俺はそう言うと、席を立った。
とにかくこれから忙しくなるな.....
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