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ノックもせずに入ってきた兄に私は呆れを隠し切れない。


非の打ち所がない兄の唯一の欠点はこのシスコンであることは間違いない。



5歳年上の兄は現在15歳、この春から王立学院に入学予定である。

日本でいう高等学校と思ってもらえるとわかりやすいだろう。

王立学院は王族と貴族、超難関の試験を合格した一般特待生のみが通うことのできる国が管理している学院である。


そう私が転生したこの国には身分制度も存在している。

王族・貴族・庶民・奴隷 主な身分はこの4つである。

その中でも貴族の階級、庶民であれば富裕層と貧民など格差は存在する。


私はこの中でも貴族であり階級は一番上の公爵家に属する。

皇国が誕生した時から存在する由緒ある家柄でもあり、祖母は先代皇帝の妹で血筋も高貴である。


(すっごいお嬢様設定なのよね。作成した人も悪役令嬢に設定もりすぎよね。家柄・容姿・珍しいΩと素晴らしいのに性格は最悪なんだもの)


わがままで自分の思い通りにいかなければ喚き散らし、人を人とも思わないそんな令嬢なのである。

自分より優先される人は許せなくて、ヒロインも自分より目立ってたって理由だけでいじめて最後は暗殺まで考えるのだから恐ろしい。


幼少期は蝶よ花よと育てられたが、まだ少しわがままだけど天使のように可愛い少女

しかし、13歳でΩであることが分かってからはさらに甘やかされて悪役令嬢まっしぐらなのよね。


「クリスティーナ?大丈夫かい?クリスティーナ?どうしたんだいお兄様だよ?もしかして私が分からないのか?あぁクリスティーナが、私の可愛いクリスティーナが!」


悪役令嬢への階段を上らせたのはこの横でずっとうるさくしている兄と今は王宮で仕事中の父の存在が大きい。


この2人は幼少期から天使のようなクリスティーナが可愛くて甘やかしまくる。

それこそΩと分かってからはクリスティーナば欲しいといえば、物から人まで用意するから驚きだ。

まぁ、Ωであり母親も亡くなってしまったクリスティーナが可哀想で甘やかしていたのもあるけれど。


その元凶の兄といえば、


「やはり頭の打ち所がよくなかったのかもしれない。すぐ父上と母上に連絡して別の医師を呼ばなければ。クリスティーナ、大丈夫だよ。お兄様がいるからね。君は何も気にしなくて大丈夫だ。きっとすぐに記憶もどるから安心してくれ」


入室してきた兄の顔を見たまま返事をせず考え事をしている間に私は記憶喪失ということにされているらしい。


(考えるのは後にしないとダメそうね)

(...それにしても)


「うるさい」ボソッ


(!!!まずい!思わず口に出してしまった!)


目の前の兄の顔が驚愕の表情から絶望的は表情に変わっていっている。


(誤魔化さないと面倒くさいことになる!)


「お、お兄様!申し訳ございません。少し寝ぼけていたみたいです!記憶はありますのでご心配には及びませんわ」

聞こえていない可能性もあるのでこれでごまかされてくれたらと早口でいいきる。


「ク、クリスティーナ、それならよかった。ただ、今、その聞き間違いでなければ、うるさいとそう言ったような気が「違いますわ!」」


兄の言葉にかぶせるようにして否定する。

「寝ぼけていて、ぼうっとしていたところに王子様のようなお兄様がいて思わず「嘘みたい」と言ってしまいました。私がお兄様にそんなこというわけないではありませんか」


「クリスティーナ...」

私の言葉を聞いて感動している兄を見てもう一押しだと確信する。


「私が大好きなお兄様にそんなこと言うはずありませんわ」


そう言ってにこりと微笑む


「!!!ああ、そうだね!天使のようなクリスティーナがそんなこと言うはずない。勘違いしてすまなかった!それにしても稽古中に頭を打ったと聞いて飛んできたんたが、無事そうで安心したよ」


兄の服装を見てみると確かにすぐ走ってきたのか、剣の稽古衣装のままだった。

胸元があいている白いシャツに黒のズボンというシンプルな服装だ。

走ってきたからかいつも横でゆるく一つに結ばれているはずの髪は乱れしまっているおり、さらに汗でシャツが引っ付いてしまっている。


(うん、とにかく色気がすごいわ)


「お兄様、私は大丈夫ですから着替えてきてくださいな」

(私の精神安定のためにもぜひそうして下さい!)


微笑みながらそう伝えるとまだ心配そうにしながらも自分の身だしなみが乱れていることに気づき私の頭をなでながら


「そうだね、そうするよ。大事なお姫様の前でこんな格好では恥ずかしいからね」


とウィンクして着替えのために部屋に戻っていった。


私はというとあまりのかっこよさに兄が出ていき扉が閉まるまで息が止まっていた。


「私の心臓もつかしら」


シスコンでめんどくさいけど紳士溺愛タイプは大好物なのだ。



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