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プロローグ:遠い光
光は、いつも遠くにあった。
テレビの中で輝くステージは、現実とはどこか切り離されていて、自分のいる場所とはつながっていないように思えた。
音楽に合わせて自由に動く体。
観客の視線を受け止める強さ。
そのどれもが、手の届かない場所にあるように感じられた。
それでも、美咲は目を逸らすことができなかった。
まぶしさの奥に、言葉にできない何かがあったからだ。
届かないと分かっていながら、見続けてしまう。
その距離の中で、美咲の時間は静かに動き始めていた。
まだ誰にも気づかれない、小さな始まりだった。




