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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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和平

 無駄に早起きして、のんびり釣りを楽しんだ。ちっとも釣れなかったけど、昨夜のおばあちゃんが、干物を差し入れしてくれた。またいっぱいお喋りしていると、息子さんがもし元気なら、僕ら位のお孫さんがいる年代だそうで、ばあちゃんちに遊びに来た孫を可愛がっている雰囲気を楽しんでいるのかも知れないね。

 お昼の支度が済んだ頃、おっちゃん達が到着した。

「あっ、ばあちゃん!お久しぶり!『月の無い海』の謎、解けるかも知れないぜ!」

ナベさんは、ばあちゃんを知っているみたいだ。

「あら、息子が帰らん時に、調べに来てくれた支部長さんかえ?どうしたんだい?歳取るの忘れてたのかえ?」

おばあちゃんは目を白黒させていた。おっちゃん達の分の干物も持って来てくれて、ランチタイム。

「こりゃ、昼飯にはキツイな!飲みたくなっちまう!」

おばあちゃんの漬物でナベさんは、姉貴と同じような反応をしていた。


 腹拵えが済んで海に出た。バラさんは正確な海図に古の墓で見つけた地図のマークを書き込んで進路を計ってくれた。高速で飛ばして、陸が見えなくなると、

「もうちょい、アッチちゃうか?知らんけど。」

あらたが少し左を指差した。

(どれみ)がバラさんの反応を見ると、軽く頷いていたので、あらたを羅針盤に舵を切った。

 少し走ると視線は直進しているのに、明らかに、カーブの遠心力を感じた。

「舵は、真っ直ぐなのに、この感じは結界です!」

操縦している音が感じるのなら間違いないよね?船を留めて結界と思われる所に愛果と愛葉が赤い魔力刃を飛ばした。見渡す限りの海原にゆらゆらと小島が沢山現れた。島の方に舵を切ると、結界を通過出来た様子で、島々がハッキリ見えるようになった。船着き場は無いので、水中翼がぶつからない程度に近づいて碇を下ろした。カトリーヌの空輸で上陸すると祠があり、中には石碑があって水晶玉が置いてあった。

「黒い力を取り込んでいるみたいね!」

姉貴は子午棒で叩き割ったが、すぐに水晶玉は復活して、線香の煙が立ち上る位に黒い力が透明な水晶玉を黒くしていった。

「台に書いてあるのは魔族の文字じゃ、読めは出来んが、十二鬼将の一人の名じゃ!魂を呼び起こすモノであろう。」

姉貴は子午棒で叩いたがビクともせず、愛果と愛葉の赤い魔力刃も効き目無し。

近くに寄って何かヒントが無いか調べようとしたら、トコトコと茜が歩み寄り、ちょっと触ったら、粉々に砕けた。

 カトリーヌは上空から島々の様子を見てくると、

「真ん中に少し大きいのがあって、その周りに4つ、もうちょい離れてグルッと12個あるよ!」

きっと外側の12個はここみたいに十二鬼将の祠で、内側の4つは四天王だよね?真ん中は魔王?茜が行ったらどうなるんだろうか?先ずは残りの15島の祠を潰して回る。カトリーヌに僕と茜が乗って、ガンガン回った。真ん中の島に、茜を連れて行くか迷ったけど、古の墓からの流れだと、大丈夫に思えたので、思い切って連れて上陸した。

 島の周りには何艘もの難破船が打ち上げられ、おばあちゃんの旦那さんや息子さんの船もあるかも知れない。最後に帰らなかった船も、もう10年以上も前なので生存者は期待出来ないな。

 先ずは、黒い力の何かを浄化しよう。少し登った所に洞窟があり、入口は結界で塞がれて居たけれど、愛果と愛葉があっさりと突破。中には井戸のように深い穴?そして井戸の上に、小さな魔晶石が浮かんでいた。手を伸ばせば簡単に届く位置なので、ちょっと触れて見ると、古の墓や、奈落の谷で感じたような、浄化の実感と、大昔の世界の情景が流れ込んで来た。

「有り難う。良く頑張ってくれた、そなたが消した魔族の力は、人間と闘う為にあとから作った、まやかしの力じゃ。それを覚えた故、人間のと和平が出来なくなったのじゃ。これから産まれてくる魔族達は、人間と共存出来る筈じゃ。あとの事は任せたぞ。」

南国の魔窟で封印を解かれた時の姿だったが、急速に若返り、妖艶な美女は美少女になり、美幼女になった。トコトコと歩いて来たのは、間違い無く茜だった。

「あら、お寝坊さん、やっとお目覚めね!」

風花はヒールしながら様子を見てくれていたみたい。

「夢で魔王に会ったよ、ちょっとお話ししたけど、せいぜい1分だから、今回は早かったんじゃない?」

「「3日間お休みでしたわ!島のキャンプももう飽き飽きですわ!」」

茜も眠っていたみたいで、僕が起きるとすぐに目を覚ました。

 あとの皆んなは、おっちゃん達の手伝いで、難破船の捜索をしていた。遺骨や遺品を回収して船毎に整理して持ち帰るそうだ。島内も調べたら、生きて流れ着いた人達が、何とか生き長らえた形跡があった。遺骨と遺品に加え、遺書も見つかったので持ち帰る。


 港に戻り、漁師達に島の様子を報告した。遺骨等を渡すと、皆んな大喜びだった。泣き崩れる人達を想定していたので、かなり驚いたけど、

「もう、いっぱい泣いたからな、1番新しい仏さんでも、10年は経ってるからな。骨だけでも帰ってくれて、喜ぶしかないさ!」

船の情報から、全員の身元が分かり、それぞれの遺族に引き取られた。


 茜の様子も変わった事無いし、夢の中の魔王は、人間との争いを終えたことを喜んでいた。これで一件落着?きっとそうだよね?

 太陽丸を停める港は、北国でちょうどいい所が無かったので、東国に置く事にした。グルリと、大陸を一周して東国へ。無事港に着いて、魔窟トンネルで北国に帰る。達成感はもちろん有るんだけど、虚無感っていうのかな?これからどうしようって、何も思い付かなかった。

「アパートの家賃収入で安泰や、しばらくのんびりせえへんか?」

皆んなも賛成して、取り敢えず港の傍の宿に泊まった。


「大変なんだ!あらた!聞いてくれ!」

あらたの兄ちゃん達が、大騒ぎで駆け付けた。

「「慈子、退屈しなくて済みそうですわ!」」

「折角若返ったんじゃ、隠居は勿体ないのう。」

「今回はどこの美味しいお酒のませてくれるの?アタシもじっとしてるのは無理ね!」

「わたしは慈子と一緒ならどこでもいいわ!」

「自分も!」

「ウチかてそうや!兄ちゃん、何が大変なんや?」

「次にする事が決まったかもです!」

兄ちゃん達のニュースを聞いて、早速準備に取り掛かった。また忙しくるかもです!

お付き合い頂き有り難うございました。

突然舞い込んだニュースは何だったんでしょう?

慈子達ならきっと解決出来るんでしょうね!

どんな事件なのかは、いつかの新章で。

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