280-収監
「起きろ!」
強引に引っ張られて、柔らかい物に頭が叩きつけられ、俺の意識は急速に浮上した。
どこだ...?
目を凝らせば、ピントのぼけた視界がクリアになっていく。
目の前に、三人の兵士らしき男たちの姿があった。
「起きたか、行くぞ!」
「は、はい」
筋肉が硬直している。
ちょっと眠っただけでこうなるのだろうか?
....思い出した。
コールドスリープに放り込まれると聞いて、暴れたら何か注射されて、その後の記憶がない。
少なくとも、技術だけはしっかりしているらしい。
手錠をされて、俺は船の中を歩かされる。
外へ出ると、寒さが肌を打った。
「.....ッ」
「止まるな!」
「....はい」
すぐに室内に入ったが、それでも寒い。
マシにはなった程度で、歯が鳴る程の寒さだ。
施設を下へ下へと階段で降りて行く。
腹が減った、そして寒い。
この先どうなるんだろうか、そう思っていると、セキュリティドアが見えてきた。
分厚い金属の扉だ。
「引き渡し時間は?」
「三分後だ」
寒さで身を屈めて待っていると、セキュリティドアが電子音を立てて開いた。
そして、中から暖気が流れてくる。
暖気と言っても、多少暖かい程度だったが.....
「....っ!?」
『ID照合完了、コレヨリ護送ヲ引キ継グ』
扉の向こうに居たのは、ロボットだった。
アンドロイドのように人間に似せていない、無骨で無機質な形状の。
「では、さようなら。二度と出られない場所で余暇を楽しめよ」
「......」
兵士の声と共に、背後で扉が閉まる。
ロボットたちに、俺は仕方なく従う。
簡単に振りほどけそうに思えるが、身体の各所に武器を装備している。
非殺傷だったとしても、跡が残るかもしれない。
俺は黙って、後について行く。
『ココデ待機シロ』
「....はい」
控室のような場所に案内されて、扉が施錠される。
控室とは言ったが、ソファーの他には何もない。
リラックス防止なのか、ソファーと言っても腰掛けの他には何もない。
寒い。
肌寒い程度で済んでいるから、外よりはましだが。
ロボットは寒くても構わないから、こういう温度設定なのかもしれないな。
罪を犯した人間に与えてやる暖房はない。
そういう事だ。
『立テ。ツイテ来イ』
三十分くらい経ってから、再びロボットがやってきた。
待つのはきつかったが、寒すぎて眠気は来なかった。
このコールドスリープ用の服は、あまりに寒すぎる。
『ココデ、着替エロ』
「.....はい」
渡された服を見て、俺は....ついに実感を得た。
オレンジの服。
服を脱いで、着替えてみると、サイズはしっかり合っていた。
助かる、胸のせいで着れないのは困るからな。
.......服を着ると、若干の焦りが浮かんで消える。
最早、暴れても叫んでも意味はないんだ。
助けを待つほか....ない。
『終ワッタカ?』
「ええ」
俺は来ていた服を部屋に残し、囚人服のまま外へと出た。
多少は防寒になりそうだ。
――――この収容所では、少なくとも凍死させる気はないようだ。
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