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海の民 第一章  作者: 来栖 傳
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サーガの丘にて

60歳を過ぎたら悠々自適と言ったやつ、怒るよ!全然趣味の時間も取れないじゃないか!

ヒメたち御一行が瑞穂の国の帝と謁見している頃、港町サーガの丘に建つ王宮では、王と宰相が王妃を交えて歓談していた。


「そろそろ、彼の国の都に着いた頃だろうか?」 王は、愛娘の無事を案じて声を漏らす。


「は。賢者に勇者、剛腕に槍乙女まで揃っております。多少の抵抗勢力があろうとも、彼らの実力と、あの軍団があれば問題はございません」 中年となり、ますます男ぶりに磨きがかかった宰相が、自信満々に答える。


「おや?確か、親善の旅ではなかったかな?」 王は韜晦の笑みを浮かべる。


親善の名のもとに、三十を超える湊から軍船と兵を集めたにもかかわらず、王は平然としていた。宰相との意思統一は、すでに十年前に済んでいる。故地に分家を立て、状況次第では本家以上の国家として、海の民を守る覚悟であった。


「でも……賢者も勇者も、どこか一つ、足りないものを感じてしまうのです」 王妃が遠慮がちに口を挟む。


彼女は戦の頻発していた時代以後の生まれで、冒険者たちの戦闘譚を耳にする程度の経験しかない。それでも、娘を守る戦力に一抹の不安を覚えているようだった。


「さすがは王妃様。確かに彼らはまだ若輩、失敗もあるでしょう。だからこそ、剛腕カンジをはじめ、各地の長や軍師たちを集めました。若さゆえの短慮も、彼ら大人がたしなめてくれるはずです」 宰相の自信は揺るがない。


だが、そこに入った報告は、補給船団が逃げ帰ってきたというものだった。


どうやら派遣軍は、敵中に孤立し、封鎖されているらしいという悪報も届いた。


「シオジ〜〜!!」


宰相は、甥への怒りを露わにした。王と王妃の前であろうと構わない。なぜなら、これまで幾度となく賢者への期待は裏切られてきたからだ。


そもそも宰相家の一族で「賢者」の二つ名を持つ者が、軍の正規兵でもなく、調理人見習いにまで身をやつしていたのだ。伝説的な活躍と、それを帳消しにするような「しでかし」を繰り返してきたシオジのことを思えば、今回もまた何かが起きたのだと、想像するのは難しくなかった。



凶報は、さらに続いた。

遠目にだが那の津の軍の降伏が見有られたと言う。

他にも津の民や蘇我が降ったものと言われる。

そこで首をかしげていた仙台賢者のヒンチが発言をする。

「それは、不思議ですね?那の津の長には、面識が有りますが、途中で降伏するような者では有りません。何なら、他のすべての隊が降伏してから突貫突撃するような猛者です。おそらく賢者かヒメ様の策略では有りませんでしょうか」


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