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63チュン目

 ここで意義を唱えたのはリリィだった。


「本当にそれだけですか?まだ何か隠してはいませんか?」


 うん?今の説明で特に不利な事はないような?

 例えば有ったとしてもわたしなら最悪踏み倒せるんだけど……余計な事は言わないでおこう。


「今のところで変なこと有った?」


 素直に聞いてしまう脳筋ミコです。正直、駆け引きって面倒……。

 どうせ御使い様のネームバリューとかその辺りだろうなぁ。

 現状、何処に何体いるか分からないボスをしらみ潰さなければならない。特殊な技術がない以上は人海戦術を取らざるを得ない。なのでギルドとも協力体制を取りたかった。

 とは言うものの、既にアーノルド経由でギルドには動いてもらっている。その上でこう言った条件なら受けざるを得ない。ただ、それならそれでアーノルドから連絡があるはずなんだけど?

 エリちゃんは成り行きを見守るらしい。


「わたしとの時間が無くなるからとかそう言う事じゃないよね?」


「そ、そんなことは……無いわ!」


 迷った様だけど一応、違うらしい。


「以前、こちらからの要請を出したが受けてはもらえなかったと聞いていますが?」


「ギルドは国とは独立した機関です。国からの要請をお受けするかは慎重にならざるを得ません」


 等とやり取りをくり返している。

 ……正直、面倒なんだけど……。

 スッと手を上げる。


「ちょっといいかな?」


「何でしょう?」


「こう言うのはどうかな?」



「と言う訳で、本日よりここペタルスフロウはリバーダムより独立。ペタルスフロウ精霊国として立国しました」


「ちょっと待てぇ!」


 領主館に戻って街の重役達を緊急招集した。

 街長……いや元街長だね。今は国になったからどうなるんだろう?

 兎に角、元街長がお怒りである。


「何か問題でも?」


「どうしてそうなったか聞いても?」


 と言う訳で、ギルドに絡まれ面倒になったので他組織からの干渉を避けるべく立国した事を伝えた。

 ほら、ラノベで使う手じゃない?実際にやる阿保はいない?


「な、何をどうしたらそんな判断に……」


「これならリバーダムもウィンダムも干渉できないよ?両国は共に精霊信仰だからね。言わばここは聖都なの」


 ちなみに立派な教会を建てる予定。四属精霊が居座る気満々だったけど、こちらにはメリットしかない。


「それ以外の国の侵攻だってあります!」


「軍事面でわたしに勝てるとでも?」


 ドヤ顔。

 わたしに勝てる程の実力者が居たら、日本消滅なんて事が起こるほど魔物の勢力が高まらないだろう。


「収入等はどうするのです?タダで国は回りません」


「そうね。流石に私も驚いたわ。何か手があるのかしら?」


「河に水門でも作って通行料でも取ろうか?」


「……暴動でも起こす気?」


「いや、国相手に」


「なら戦争……いえ、ただの脅迫じゃない……」


「半分は冗談だよ。えっとね」


 先ず、リバーダムとウィンダムとは同盟国である。

 我がペタルスフロウ精霊国は全力で御勤め……つまり魔物からの解放を行う。換わりに2国から支援を受ける。つまり当面は今までと大して変わらない。

 そしてわたしが解放を完了するまでに、2国に対して何かしらのメリットを残す。そうすることで国として残り続けるのだ。

 まぁ教会さえ建ててしまえば四属精霊が居座って勝手に聖地になるので勝ったも当然。居座る条件としてわたしが管理する事になるけど。

 これが失敗しても再びリバーダムに戻るだけ。特に不具合は……無いかな?

 ただ、わたしを含め四属精霊のいるこの国は独立していた方が何かと都合が良いと言う事情もある。

 精霊は世界の構成要素。それが一国に集中している事は事実上の世界支配とも取れる。

 そんな事が大国だと……まぁ端的に言って戦争になるらしい。

 らしいと言うのは、わたしが城で盗み聞きした情報だ。

 四属精霊寄って来るわたしがリバーダムやウィンダムに居るだけで勝手に他国のヘイトを稼いでしまうらしい。

 遅かれはやかれいずれは独立する事にはなっており、その準備は進められていた。

 会合の後、城内を歩き回って情報収集をしました。勿論、全力をもって姿を隠したので誰にもバレずに堂々と。

 次に水門。

 現在、運河は魔物の脅威がある。解放により多少マシになったけどゼロではない。

 そこで運河の安全管理を行い、替わりに通行料を貰おうと言う訳。

 実は元々市民達が安全管理を行っていた。それを誰も主張しないけど。なので国の事業にしてしまおうと言う訳だ。生活自体は何も変わらない。


「……穴だらけの案がよく即通りましたね……」


「そこはわたしだから。必要ならちょっと位圧かけるよ?」


「そんなんで良いのかしら?」


 それでわたしが楽になるならね。別にわたしは聖人君子ではないから、先ずは目的を達成したいのだ。


「わたしとしては、御勤めが終わるまでは面倒に関わりたく無いんだけど?そんなに色々できないよ。どうしてもっていうなら御勤めを放棄してもいい?」


「そ、それは……」


 国を作る方が面倒だって?

 いつどんな依頼が入るか分からないギルドより、丸投げしておけばいい国営の方がよっぽど楽なんだけど。

 だってまだハンコ無いもんね。書類にサインぐらいはしてるよ?


「問題ある?別にわたしは魔物が蔓延っても生きていけるけど?」


「子どもの屁理屈じゃないんですよ!」


「そうでしょ?なら御勤めに集中させてよ。国や組織の云々に巻き込まないでよ。そしてそう言った面倒を弾くのがシャーリーさんの役目じゃないの?宰相殿?」


「み、ミコ様……その辺にしてはいかがでしょうか……?」


「シェリルちゃんは心配要らないよ。シェリルちゃんも魔物は問題にはならないから」


 魔力の全く無いシェリルちゃんは魔物に襲われる事は無い。それどころか魔物が守ってくれる。


「ごめんね。皆には悪いけどこの場は検討会ではなく報告会なんだ。もう決まった事だし各自それに向かって動いてもらって良いかな?嫌なら去ってくれて構わないから」


 強引だけどよろしくね。

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