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ダンジョンの隠し部屋でのんびり生活  作者: 泪
ダンジョンの冬
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共同浴場完成と新しい……

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 連載を始めて約1年、小説の中でも1年の一区切りということで、とりあえずの完結とさせていただきます。

 まだまだ書きたいエピソードもあるので、また続きを書くと思います、その時はよろしくお願いします。


「「「「「「完成だー!!!」」」」」」

 お昼過ぎから取り掛かった共同浴場建築は、ドワーフ村の職人軍団全員+ダンジョンマスター3人+αという人海戦術及び、魔法のおかげで夕方には完成という信じられないスピードで完成した。

 一番時間のかかりそうな湯船と洗い場は、レオンが魔法で作った為10分もかからなかったのと、ブランさんの副官でドリアードのアンさんが、温泉を囲む塀代わりに綺麗な花と紅葉を楽しめる低木を温泉周りにぐるっと魔法で生やしてくれたのが時間短縮の要因ですが。

 だとしても、半日で大きな建物1棟建ててしまう、ドワーフの職人さん達も凄過ぎです。


「じゃあ皆、家に帰って着替えを持ってきて、温泉にはいるべー」

「「「「「おおーっ!!」」」」」

 村長さんの号令で、ドワーフさん達が家に帰って行くのを見ていたら、レオンに肩を抱かれて森の奥の方に連れて行かれます。

「サクラ、レイ、俺達はこっちだ」

 レッカさん達も笑って手を振って、脱衣所に消えていきましたけど、

「私達はこっちって、まさか……レオン?」

「俺達専用の家族風呂をこっちに作ったんだ、レッカもドワーフ達も好きにして良いって言ってたからな」

 おやつの時間にレオン達が固まって、ひそひそ話してたのはこれだったのね、レオンは私達と一緒に温泉入りたがってたけど、他の人と一緒の混浴は絶対嫌がると思ってたんだよね。

「レイー、3人で一緒にお風呂入ろうな~」

「3人? とーしゃまも、かーしゃまも、いっしょ? ワ~イ、うれし~な~」

 あ、私に何か言われる前にレイちゃんを味方につけたわね、しょうが無いなぁもう。


 レオンに連れてこられたのは、共同浴場から歩いて5分ほど森の奥に入った大きな岩の前で、周りに温泉があるようには見えないよ?

「レッカに頼んで結界張ってもらったから分からないか、こっちだ」

 手を引かれて岩の裏側に回ると、共同浴場を囲う塀と同じ低木で囲われた小さな露天風呂と、脱衣所代わりの小さな建物がありました。

 しかも、脱衣所の中には、3人分の着替えとボディーソープまで家から持ってきてあります。

「用意周到ね、と言うか着替えの置いてあった場所よく分かったわね」

「あ~、洗濯物畳んで置いてあった中から持ってきたんだ……」

 この表情から見ると、残りの洗濯物がぐちゃぐちゃになってるのかな、温泉の話を聞いて箪笥にしまう前にこっちに来てしまった私にも責任はあるから仕方ないか。


「体洗ってやるから先においで、レイ」

 レイちゃんの服を脱がせていたら、ぱぱぱっと服を脱いだレオンが抱き上げて洗い場に連れて行ってくれる。

「とーしゃま、おそらがみえる。おそとで、おふろ?」

「そうだぞ、たまには外で風呂も楽しいだろ。サクラも早く来いよ」

 楽しそうに会話する2人の声が聞こえてくるから、私も急いで服を脱いで温泉に向かうと、

「サクラも俺が体を洗ってやろうか?」

 なんて、レイちゃんをモコモコの泡まみれにした、レオンがからかってくるから、

「ふふふ、その前に私がレオンの体を洗ってあげる。いつもお疲れ様」

 と、反撃開始です……あ~、レオンの体って筋肉の付き方が理想的で格好いいなぁ。

「えっ! ちょっ、サクラまじか? 専用の家族風呂、作って良かったー!」

「レイちゃんもとーしゃま、あらってあげるの~」

 レイちゃんと2人でレオンの体を洗い終わると、さっきの宣言通り私の体もレオンに洗われて、3人並んで湯船に浸かります。


 冬の冷たい空気の中、少し温めの白濁したお湯に浸かって空を見上げると、ダンジョンの中なのに満月と星が見える。

「サウスダンジョンは活火山の中にあるからな、昔噴火した溶岩の噴出口の跡にドワーフの村が作ってあるから、太陽や月が見える。ただし外からはレッカの結界があるから、穴が開いてるとは分からねえし入れねえ。まあ、ここまで登れる奴等もいないだろうがな」

