49チュン目
さて……この大量の本のから1冊を探すのは相当苦労するだろうなぁ……。
そんな異世界翻訳辞書が何冊も有るとは思えない。
取り敢えずカウンターへ戻る。
「おや?どうしましたか?」
「あの、異世界の文字を翻訳したものに関する本は有りますか?」
「異世界の文字ですか?少々お待ち下さい」
そう言ってカウンターあるプレートを操作する係りの人。
なんとホログラフィーの様に画面が浮かび上がった!魔導具的な物かな?プレートはキーボードなんだろう。意外な所で技術の高さ?を実感した。
しばらく操作するのを眺める。
「すみませんが、それらしいものは見当たらない様です」
「そうですか……ありがとうございました!」
「いえ、お役にたてず申し訳ありません」
「調べていただけただけでも助かります。……あの量だったので」
「もしかしたら、アカデミーの方に有るかもしれません。迷い人に関する研究室が有りますから」
「そうなんですか?ありがとうございます。問い合わせてみます」
成る程、アカデミーね。
改めてお礼を言い図書館を後にした。
アカデミーとは……ぶっちゃけ大学です。国立大なのでエリートしかいません。
とは言え、お城とは別の場所になります。度々爆発事故やスパイの侵入事件があり魑魅魍魎の巣窟らしい。行政機関の横で爆発事故なんて目も当てられないので離れた所にあります。
わたしがアカデミーに行くのはカモがネギ背負ってくる様なものだから絶対行かないように釘を刺された。
なので研究所の研究者さんにお願いすることに。結果が出るのはしばらく先に。
待ってる間に何もしないのは勿体ないので勉強しながら待ちます。辞書が見つかっても結局は勉強しなきゃいけないからさ。……あれ?なら辞書探す必要なかった?迷走してますね……。
おやつの時間になり、リリィとお茶をする事に。わたしだけでなくリリィの息抜きになるので。
「ミコ、メモの件なのだけど」
落ち着いたところでリリィから切り出された。
「もう何か分かったの?」
「違うの。とても難しい内容だったから研究所にお願いした方が良いわ」
首を横に振りながらそう言った。
「そんなに難しいの?」
「研究所に持って行ったら所長が飛び出していったわ」
所長はお婆ちゃんで、魔法屋を教えくれた方です。
所長と店主はかつての同期でお互い切磋琢磨した仲だとか。興味本位で好意や結婚とか考えなかったの?と聞いたらそう言う関係ではなかったから……と言いつつも過去に何か有った感がある。
そんな2人は今でも顔を合わせると罵り合う間柄。論争の内容はかなりディープでアカデミーの生徒も研究所の職員も王族もドン引きレベルだとか。上には上がいますね。
「わたしは一体何を仕込まれるところだったのだろうか……」
そもそもリリィは千年に一度……だっけ?の魔法の才能が有るらしいと、エリちゃん(女王様)の英才教育がある。にも関わらず分からないって……普通の基礎じゃないんだよね……。
「ところでミコ」
「何?」
ちょっと意識を飛ばしていたらリリィからお話があるそうです?
「今度、領地が贈られる事になるのだけどどこか希望はあるかしら?」
「領地要らないヨ」
人参要らないパイロット的な……。
あ、これ増えるやつだ……しくじった。
「候補は決定しているのだけど、山と川と海の何処が良いかしら?」
華麗にスルー……これが王族か……。
「持たなきゃダメなの?」
「これだけ貢献していて何もないのは良くないの。だから受け取ってもらえるかしら?」
「管理や運営なんてできなんだけど?」
「シャーリーが主にやるから大丈夫よ」
働きに対する報酬が出せるというアピールは必要だとか、受け取らないと他がタダ働きしなきゃいけなくなるとか……まぁそういう事情があるそうで。
「貢献ねぇ……よく分からないんだけど?」
「そんなことないわ!ミコはとても凄い事をしたのよ!」
純粋に魔物に占拠、汚染された地域の開放は人類の生活圏の拡大という事で、開拓と同じ扱いだとか?
そもそも魔物からの開放ができたとしても、汚染を浄化しない限りまた発生するため、恒久的な領地としては使えないとか。
つまるところ、わたしが吸収するかリリィが浄化を使える様になるまではいたちごっこ。
消耗戦を続ける事になりいずれはジリ貧になるとか。まぁなんと難しい世界だこと。
そんな訳で時間稼ぎどころか解決に貢献したわたしはかなりの功労者。これは爵位と領地あげないとマズいぞ。と言うのがこの国の貴族一般の考え。
で候補地が絞られ、わたしの意見を聞く段階に。
「……じゃあ、川で……」
「川ね。お母様に伝えておくわ」
水が豊富な所が良いかな?ぼんやりと元の世界では川の近くに住んでた気がするし。
何かを作るには水があると何かと便利だし。排水の管理とかあるけどさ。
領地を貰うことについては諦めた。まぁ貰えるものはもらいましょう。




