249-華のお茶会
俺はどうしてこんな所に居るんだろう.....
と、思ってみたりするわけだが、現実は変わらない。
「リリー様は、どう思われますの?」
「あ、えっと.....すみません、帝国の花については明るくないので」
「そうでしたわね、わたくし達としたら」
場所は帝城の東にある庭園。
そこで開かれる茶会に、俺は招待されていた。
シンデレラじゃあるまいし、彼女のように急に社交界に出ろと言われても無理な話だったが、いつの間にか参加させられる事になった。
そして俺は、この茶会の真の目的を知ることになった。
「王国のような国にもお花はあるのでしょうか?」
「あると思いますよ、見たことはないですけれど....」
「宇宙で暮らす方が花を見慣れないのは当然ですわ、やはり文化的には惑星圏の方が優れているようですわね」
誰が企画したかは知らないが、俺を引っ張り出して劣っているところを見せつける事で、王国は大したことがなく、帝国の文化が素晴らしいと内外にアピールするための行事であるようだ。
まあ、俺は特に構わないが...
普通にコミュ障の俺に話しかけてくるイベントはきつい。
帰ろうかな。
「けれど、リリー様はお美しいですわね...」
「ええ、素直に羨ましいと口にできれば良いのですけれど」
「化粧水は何を使われているのでしょう?」
また質問が来た。
一応、ペルソナに言われて肌のケアは欠かさずしている。
商売人にとっては見た目が全てを決めると言ってもいいからだ。
「ええ、王国産のものを少し。よろしければ少しお分けしますか?」
貴族の反応が見れれば、以後商路開拓もありだな。
そう思っていると、意外と反応が悪くないことが分かる。
正直なのはいいことだと俺は思うよ、知らないが。
「けれど、少し怖いですわねぇ。王国産など、宇宙で作られているのでしょう? 何が入っているかわかりませんわ」
その時、別の令嬢が発言する。
それを受けて、皆の反応が変わる。
どうやら、この場において格が高い女性らしい。
心底どうでもいいが、一応補足しておくか。
「...知らないのであれば構いませんが、こちらは王国の惑星で作られているものですね、すべて人の手で作られているので高価ですが、それだけの価値があると思っていただければ」
「...っ、ええ、そうでしょうね。貴方のような方が使われるものに、悪いものが入っていればそれこそ問題になってしまうでしょうから」
一瞬、そいつの顔が歪む。
嫌われたかもしれないな。
セールストークのつもりだったが、示威行為に水を差したらしい。
権力者に嫌われると国際問題になりかねない。
ここは慎重に相手の反応を見なければ。
「申し訳ありません、平民ですので。ご気分を害されたなら謝罪します」
「か、構わないわ」
度量の広い相手で助かった。
俺は内心溜息を吐く。
地球で英国人が茶を好む理由がよく分かるな、どんな時でも茶は心を癒してくれる。
ティータイムを設けなければ死ぬ人々の気持ちを、よく理解できた。
この胃痛がする時間を早く終わらせようと俺が思った時。
「あら、皆お集まりのようね」
冷ややかな声が聞こえた。
この気配、この間の貴族と似ている。
人に全く興味がない人間の声だ。
「サフィア様だわ...」
「どうして...」
周囲の令嬢たちが一斉に緊張を露わにする。
どうやら、それ程の相手らしい。
逃げるのは無理そうだな。
俺は諦めて、この場のボスと対面する決意を固めた。
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