 レオンの説明に納得です、活火山だから温泉も出たんだね。


「きもちいいね~、ぽかぽかする~」

 隣に座るレオンの肩に頭を預けて、膝の上ではしゃぐレイちゃんをあやしていたんだけど、さっきからお腹だけが段々熱くなってきてる。

「レオンごめん、レイちゃんちょっと預かって……お腹が……うぅぅ」

 いきなり我慢出来ないほど熱くなったお腹を、両手で押さえて小さく丸まっている私を、レオンとレイちゃんが心配そうに見てる。

「かーしゃま、いたいいたい?」

「サクラ、どうしたら……くそっ、レッカ! ブラン! 今すぐこっちに来てくれ!!」

 2人が何か言ってるみたいだけど、今そっちを気にしている余裕が無い……熱い、痛い……熱い!!


「今すぐ来いなんてどう……サクラちゃん!!」

「急に腹が熱いって苦しみだしたんだ……しかもサクラは魔力無しのはずなのに、サクラの腹から魔力の流れが……」

 ばたばたと走って来る音がして、レッカさんとレオンの焦った声が聞こえる……………ぽこっ?!

 えっ、何、何、これ何~!!! 急に熱さと痛みが治まったと思ったら、お腹を押さえていた両手に何か丸い物が……ざぱっ、とお湯から出してみたら、両手にすっぽりサイズの真っ黒い卵?

「えぇええ~っ、嘘!! レッカ、これって竜族の卵?」

「卵だねえ、あはははは。竜族は子供が出来にくいんだけどね、しかも異種族婚……」

「俺達の子供! サクラ、良くやった、ありがとう!!」

 この卵が、私とレオンの子供? お腹が大きくなったりしてなかったし、普通の出産とは違うけど、本当に?


 なんだか信じられなくて、周りで喜んでいるレオン達を見上げていたら、

「竜族の出産は特殊だからね、ある程度母親の腹の中で育つと、子供自身が魔力を使って外に出てくるんだよ。いきなりの出産は、温泉の魔力回復効果で子供の魔力が、急に溜まったからかもしれないね」

「今はこんなに小さな卵だけど、これから親や周りの魔力を吸って大きくなると殻を割って出てくるわよ、チビドラゴンが」

 レッカさん達の説明を聞いて、じわじわと嬉しさがこみ上げてきて、不思議そうにレオンが持つ卵を見ていたレイちゃんを抱きしめる。

 卵を両手で持って、額に押し当てていたレオンが、にやりと笑ってレイちゃんを見ると、

「この卵は、レイの弟だ。レイは、姉ちゃんになったんだぞ」

「レイちゃん、おね~ちゃん? ワ~イうれしいな~」

 なんて言い出した、レイちゃんは素直に喜んでいるけど、

「もう性別が分かるの?」

「ああ、卵の中からピギャピギャうるせえガキだぜ」

 うわぁ、男の子かぁ。レオンってば、うるせえガキだとか言いながらも、卵を触りたそうなブランさんには渡そうとせずに大事そうに持ってる。


「かーしゃま、レイちゃん、くらくらしゅる」

 卵に夢中になっていたら、レイちゃんが真っ赤な顔でのぼせてしまってた。

「あら大変、レイちゃんこっちでお水飲んで涼もうね。サクラちゃんもいきなりの出産で疲れてるでしょ、レオン運んであげなさいよ」

 ブランさんとレッカさんが、レイちゃんと卵を脱衣所に連れて行ってくれたので、後を追おうと温泉からあがると私も少しくらっとしてレオンに抱きしめられた。

「サクラ、俺の子産んでくれて、ありがとう」

「まだ、あんまり実感がわかないんだけど、私も嬉しい」

 この世界にきてもうすぐ1年、レオンと結婚して新しい家族も増えて楽しい仲間達に囲まれて、信じられないくらい幸せです。

 まだまだ色々な事はあるだろうけど、これからもこの世界で頑張って生きていきたいな。

 初連載で、拙い小説にお付き合いいただきありがとうございました(*´▽`*)

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