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第18話:小さな肯定
ある日の練習のあと、先輩がふと声をかけた。
「少し、良くなってきたね」
何気ない一言だった。
けれど、その言葉は思っていた以上に深く心に残った。
これまで、自分の変化を誰かに言葉にされたことはなかった。
続けてきた時間は、自分の中だけに閉じていた。
それが今、誰かの目に触れている。
その事実が、ゆっくりと実感に変わっていく。
ほんの小さな前進でも、見てくれている人がいる。
それだけで、これまでの時間が無駄ではなかったと思えた。
強い自信ではない。
それでも、消えない小さな肯定が、確かにそこにあった。




