魔力の謎②
「二つ目、体内で変換された後の魔力残滓の謎。これは、実は初めて君に出会った日にはすでに存在した謎なんだ」
初めて出会った日…つまり私が彼をお風呂に放り込んだ日、だ。
隣のパパをチラッと見る。絶対何か面白くない記憶を呼び戻している。
「ア、アレンさま、ごめんなさい。魔力残滓、のところを詳しくお願いします」
するとパパが口を開く。
「魔力残滓は、砕いて言うなら魔法を使った後の魔力の残りかす、だ。魔力が人それぞれ違うのは知ってるだろう?だからその残りカスも人それぞれ違うものが残るんだ。…大抵、犯罪捜査に使われる」
知らなかった。これは勉強になる。というか、魔法使いには当たり前の事…?
「…他人の魔力が見える人間には当たり前のことなんだよ」
私の表情を読んだのか、アレンさまが追加説明してくれる。
「アレン、まさかと思うが、セレスの魔法には魔力残滓が無い?」
「そうなんだよ、不思議なことにね。変換して使ってるから、元の持ち主のものが無いのはまだ分かる。でも彼女自身の魔力が残らないのは、はっきり言って謎でしかない」
沈黙が訪れる。
というか、何の沈黙なんだろう…。
「…ま、とりあえず、1と2に関しては今後有効な検証方法を探るとして、当面は3の取り込める魔力の量を確定したいと思ってる。…これは、僕の問題とも大いに関係するから」
パパが頷く。
「確かにそうだ。アレンは…生きているだけで、それこそ息をするだけで、常に体内で魔力が生まれる。…しかも年々強くなってる」
アレンさまも頷く。
「でも僕はセレスに出会えた。君に出会って、君が僕の魔力を取り込んだ時、僕はそれこそ本当に、久しぶりに普通の人間になれた気がした。…何度も言うけど、僕には君が必要だ。僕が…人のままで…いられるように」
私は力強く頷く。
「私も何度も言います!私はアレンさまが樹になるのを黙って見ているつもりはありません!アレンさまをきっとおじいちゃんにしてみせます!!」
「「………………。」」
え、何この沈黙。
「あー…できればおじいちゃんにならない程度にお願いしたい、かな」
「いや、お前は爺さんになった方が世のため人のため、セレスのためだ」
「え、え、え?」
「あのねぇゲオルグ、その時僕は絶対君を道連れにするからね。僕の100年間の研究成果を惜しげもなく君にプレゼントするから」
「俺は歳を取るごとに男としての魅力が上がっていくタイプだからな。顔だけのお前と違って。全然構わん」
「はぁ〜!?顔だけ!?僕が!?有史以来最高の魔法使いって呼ばれる僕が!?」
「お前はハゲる。間違いない。というわけでセレス、将来のハゲじじいを早く完成させる為に頑張るんだ」
「う、うん……」
目の前でアレンさまが、「僕は魔法薬作りも得意なんだからな!」とか、「ゲオルグは絶対ボケる!」とか叫んでる。
…1週間大丈夫かな。




