116.勇者さん、トウキョウ。おじさん、キョウト(地図B)
==襲撃イベント板========================
543名無しさん ID: th5h495
うぉおおおおお!やばかったツクバに水猫とシゲサトが来たぞぉおおお!!
生ミズカじゃぁあああああ!
555名無しさん ID:7urfqjeq0
うぉおおおおおおお!ミズカLOE!LOE!
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トウキョウ トウキョウ学園――
大講堂前広場にて。
不穏な出来事が起きていることに反して、天候は良く、陽光が差している。
「へぇ~、ツクバはウォーター・キャットにシゲサトくんか」
特徴的なウサギのような耳のついた中性的な顔をし、短剣を両手に持った男がいた。
このイベントの主犯ウサギだ。
ウサギはメニュー画面を弄りながらそんなことを言う。
「もしかして君達が彼らを?」
ウサギは眼前に立つ四人組に目線を向ける。
勇者のツキハ、聖騎士のユウタ、ジェネラル・ヒーラーのチユ、そしてツキハが使役する人型モンスターのライゲキの四人だ。
ライゲキは忍装束に小刀を持つ目つきの悪い金髪の男の姿をしている。
「さぁ、どうだか……」
月丸隊のツキハはそう言ってはぐらかす。
「ふーん……」
「あなたがウサギさんで間違いない?」
「その通りだよ」
「まぁ、この場所で、そのウサ耳で違うと言われても困るんだけど……」
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①トウキョウ トウキョウ学園
┗ウサギ
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「ははは……確かに……ところで……アングラ・ナイトのおじさんはどこに?」
「っ!? 知ってるの?」
「……まぁね」
「そう……でも、残念だけど、ここじゃないわ」
「それは残念……」
ウサギは流し目気味にそう言う。
「おいっ、ウサギ野郎……! 先に来てた……はずのP・Owerの人達はどうした?」
今度は聖騎士のユウタが尋ねる。
「あー、彼らね……ついさっき、最後の一人を狩ったけど……」
「っ!?」
「あとは危機感のない愚かな学生も何人か……」
「なっ!!」
「可哀そうに……君達が来るの遅いから……」
「あんた! 許されないことよ!!」
ツキハが強い剣幕で睨みつける。
「ふふっ……楽しくなりそうだ……」
◇
キョウト キョウト学園――
「来たはいいものの何も起きていないな……」
「そうですね……マスター」
「そうですね……師匠」
「あ、すみません、姉さん、被りました」
「だからその姉さんっていうの止めろ……」
中年の男及び角が生えた少女、そして西洋風の顔立ちの青年の三人はキョウトの学園都市をうろついていた。
◆
二日前。
2043年5月30日――
牧場にいたジサンの元に一通のメッセージが来る。
[ツキハ:こんにちは。早速で恐れ入りますが、先程の運営からの通知、見ましたでしょうか?]
それは月丸隊のツキハからであった。
[ジサン:見ました]
[ツキハ:ご返信ありがとうございます。今、牧場にいらっしゃったりしますか? できれば直接、お伺いしたいです]
そうして、ツキハは牧場に来た。
「単刀直入に申し上げますが、ご協力いただきたいです」
「はい……大丈夫です」
「えっ!? いいんですか?」
あまりにあっけなく了承され、ツキハは驚く。
「いや、実は他の人にもすでに頼まれていまして……」
「えっ? そうなんですか……?」
ミストのことであった。
「その……協力にあたって一点確認が……」
「はい……なんでしょう?」
「場合によっては相手をキルすることになっても……?」
「っ!? そ、そうですね…………個人的にはあまり推奨はしませんが、状況次第でやむなしと考えます。私達もそういった状況になる可能性は十分ありますし……」
「……」
ミストの目的を考えると、むしろそちらの方が可能性が高かった。
ジサンとしても好ましくはないが、何としてもミストを止めるという程の平和主義的な正義感というものも持っていなかった。
「えーと……もし分担のようなものを決めるなら私達は一つのチームとして扱っていただければと思います」
「わ、わかりました……実はすでにウォーター・キャットには協力を取り付けています」
「おぉ……! 流石です。ちなみにシゲサトくんからも私に連絡がありました」
「おっ!?」
「シゲサトくんからも協力したいと言われたのですが、わけあって今回はお断りしました。彼は地元のイバラキに行きたいみたいでした……」
「なるほどです! じゃあ、ちょうどウォーター・キャットもイバラキを希望していたので、協力していただこうと思います! これで月丸隊も含めて、三チーム確保です! なんですが、あと一チームが……」
(…………うーむ、あと一チームか……俺に当てがあるはずもなく……)
「………………あっ」
◆
そして現在――
(……マップ上はこの辺りだと思うのだが……人はいないな……流石に避難したのだろうか……)
ジサンはメッセージからリンクされていた詳細マップを改めて確認する。大きな時計台と樹木がある広場の近くに来たその時であった。
「っ!?」
ジサンらがいた場所から少し離れたところで、悲鳴のようなざわつきがあった。
「おっ、あっちか……?」
(あっちは広くなってるからグラウンドかな……?)
