【第14話】:~気づき……~
程なく退院して家に帰って、Excelの表を見つめた。
あーあ。今月の売上は本当に少ない……。
目標月収40万の半分か……。俺の目標は上がっていた。
ポカリスエットを飲みながら、ぼーっとした頭で、病室で考えていたあの続きをさらに考えた。
今までのこと、最近のこと、そして、これからのこと……。
でも、何も答えは出なかった。
ーーー数日経った頃。
『仁君、会って話したいことがある』
話したいこと?こよりちゃんのいつになく真剣なLINE。
こよりちゃんはうちの近くのコンビニの前で待っていた。
「ごめんね。急に来ちゃって……。なんか、心配で……。」
こよりちゃん?
いつもの明るい笑顔が消えていて心配になった。
「私ね、人に弱いところを見せるのが苦手で……。」
「……うん。」
……最近は、俺もだよ……。
「でもね……、見せて欲しいの!」
くりくりの大きな目で俺の目を見て、彼女は言った。
「私も……、私も……、弱いところも見せるから、仁君も……その……。」
最後の方はもごもごしてて、本当に可愛かった。
「……うん。」
「本当に、無理はして欲しくないの……。大成功待ってるけど……。」
え……?聞き返そうと思うよりも先に、こよりちゃんは足早に去って、くるっとこっちを振り返って、
「また、様子みにくるぞ!じゃあね!」
って言って、いたずらっぽく笑ったんだ。
ーーーそれから、こよりちゃんは時々、家に来るようになった。
「わぁ、仁君、肉じゃが作れるようになってる!すごい、すごい。」
俺の作った肉じゃがをパクリと頬張って、美味しそうに食べてくれた。
俺、すっかり男飯っていうか、家庭料理まで作れるようになっていた。
こよりちゃんが来る日に合わせて、ちょっとだけ、レパートリーを増やしたりしてさ。
一人で食べる飯より、その……好きな人と食べる飯は、何倍も美味しくて……。
仕事も勿論頑張っていた。
だけど、やっぱり、甘くはない現実……。
「……大成功ね……。」
俺、なんで、あんなにハードル上げちゃったんだろう?
テンションが上がって、思わずプロポーズ未遂?をしてしまった、”あの日”を、後悔していた。……激しくね。
だって、無理したら倒れるし、仕事は取りたいし……。
俺、どうしたいのかな……。
ーーーそして……。こよりちゃんが次に家に来た時にボソッと呟いた。
「成功ってなんだろうね……。」
……俺と同じことを考えていることを知った。
To be continued…
※この作品は note 掲載作品の再投稿です(加筆修正版)。




