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ヴェリタスの最終定理7:エンド・オブ・ヴェリタス  作者: リウ
作られた地獄

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7/13

怨恨6:【正義とはヴェリタスではない!】

イメージソング:RIVER

https://youtu.be/T6G92-bGrKA?si=Cp6dLzbaidG-MXbO

エラーラ、ナラティブ、アリシア、アスナ、ヘレナ。

ヴェリタスの系譜は、定められた可軌の上に沿って、寸分違わずに、その足跡を伸ばしていった。


彼女たちは、ただ、己の内に滾る「正義」のために戦い続けた。傷つき倒れる人々を救い上げ、しかし、時にはその手で、抗う者たちを容赦なく惨殺した。


世の愚者どもは「正義」という言葉を耳にすれば、それが、あたかも時代や理を超えた絶対の正しさであると錯覚する。

他者に譲歩するやさしみを持つ者は、正義の反対側にもまた別の正義があると叫ぶ。


だが、それはあまりにも滑稽な誤認である!


【【【正義とは、真理(ヴェリタス)ではない!】】】


ただ、個人の胸中に巣食う、「偏見」の異名に過ぎない!


かつて、ある閉ざされた東方の島国において、誇りを汚された戦士は、その場で無礼者を叩き斬り、その血で路地を染めることが絶対の理とされた時代があった。


また、科学という「新作の真理(ヴェリタス)」が世界を揺るがし始めた頃、旧世代の権力者たちは自らが愛用してきた「旧作の真理(ヴェリタス)」を脅かす者を邪教の徒として捕らえて惨殺した。


ある時代において正解と崇められた思想は、時が満ちれば悪魔の所業へと反転する。


故に、ヴェリタスの者たちが掲げた正義もまた、同じであった。

ある一面から見れば世界を救う慈愛の真理(ヴェリタス)であったが、別の角度から見れば、世界を無残に磨り潰す悪魔の真理(ヴェリタス)に他ならなかった。


そうして。


世界は、あらかじめ定められた予定通りに、完璧に破滅した。

空は裂け、地は爆ぜ、生命の肉体は原形をとどめぬほどに粉砕された。血と、臓物と、涙と、排泄物が狂乱の渦の中で混ざり合い、世界そのものが巨大なミンチへと成り果てた。


そして、予定通りに。


始祖フウカ・ヴェリタスが世界を元の形へと修復し、予定通りに、彼女はこの救いようのない世界から姿を消した。


すべては「予定通り」であった。


フウカも、エラーラも、誰一人として、なぜ自分たちがこの地獄のような世界で血を流し、激戦を繰り広げなければならないのか、その本当の理由を知らなかった。

人々はみな、目の前で巻き起こる惨劇や不条理に対して、心のどこかで首を傾げながらも、こう呟いて納得していたのだ。


「まあ、そういうものか」と。


彼らは、その血塗られた混沌の世界を受け入れ、時にはそれを誇り高く「愛している」とすら思い込んでいた。


だが、勘違いしてはならない。


それは「愛」などではない。


ただの「慣れ」である。


例えてみようか。


君が、どこかの組織に属したとして、上司や先輩が理不尽に君の頬を殴りつけたとする。そして、後輩を殴って痛めつけることこそが、その組織の古くからの伝統だと教え込まれたとする。

君はその歪んだ理屈に納得などしていないはずだ。

しかし、時が経てば「まあ、そういうものか」と受け流し、同じように後輩に拳を振るうようになる。


あるいは、君の夫が何の前触れもなく君を激しく殴りつけたり、君の妻が君の財布から黙って金を抜き取っていったりしたとする。

君は深く傷つきながらも、波風を立てぬために「まあ、そういうものか」と溜息をつき、言葉を呑み込む。


これは、器が広いからではない。

慈悲深いからでも、優しさに満ちているからでもない。


ただ、痛みに麻痺し、異常に毒された現実に「慣れ」てしまっただけなのだ。


【愛と慣れを混同した世界は、腐臭を放ちながら回り続ける。】


時空の境界線の先の別世界にて。

フウカ・ヴェリタスは、空と海の境界線が溶け合う上空に……浮かんでいた。

フウカの青い瞳は、目の前の海を見つめながらも、遥か次元の彼方にある、元いた世界……新暦の王都へと、深く、深く……思いを馳せていた。


もう、あの世界には戻れない。


戻るべきでもない。


自分という存在は、もう、あちらの歴史から完全に切り離されたのだから。

だが、フウカの胸の奥には、消えることのない冷たい疑問の楔が突き刺さっていた。


人々はなぜ、地獄の中でも、「まあ、そういうものか」と微笑み、慣れという毒に侵されたまま死んでいけたのか。


そして、その狂った世界の裏側で、一体何が因果の糸を引いていたのか。


始祖フウカは、沈みゆく夕陽を浴びながら、静かに、そして冷徹に、歴史の闇に隠された真理(ヴェリタス)を思索し続けていた……。

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