「誰だ!?」
(お……?)
ジサンが騒ぎが起きているグラウンドの方へ行こうかと考えていたその時、ミストが緊張感のある声を発する。
ジサンもミストが見つめる方向を向く。
といっても、それはこれから向かおうとしていた騒ぎが起きている方向であったため向き直るというよりはそのまま前方を見ていた。
「あ、えーと……私は別に怪しい者ではなく……」
ミストが気付いたその人物はそのようなことを言いながら物陰から姿を現す。
「「「あっ……!」」」
互いに姿を確認した両者は小さく驚きの声をあげる。
その人物はジサンにとっても見覚えのある人物であった。
「こ、困りました……」
というのが彼女の口癖だ。
敢えてプレイヤーネームを口癖にしているとしか思えないその人物はコマリといった。
ショートカットの少女で、雨でもないのに、カエルをモチーフにしたレインコートのようなものを羽織っている。
コマリはキリガミネ高原ダンジョンでミストと共に、武器強化の素材探しをしていた時に出会った。
本人が家族の治療に必要というレンゲ草を探すために同行を希望した。
そんなこともあり、一緒に同ダンジョンを探索したのであった。
「お前、何でこんなところに?」
ミストが尋ねる。
「何でって、皆さん、知らないんですか? 例の”重要なお知らせ”を」
「え、いや、知ってるけど……えっ、つまり君……エクセレント・プレイスと戦うために来たってこと?」
「そりゃそうでしょ……! 一般市民の危機に立ち上がらないわけにはいかないでしょ! 善良なプレイヤーとして!」
コマリは鼻息を荒くして答える。
「そうか? どちらかという普通、他人に任せるだろ……」
「そういう貴方だって来てるじゃないですか……」
「え、まぁ……そうだな……俺はちょっと特殊な……」
「……え? 特殊な性癖ですか……」
「性癖はいたって普通だ……どっちにしてもお前みたいなへなちょこが来るような場所じゃない」
「え゛っ!?」
ミストのドライな発言にコマリは大袈裟に驚く。
「まぁ、いい。師匠、行きましょうか」
「あっ、おぅ……」
ミストに導かれ、改めて騒ぎの方へ向かおうと考える。その時であった。
「当りを引いたのは拙者みたいだな」
「っ!?」
進行方向とは逆の方向……背中側からそのような声が聞こえた。
振り返ると、そこには和風の甲冑……鎧兜に身を包んだ人物がいた。一見では性別が判断できなくもあったが、声のトーンから女性であることが予想できた。
「僥倖……邪魔者もいない……お前がアングラ・ナイトで間違いないか?」
「っ!?」
「その反応を見ると、間違いないようだな……」
「……」
彼女には”モモ”という名称が表示されていた。
名称が表示されるのはモンスターの特徴である。
モモという名前も襲撃位置詳細に記載されていたものと一致する。
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③キョウト キョウト学園
┗モモ
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“プレイヤーをゲームオーバーたらしめる手段”とはモンスター化のことである。
ビワコでウルトマと対峙したサラからの情報で、おおよそ予想がついた。
「ふふふっ……ウサギさんには悪いですが、拙者が成敗してしまいましょう」
モモは堂々とディスプレイを弄り始める。何やらメッセージを作成しているようだ。
「あの人……」
「何だ? 何か気になることがあるのか?」
一人、不気味にニヤケ顔をしているモモに対し、コマリが意味深に呟く。
それに対し、ミストが反応する。
「キャラ作ってませんか……? 桃太郎意識ですよ、あれ」
「いや、お前には言われたくないだろ……!」
「へ……?」
コマリは不思議そうな顔でミストを見つめる。
「……調子狂うな……お前……」
ミストは頭を掻く。
「でだ、桃太郎女……てめぇに尋問だ……」
ミストの声のトーンが下がる。
「なんだい?」
モモは余裕ありげに対応する。
「哨戒商会の襲撃に関わったか?」
「哨戒商会……? あぁー、魔王:マリキチ討伐の……? 君、もしかして関係者?」
「……」
「ってか、君さー、子供の時、教わらなかった? 人にもの聞く時はまずは自分からだよ?」
「っ!? まぁ、いい! どっちにしてもボコすことに違いはねぇんだからよ!」




