8チュン目
おい、どういうことだこれは。
城内の訓練場にはものすごい人だかりが出来ている。国王陛下並びに王族の方がずらりと並んでいる席もある。暇か。
そんな中、広い訓練場の真ん中でわたしとリリーナ姫様は向かい合っている。
一国の姫様だぞ、誰か止めろよ。
「この千年に1人と言われた魔法の才能を持つわたくしからよく逃げなかったわね。その精神褒めてあげるわ!」
この姫様どうやら千年に1人の逸材らしい。ワインかな?
周りがちやほやし過ぎて我侭になってしまったのではないか?ちょっと心配です。
「あなたこそ、大精霊の使者であるわたしに挑むと言う事の意味。理解できていますか?」
何故、わたしは啖呵切ってるんだ?
「わたしは巫女。その人の身でどこまでやれるか見せてみなさい」
何故、わたしは煽ってるんだ?
「……そう、あなたミコと言うのね。覚えておくわ。このリリーナに最初に倒された者として!」
あ、ミスったこれ!
内容は子ども同士の喧嘩だった。
わたしが本気を出せばここは更地になってしまうし、いくら千年に一度の逸材と言えども幼子だった。素質は有ってもまだ魔法は使えないようだ。
ポカスカと殴り蹴り頬をつねり髪を引張りと見てても面白いものではないだろう。
が、何となくギャラリーの雰囲気は暖かいものを見る目だった。
でも和んでないで止めて欲しいかなぁって思います。
「……はぁ、はぁ……や、やるわね……あなた」
ものの数分で姫様の体力は尽きたようだった。わたし?全然平気。
「リリーナ姫様、人の身でありながらそのお力は素晴らしいものです。願わくば良き人の世の為にお使い下さい」
実際、魔力量だけはここの誰よりもある感じした。総量だけならわたしより多いかも。使い方さえ覚えれば化けますね。
「……はぁ……あなたは全然平気なのね……。わたくしの負けだわ」
まずい、姫様が敗北を認めてしまうとマリアンヌさんがわたし付きになってしまう!
「いえ、わたしは精霊の加護があります。本来のわたしであれば負けています。なのでここは引き分けといたしましょう」
これでどうだ?
何か考えている様子。
「マリーは1人しかいないのよ?2人で分けるなんて出来ないわ」
この子は意外と優しいのかもしれない。もしくは独り占めしたいのか。
「わたしは本当は御付はいらない。リリーナ姫様は秘密に出来る?」
「?」
そっと精霊さんを見せる。
「まぁ!」
「わたしにはもう御付の人がいるんだもの。でも秘密ですよ?お友達同士の秘密」
人差し指を口に当ててニッコリと微笑む。大丈夫、多分、効果ある。転移の前に鏡で練習したから、大丈夫。く、黒歴史が。
姫様はぽかんとしていた。
「……おともだち?」
「えぇ、お友達です。わたし達はお友達」
ポロリと姫様の瞳から涙が落ちる。
えっそんなに嫌だった!?
ガバッ!
おおう!?急に抱きつかれた!?
「ミコはっわたくしのお友達になってくれるの!?」
あ、やっぱり名前だと思ってる。まぁいっか。思い出せない名前なんて。
「うん。わたしはリリーナ姫様のお友達ですよ」
「……リリィ」
「どうしました?リリィ?」
「ミコ……」
「はい」
ぐずぐずと啜ってるリリィが落ち着くまで頭を撫でていた。
雨降って地固まる。最後の会話だけだと百合っぽいけど、拳で語るのは少年マンガ的展開じゃ……。
その後、カチ込んできたマリアンヌさんに攫われて、
リリィの部屋で2人一緒に丸洗いされ、着付けられ、食事をし、一緒のベッドで就寝となった。
どうしてこうなった。
「私はこの時の為に生きてきたのだあぁ!」
「ふ、婦長の速さについて行けない!?あまりの速さに婦長が分身して見える……あわわわ。」
パタリ
名の知らぬメイドさん、あなたも大変ですね。誰かか介抱してあげて。




