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61チュン目

 現在、高高度侵入中のミコです。

 某可変翼爆撃機のパイロットはこんな気持ちだったのでしょうか?

 え、実際に使われていない?よく知らないので興味ある方はご自身で調べてください。


 ピナを瓶に入れ首から下げて超音速で指定座標へ一直線に飛んでいきます。

 相手が相手ならこの勢いのまま強襲する予定。

 指定場所は帝都を囲む衛星都市のひとつ。ここは元々とある魔物を封印した地だそうです。

 今回のそのボスは封印されていた魔物だろうとの事。

 エリカさんとノワール君が時間を稼いでくれているそうです。


「見えたけど何か見たくなかった!」


 それはさながら首都で2体の怪獣が暴れる映画の様な光景だった……思わずナレーション調になってしまった。

 強襲しようかとも思っていたが下手に動くと被害が増えそうだし、エリカさんと合流して情報を共有しよう。……えーっと何処かな?

 ソナーの様に魔力を放って探知する。あ、居た居た。


「エリカさん!」


「あ!ミコちゃん!」


 どうやら避難誘導を行っていたらしい。

 わたしはエリカさんの傍に着地。


「遅くなってごめん!状況教えて!」


「ミコちゃんも大変だったんでしょ?良いよ。それでね……」


 ある程度の概要はSNS経由でも聞いていたが、確認も兼ねて。

 今、街中で暴れているのは巨大な金の毛のゴリラ。4階建てのビルに相当する大きさだった。人を4人乗せて飛んでも余裕のノワール君が小さく見える。

 この金ゴリはやはりこの街に封印されていた魔物で、街の中心には大穴が開いていた。元々は美しい教会が立っていたらしいが封印が解けた際に木っ端みじんに。

 こう言うとヤバそうな相手に見えるがサイズだけなら海竜?の方が圧倒的スケールだったのでその点はあまり気にはならない。

 今問題なのはやっぱり街中だから人的被害が怖い。なるべく静かに倒すことにしよう。


「エリカさん、狙撃するからこのままノワール君に足止めをお願い」


「分かったわ!」


「ピナ、やるよ!」


「はいなの!」


 ピナをアンチマテリアルライフルに。映画で有名になった某対物ライフルだ。まぁ魔法的要素が有るから見た目だけなんだけど。

 瓦礫を利用し、身を隠しながらライフルを固定する。

 ジャキン!ガッチン!

 うーん、流石は対物。わたしの指より大きな銃弾を装填する。

 狙いは予め調整して設置したので後はタイミングを見てトリガーを引くだけ。まぁわたしなら立ったまま構えれるけどさ雰囲気って大事だよね?

 チートだからって何でもかんでも指先ひとつで解決したら面白くないのだ。できないとは言わないよ?多分並の相手ならできそうだから。

 ドッスンドッスンと暴れる2体をスコープ越しに見ながらタイミングを計る。流石にこれでフレンドリーファイアはまずい。

 今!

 スッと息を止め、反動に備えるべく全身に力を入れる。でもトリガーを引く指は柔らかく、優しくトリガーを引ききる。

 ドガアァン!

 銃口から一条の光がゴリラの頭を貫通し、上空の雲を吹き飛ばし、空の彼方へと消えていった。

 ゴリラの頭は銃弾が突き抜けた際に、衝撃波もあって爆散した。

 街に降り注ぐ赤い雨……辺りに広がる鉄臭い臭い……違う意味で大惨事だった。


「……ミコちゃん?」


「エヘ……でも、これはまぁしょうがないよね?」


 ライフルをピナに戻しつつ、遺体へ走る。さっさと吸収すれば被害も減るでしょう。

 吸収は一瞬だった。ボンッっと光になり、スッと吸い込まれる。

 ウップ……何か、海竜吸収した時より重い……海竜って何か水っぽかったと言うか、何かかさ増ししてある感じだったけど、ゴリラはどっしりと中身が詰まった感じ……もたれそう。


「とりあえずこんなところかな?」


「ミッションコンプリートなの!」


「ミコちゃん、お疲れ様」


「エリカさんも時間稼ぎと情報ありがとう」


「私達だけで倒せればよかったんだけどね」


「そこは適材適所で。さて、わたしはズラかる。この国の人に見つかるとめんどくさそうだから」


「そう?ならまたね」


「もし行く所なかったらわたしの街においでよ?」


「そうね。全部終わったらそうしようかな?今はまだでしょ?」


「そうだね。せわしないけど、また」


「バイバイ」


 そうして混乱が覚める前にわたしは街を飛び立った。



 ペタルスフロウの領主館に帰ってくると、玄関の扉の前に黒犬……じゃなかったクーちゃんが座っていた。


「どうしたの?こんな所で?」


 クーちゃんはのっそりと顔を上げると、死んだ目でわたしを見た後、また視線が下を向いた。

 ……が、ハッ!と顔を上げ改めでわたしに気が付くと……


「主よ!何故、死地に行くのに私を置いて行ったのですか!」


 あ、一人称が私になっている。訓練の成果が出てるね。


「死地って……大袈裟な。それにクーちゃん飛べないじゃない」


「飛翔ぐらい私にも使えます!ほらっ!」


 と、言うと黒いオーラを翼にしてクーちゃんは飛び上がった。

 おーすごいじゃん。

 わたしも真似して魔力で翼を作ってみた。

 パタパタ。

 日光を浴びてキラキラと輝く碧い結晶の翼。……イカロスの翼みたいにならないだろうか……。

 いくら怪我しなくても落ちたら嫌だし、無くても飛べるからこの翼で飛ぶ事は無いだろう。


「ところでクーちゃんは訓練終わったの?」


「ハッ!?」


 うん?もしかして抜け出してきたのかな?


「次はちゃんと呼ぶから、今は帰りな」


「ぐっ……主と離れるのは身を割く思いですがまだまだ未熟の身……必ずや一人前となって戻ってまいります!では、御前を失礼いたします!」


「あ、うん。またね」


 シュバッと飛んでいくクーちゃん。うん。私ほどじゃないけど中々の速度だね。超音速出せるようになったら連れて行ってあげよう。


「ただいまー」


「あ、ミコ様お帰りなさいませ。お風呂の準備しておきましたのでいかがですか?」


「流石、シェリルちゃん。お願いするね」


「はい」


「ピナもお世話するなの!」


 こうして何事もなかったように日常へと戻ったのである。

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