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第77話 報告会

今日は来週の出発に向けて、皆で集まっている。

そうは言っても、普段から入れ替わり立ち替わりみんなが来ているから、特に久しぶりな感じはしないのだけどね。

ちなみに、アカデミーは王都近郊の町にあるので、そこの空き家を2軒購入してある。

男性陣用の広い屋敷と、私用の可愛らしい家だ。

隣接した家を購入してあるので、いつでも遊びに行ける。


フローレンス様が、王都のそばに来るならぜひぜひ遊びに来て欲しいと言っていた。

メアリ様もしばらく一緒に住むのだとか。

公爵城の広間には、ギルバート、メルヴィン、レオナルト、リュカ、イオ、カロンが勢揃いし、セシルがみんなにお茶を出して回っている。

今日はまた、ノーマン特製茶畑の茶葉を私が独自発酵させた紅茶だ。

この頃イオとカロンは舌が肥えてきたのか、コレしか飲んでくれない。

このお茶のバリエーション違い以外は、市販のお茶を飲んでくれないので、外出の時にちょっと困る。


出来るメイドのセシルは、イオの紅茶にはブランデーを入れたティーロワイヤルにしている。

他にも、メルヴィンの目の前にはローストビーフサンドとシフォンケーキ。

カロンの前には小ぶりなマカロンタワーと、イチゴのワッフル、クッキーやカップケーキの盛り合わせを置いている。


皆、7年経ち幾分大人びた様子だ。

ギルバートは私の背丈を遥かに追い越し、スラリと長身でサラサラの黒髪、鮮やかなサファイアのような瞳の大変麗しい青年になった。

向こうからやってくると、背景にキラキラと光の輪やら、百合の花の幻覚が見えそうだ。

流石王子。

オーラが違う。

メルヴィンはグレーの髪にアイスブルーの瞳、元々大柄だった長身がさらに伸びて、筋肉が全身に程よくついている。

かなり野性味溢れるイケメンだ。

イケメンだけど、ちょっと雰囲気が鋭いから近寄りにくいオーラを放っている。

…。

実際は日向でのお昼寝と、食べるのが好きなただの言葉が少ない青年なのだけど。

レオナルト様は綺麗に切り揃えられた淡い青の髪と、紺の瞳の理知的な青年だ。

背はギルバートと同じくらいで、細身で落ち着いた雰囲気がある。

リュカ様は今は髪を短く切っていて、プラチナブロンドに紫の瞳の、御伽噺に出てくる王子様のようだ。

長い犬歯がたまにチラリと見えると、妖しい美しさと色気がある。

流石はヴァンパイア、エルフの美貌を見慣れてもなお美しいわね。

物腰も柔らかく、人当たりも1番いいが…

たぶんだけど、このメンバーでは1番腹黒系だと思う。


そのように、各々立派に成長している。

イオとカロン?

彼らは…

竜だから見た目全く変化なし。

イオが酒豪に、カロンがパン好きになったくらいしか変化がない。

「いよいよ来週出発ね。」

「そうですね、リアと色々研究するのがとても楽しみだよ。」

ギルバートが目を細める。

「ところで、例の調査の進捗はいかがですか?」

レオナルト様がギルバートに尋ねる。


「ああ、それなのだけどね。やはり、父は暗殺されたようだとわかってきたよ。」

「!!」

「やはり…ですか。」

驚く私に対して、他のみんなは納得の色を浮かべる。

「リア、私も含めて竜の加護を持つものは、普通の人間より寿命が長いし、普通の呪いや病にかかりにくい。」

「だから…早すぎる死は不自然だと?」

「ああ、もちろん事故や戰で亡くなる王もいたけれどね。」

「そう…それで、わかった事と言うのは何かしら?」

「慎重に父の元忠臣達にアプローチをしていたら、彼らの何人かが、暗殺未遂や毒殺未遂を目撃していてね。どうも普通の手段では殺せないと、叔父が強力な古代魔道具を購入したらしい、と言う話を聞いた者がいたんだ。もちろん、まだ真相までは行き着いていないのだけどね。」

「よくそこまで調べられたのね。」

「リアが気前よく援助してくれるからだよ。あとは、リアの父上が私の滞在を黙認してくれているのも大きいね。」

「まあ、お父様は、お父様ですから。」

ただの友人では無いと、とっくに気がついているだろうけれど、黙って離宮を貸してくれている。


「では、次は私から。」

リュカ様が立ち上がり成果を告げる。

「この7年、保養地の殿下の家に来たもので怪しい者は2名。いずれも後をつけたところ、王妃のところへ帰って行きました。盗聴した内容では、殿下が今にも死にそうな無気力状態で友もいない事を喜んでおりましたが、家から出ないため事故を装って暗殺しにくい事を悔しがっておりました。…何度か暗殺者や毒入りの食事を廃棄した事も原因かと。」

なるほどね、あともうちょっとなのに、そのちょっとがうまくいかないもどかしさね。

計画通り弱体化しているのに、中々しぶとい…

ちょっとイライラしているでしょうね。

もうじき、王太子を決める時期でもあるし、ここらへんでウチの子以外に血筋はおりません!!ってしておきたいよね。


「あとは、他国の状況ですが…南の帝国、アマルディア帝国と西の国、聖ウルズリリア皇国は共に軍備拡大を急ピッチで進めています。今すぐ攻め込んでくる気配はありませんが、3年ほどまえから軍隊の人数を大幅に増やしております。」

「アマルディア帝国は獣人が多くて、かなり武闘派な国で…ウルズリリアは人間以外の種族を認めない、人間至上主義だったわよね。」

「ええ、コーデリア嬢。その通りです。これらの状況に対して、友好国のシンフォニア妖精国はおそらく増援が期待できるでしょう。他にも小国がいくつか味方になる可能性がありますね。」

「その国々も、こちらが竜の加護を持つ国と思っての事だから…正直正式に声明を出すまではわからないね。」

「殿下、その通りです。」

中々キナくさい雰囲気になって来たわね。

それぞれの国が切り札の味方をつけたりする事で、中々お互いに攻められず、この星の中では1番平和な大陸なのに…


どうやら、この世界はいくつかの分断された大陸でできていて、海運で近くの大陸とのやり取りはあるものの、真反対の大陸とは距離が遠すぎてあまり交流が無い。


反対側はこちらと違い、まだまだ魔獣がうろついている世界で、異世界感溢れた世界のようなのだけど。

それらを統べる魔王とかもいるらしい。


こちらの大陸では、熊を都内では中々見かけないように、魔獣もそこら辺では見かけない。

だから冒険者とかハンターとかの職業も全然盛んではない。

おそらく、地球より大きな星と思われるが、いつかそんなところにも行ってみたい。


レオナルト様は私と一緒に魔道具開発を行なったりしていて、1番の成果は転移装置だろう。

魔力があれば、飛行系のスキルがなくても登録した装置に瞬時に移動できる。

ちなみに、一般販売はしていない。

こんな危ない時期に売り出したりして、いきなり王宮が敵に占拠されても困るからだ。


そんな風に、報告会が終わり楽しい夕飯の時間になった。

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