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ざまぁ!?逆ざまぁ!?公爵令嬢と王子のドタバタな茶番劇  作者: しぃ太郎


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5/5

SS 薔薇を愛でる会における上下関係の解釈(なお本人は知らない)


 ――最近、またローザの動きが怪しい。


 ただのお茶会といえばそうなのだが、「男性は参加不可」と大々的に掲げているのが不穏すぎる。


「お前、お前、それ……」


 サイラスが口元に手を当てて、震えながら俺を指さす。


「言うな。これから潜入する」

「は?どこに!?……その格好で!?」

「黙れ、お前も道連れだ。こいつを淑女に仕立ててやってくれ」


 説明するのも面倒だ。

 待機させていた侍従とメイドを呼ぶ。

 あまり時間がない。


「――かしこまりました」

「え!?なんで!?いーやーだー!!脱がさないで!!」

「俺一人こんな格好だと恥ずかしいだろう」

「いや、一人でも二人でも恥ずかしいよ!?」


 一時間後。


 ――意外と似合っている俺と、隣に並ぶただの女装男が、鏡の中に完成した。


 ◇◇◇



 私は今日も、フローラに誘われたお茶会に参加している。


 その名も『薔薇を愛でる会』。


「男性は参加不可」という不思議な原則のもと、社交界で話題の男性たちについて語り合う会だ。


「ローゼリア様。……最近、殿下はどうですか?」

「そうね。この間、サイラスに上着を着せてもらっていたわ」


(侍従なんだから当たり前だけど)


 昨日見た二人の様子を話す。

 それだけで皆さんが喜んでくれるので、少しだけ嬉しい。

 きっと、王子様に夢を見ているのね。


「きゃーーー!!」

「絵になりますわ!きっと距離も凄く近くて……」

「ええ!ええ!サイラス様がそっと囁くのですわ。ほら、風邪をひきますよ。……心配させないでください、とか!」


 ヒートアップしていく女性陣。


 私はいつも、ルクス様とサイラスの情報を聞かれるだけだ。

 お菓子が美味しいから、文句はないけれど。

 それにしても、悲鳴が上がるお茶会。

 とても不思議な光景だった。


 ――そこで、フローラのおっとりとした声が響いた。


「皆様、やっぱり殿下が上でしょうか?私は、逆転するのも……胸がドキドキしますわ」


 一瞬、場が静まりかえる。


「キャーー!!それは……!禁断!」

「え……!サイラス様が!?俺様!?」


 皆さん、殿下とサイラスの話を聞きたがっていたけれど、上?逆転?


 ――なるほど。

 私は、ようやく話の要点が掴めた。


「ええ。実は、ルクス様は(歳が)下ですのよ。サイラスは童顔ですが、あれでも……」

「キャーー!!」


 ご令嬢の悲鳴に、思わず口を噤んでしまった。

 まぁ、いいか。

 なぜか喜んでくれているし、フローラは嬉しそうに頬を染めている。



 少し離れたテーブルに、大柄な女性が二人座っていた。


「……サイラス」

「おれ、帰りたい……」

「……おい、もっと離れろ」

「勘違いしないで!?」


 ◇◇◇


 これを機に、なぜか巷では、上だの下だのと勝手に分類される貴族男性が増えたという。

 そして『解釈』を巡って、喧嘩する婦女子の姿も多く見られるようになった。


 ――しかし、一番の人気といえば。

 殿下が、上か下か。

 それが真剣に議論される事になるのだった。


 ◇◇◇


 夜中、王宮に響いたという絶叫。


「なんでこうなったーーー!!」


 それを聞いていたのは、侍従とサイラスだけだった。


「……俺も泣きたいよ……」


 サイラスの呟きは、ルクスの叫びにかき消されていった。


お読みいただきありがとうございました!

本作は、過去に投稿した短編とシリーズ作品を加筆修正し、一つにまとめた再編集版です。

ローゼリアとルクスの茶番に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
おバカっぷりが可愛く、展開も面白くて、気づけば笑っていました。 楽しいお話でした。
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