未来へ
--最果ての村 アシタヘ ローブサス征伐戦から10日後--
「ナモミ~!今日でしょ!?早く起きなさい!スミレちゃんたちも下で待ってるわよ!」
レンガづくりの一軒家の外まで聞こえる大きな声が響く。
「ナモミ~!・・・あら起きてたの?」
部屋の扉を開け、ナモミの母親が入ってくる。
「うん。ちょっと考え事してた。さて今日はアイス食いまくるか。」
「ちょっとナモミ。お腹下すほど食べちゃダメよ。」
「はいはい、わかってるってうるさいなぁ。」
・・・
一軒家の玄関が開く。
「お待たせ。」
「あんたおばさんのこと怒らせすぎやろ。」
「いいのいいの、怒らせとくぐらいの方が元気があってよろしい。」
「何それ、近所のおじいちゃんみたい。」
「もう。ナモミさんはもうただの女の子じゃないんですからね。」
「それはスミレだって一緒だろ?」
「はい、だから私は淑女としてふるまえるように努力を。」
「はいはい、それは向こう行ってからでいいでしょ?
じゃあ行くね。モドルーナトゥラムチソ!」
・・・
街が色とりどりのランタンで鮮やかに輝き、街中から楽しそうな歌が聞こえてくる。
「お~。ラムチソって本当はこんなに賑やかだったんだな。」
「勇者様パーティが参られたぞ!」
「きゃーナモミ様!」
「フォセカさーん、好きだー!」
「スミレ様ー!踏んでくださいー!」
「ローズさん素敵ー!」
4人がラムチソに付くと盛大な黄色い声がナモミ達を迎え入れる。
「そうかそうか。あたし達をもてなす権利をやろう。」
「もうそのギャグも使えなくなっちゃうね、これだと。」
「マジで性悪女になるからな。」
「マジでっていうか普通に性悪女やん。」
「なんだと?」
「ねえナモミさん、ローズさん、フォセカさん。なんだか私の声援だけおかしかったような気がするんですが。」
「そう?いっぱい聞こえてくるからわかんないや。」
「あなた達。」
黒髪の女性が話しかける。
「クロユリ!」
「元気そうね。それにしてもすごい人気。ちょっと嫉妬しちゃうわ。」
「何言ってんのさ。クロユリだって今日あたしらと一緒に表彰されるんだろ?」
「ええ、ケスタレア王が魔女の誤解を解いて、国民に話してくれて助かったわ。
やっと自由になれた気がする。あなた達もありがとう。本当に感謝しているわ。」
「こちらこそ。ブラックもありがとうな。お前がいたから世界に色を取り戻せたんだ。」
「かまわん。我はクロユリを助けただけだ。」
「お~い、お前ら早く上がってこい!」
ケスタレアが舞台の上で手招きしている。
・・・
「勇者パーティを助け、勇敢に戦った貴殿らをここに賞する。」
クロユリに賞状が手渡され、辺りから拍手が沸き起こる。
「続いて、
ヴァーミリオン=ローズ
ディモール=フォセカ
薩摩 スミレ
山尾 ナモミ。
貴殿ら4名は、自らの命を賭して、ケスタレア及びヒサイア国のために尽力し、
また世界より失われた7色を取り戻したことをここに賞する。」
「どうも。」
賞状を受け取るナモミ。
「こらナモミ。」
「はい、じゃあ堅苦しいのは終わりだ。お前ら祭り楽しめよ。」
「雑。エロジジイ、王の威厳的なやつは?もっとなんか厳かな感じで話したほうがいいんじゃないの?」
「それ気にしてくれるんなら、まずはそのエロジジイって呼び方をやめろよ!」
ケスタレアとの掛け合いをしているナモミを見て微笑むクロユリ。
・・・
辺りから楽しそうな声が聞こえてくる。
舞台の上ではローズとフォセカが、ランタンを振り回して踊っている。
「うま~。」
7色のアイスクリームを美味しそうに頬張るナモミ。
「好きですね~。」
スミレがナモミを見る。
「アイスクリーム屋やろうかなあたし。」
「いいんじゃないですか?」
「冗談。あたしは食べるのが好きなだけで、よそうのは別に好きじゃないし。」
ははっと笑った後、ふっと素の顔に戻るナモミ。
「どうしたんですか?」
「ん。ここ最近さ、ずっと考えてるんだ。ローブサスのこと。」
アイスクリームのカップをテーブルに置くナモミ。
「あいつは他の人たちを苦しめてたし、絶対に許しちゃいけなかった。
それはもちろんわかってるんだ。
・・・だけどさ、あたしの心の中のどっかで、あいつのこと尊敬してる部分もあったんだよ。
ヒサイアで乗った電車ってやつや、カンジュースを買った自動販売機も、ローブサスが設計して作ったって言ってたし。」
「ナモミさん・・・。」
「だからあたし、これからは技術者になろうと思うんだ。サンダルがいなくなってから雷魔法や電気が使えなくなって、ヒサイアの国の人達大変だろ?
だからあたしがもっと魔法を勉強してさ、電車とか自動販売機とかも、電気じゃなくて魔法で動くようにしてさ。」
「できますよ。ナモミさんならきっと。」
「うん、ありがとう。」
微笑むナモミ。
「ナモナモ~。一緒に踊ろ~!」
舞台の上でフォセカが呼んでいる。
「おう、今行く!スミレも行こうぜ。」
「はい!」




