尋問開始
美しく整えられた(私が1週間かけて磨き上げた)リビングで、無駄に美しい顔を持つ銀色の男が、年代物の革張り(の艶が出るまで私が磨き上げた)ソファに座り、無駄に長い足を組みながら、装飾が見事にあしらわれた(ことがわかるまで私が磨き上げた)ティーカップから、これまた優雅に(私が淹れた)紅茶を飲んでいる。(私が洗わされた)銀髪から時折こぼれる水滴が、無駄に色気を振りまき目が痛い。
「…で?何で君はここにいるんだっけ?」
やっぱり無駄に綺麗な所作でソーサーにカップを置きながら、無駄無駄男が口を開いた。
「…先ほど申し上げたように、魔法研究所からの任務で参りました」
「ふ〜ん…任務ね………」
彼が、ソファの対面で直立不動の私を値踏みするように見やる。
「内容は?」
内容……。
「あ、ええと…この邸を訪ね、邸の主人の身の回りの世話をすることです」
「いやそれじゃない。真命」
ーー!!
正直驚いた。任務について聞かれることはまぁ予測できた。でもこの人は〝真命〟を聞いてきた。
つまりこの人は……。
「…恐れながら、申し上げられません」
背中を冷んやりと嫌な汗が流れる。
「なるほど、ふ〜ん……?とりあえずちゃんとした研究員っぽいね。…少々頭の方に難ありだけど」
「!!」
「あぁ、いいよ。任務の内容は。どうせゲオルグだろ、こんなつまらないとこに来させるの」
「!!!」
副所長を呼び捨て…!何となく偉そうな人だとは思ったが、偉そうなんじゃなくて、かなり偉い人なのかもしれない。
「あの、失礼ですが」
「何?」
「あー…えっと、ご主人…さま?は、生きてらっしゃる方ですよね?」
この時の彼の、鳩が豆鉄砲を食ったような顔は一生忘れられない。
「………君さ、ちょっと残念だよね」
「??残念ですか?」
「あ〜…もういいよ。ついでにそのご主人さまっていうのも止めて。何かゾワゾワする」
「はぁ…。では何とお呼びしましょう?」
「…アレン…。ちなみに生きてる。一応」
「…アレンさま……」
この人が、館の主。
「とりあえずお茶淹れ直して。残り何個か確認することあるから。今度はもう少しおいしくね。あと何かこの椅子座り心地悪いから別のお願い」
「……………。」
この偉そうで、恐らく本当に偉い人は、何か私の癇に障る。




