実験開始!
「これで3個目…っと!ふぅ、なかなか要領掴めないなあ………」
私は今、魔力の底を確かめるための実験&修行に取り掛かっている。
ー遡ること1時間前ー
「じゃ〜ん!というわけで、セレスの魔力を測るために、これを使いたいと思います!」
そう言ってアレンさまが持ち出して来たのは、真っ黒に光る…
「…魔石か。確かキースに渡したものも魔石だったな」
「そうそう、キース君にはこれと反対の空っぽの分を渡してあるんだけど……」
あぁそう言えばディルク君の魔力の放出量を測るためにアレンさまが用意してくれたんだっけ。
ディルク君元気かなぁ。
「あ、コレってセレスの修行にも使えるじゃんって思いついて、今度は逆に魔力で一杯にしておいたんだよね」
と言いますと?
「この魔石は、平均的な成人魔法使い1週間分の魔力が込められてる。だから、セレスがこの魔石を何個空っぽにできるかわかれば、大体のことがわかるかなーと思って」
「「なるほど……」」
そうこうして始まった実験なんだけれど、これが以外と難しい。
そもそも私が今まで意識的に取り込んだことがあるのはアレンさまの魔力だけだ。
いや、この魔石の中身もアレンさまの魔力なんだけど、直接手を取ってイメージを作ってた時とは勝手が違いすぎる。
こう…何というか、呼び掛けても応えてもらえない感じ…というか、とにかく無機質な魔力を取り込むのは相当に時間がかかる。
「う〜…泣き言言ってても仕方ないっ!よし!4個目いくぞ!」
「…どうなんだ、セレスのあの感じは」
「そうだなぁ、僕の感覚的にはあと3、4個じゃないかと思うんだけど……」
かれこれ1時間、僕は中庭のベンチに腰掛けながら、四苦八苦するセレスを見守っている。
途中でごちゃごちゃ煩いゲオルグを適当にいなしながら。
「あと3、4個って…それでも成人魔法使いの一月分を超えるんだぞ?あの子の体に何かあったら……」
「見てるの怖いなら帰ればぁ?」
そしたらこんなまどろっこしい事せずとも手取り足取りしてあげられるのに…とは思っても言わないけど。
「いや、正直なところ驚いている。セレスの能力の事も、お前がまともに修行をつけているところも」
「あっそ」
こいつ本気で失礼なやつだな。
「…まぁ、自分でも正直驚いてはいるけどね。あの子の魔力…本当に強くなってる。いや違う。元からこんなに強かったのなら、一体どんな修行すればここまで抑えられるようになるのかってね」
「俺は…色々間違えていた。間違いなりに必死だった。だけどあの子には辛い思いをさせたと思う」
「…どうかなぁ。もしあの子の魔力を最初から解明できてたら、きっと幸せな子ども時代なんてなかったと思うけど」
「…魔力残滓の件か」
「それもあるけどね。セレスを今の彼女に育ててくれた事には感謝してるよ。口煩くてかなわないけど」
「…それはお前が悪い」
何でこんないい天気の日に、花畑でおっさんと語り合わなきゃならないんだ。
そう思いはしたが、これも彼女のためだと思えば、まぁ耐えられないこともないかな。




