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24チュン目

 本日1話目

「う、う~ん……。」


 おそらくわたしがこの世界に来たのは春頃だったのだろう。あれから大分経った気がする。

 蒸し暑く寝苦しい夜。わたしはうなされていた。

 ぼそぼそと耳元で羽虫が舞うように声がするのだ。

 色んな魔物を吸収し過ぎてついに幻聴が聞こえるようになってしまったのだろうか?

 今まで吸収した魔物の恨み辛みがわたしに還ってくるとでも言うのだろうか?

 それは因果応報。それがこの世界の掟というのであれば甘んじて受けよう。

 だからお願い、今は寝させて……。


「ミコ、ミコ。起きなさい……新しい任務よ……」


 幻聴はそう聞こえる。

 ……うん?任務?

 重い瞼を何とかこじ開けると闇の中に2つの瞳と口だけが浮かんで……!?


『ギャーーーー!?』


 ゴッ


 皆様。おはようございます。頭突きで始まる新たな1日。


「もうちょっと普通に登場できないの?」


「仕方ないでしょ?見られる訳にはいかないんだから」


「君がわたしを誘拐しなければ済んだ話でしょ?」


「それ以前に通報してたじゃない」


 幻聴だと思っていたのはアーノルドだった。影に潜られていて気配が読めなかった。

 ボソボソと小声で口論になる。

 先程の叫び声でまた何事だ!?となったので悪夢にうなされてましたと誤魔化しておいた。いやまぁある意味事実だけど。


「そんな事より新しい任務って?」


「見つけたのよ。あたし達の新しい仲間を」


「早いね」


「風の噂はぁ何でも知っているのよ~」


「あ、余計な事を」


 どうやらゆるふわと手を組んだらしい。なるほどこれなら情報収集も早いだろうね。


「それと~音漏れ防止の結界を張ったからぁ普通に話してもいいわよ~」


 こ、この人緩そうに見えてできる人……いや、精霊だ!

 そして頭を過ぎる最初の出会い。

 わたしはベッドの上に正座になり深々と頭を下げた。


「ど、どうしたの?」


「風の大精霊様、初見で吹飛ばしてしまい。大変申し訳ございませんでしたっ!」


「い、いいのよ~もう気にしていないからぁ」


 さてさて。

 改めて話を聞くとわたし達の第3の仲間はここと反対側。東の帝国に居るらしい。

 そこで光の精霊の依頼をしている2人の勇者の内の1人だとか。

 2人の勇者はどちらも迷い人で、どっちが「わたし達と同じ」かは直接見ないと分らないそうだ。

 なのでわたしはここから帝国へと旅立たないといけない……訳なのだが。


「何故、よりによって帝国です?」


「知らないわよ」


 そう、西側と東側はそれはそれはもう仲が悪い。

 間にあの森が無かったら日夜戦争だっただろうってぐらい仲が悪い。

 ちょっと待て。何でそんな苛酷な環境に1週間も放り出されたんです?普通に考えて死ぬだろ……生きてるって素晴らしい!

 と言う訳で、昨夜精霊のお告げで帝国へと旅立つようにと言われました。なんて言ってみろ。スパイだとっ捕まえろ!ってなるに決まってるじゃん!


「まぁダメ元で聞いてみよう。」


 その後は何事も無く朝になりました。……え?本当に?

 なんだかんだでいつも一緒に居たリリィが居ないので1人のベッドが広く感じます。

 昨晩、寝る前までは一緒に居たのに寝る時間になったら何故か自室へ帰っていった。しばらく離れていたから1人で寝れるようになったんだろうか?

 支度する時間になってマリアンヌさんが来ました。おや?何だか表情が暗い?


「姫様をお見掛けしませんでしたか?」


「今日はまだ見てませんけど?」


 リリィに何か有ったのだろうか?

 マリアンヌさんがクローゼットを開けます。最初はリリィの着ていないものを貰っていましたが、今では専用の物を仕立ててもらっています。もう諦めた方がいいんでしょうね……。

 コロリ


『あ』


 なんとクローゼットからわたしのドレスで丸まったリリィが転がり出てきました。どういうことなの?

 リリィのなんて健やかな寝顔なんでしょう。信じられるか?こいつ人のクローゼットで寝てたんだぜ?



 無言で食べる朝食。東行きを切り出すのが怖い。


「そう言えばミコ、派閥を作ったんだって?シャーリーから聞いたよ」


 作ってません。できてたんです。


「えーっと、何か言ってた?」


「うん。躾けておくから心配しないでって」


 それは物理で躾けるって意味かな?犬猫じゃないし、ご令嬢相手だからなるべく優しくしてあげて……。


「いずれはこちらにも派閥の人が必要になるのだから、早い方がいいわ」


 だからね?わたしは王族になる訳じゃないのよ?

 それよりも言わなきゃいけない事が……。

 結局、言い出せずに悶々としたまま朝食を終えてしまった。


 お昼前、暇になったわたしはまたお庭で踊ります。

 メイドさんに教師をつけましょうか?と言われたが断った。わたしはフリースタイルが良いのだ。

 すると以前会った小さなメイドさんとまた目が合う。

 逃げ出しそうだったので思わず声を掛けてしまった。

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