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第6話 パン作りと出会い

メルヴィンは約束通り、ぶどうをくれた。

しかもわりと大量だ。

そのため、地下の貯蔵庫と一部は本の中にしまってある。

今日はぶどうを使ってパン作り。

最近メルヴィンは鉄格子の奥のベッドに寝そべり、作業をずっと見ている。

「できたら呼べ。」

などといいながらゴロゴロしているのが、なんとなくかわいい。

貯水槽に水が少なくなると自主的に足してくれるし、気が向いたら水や火の魔石をくれる。

特に肉と関わり深い火の魔石はしばらくいらないんじゃないかな?ってくらい溜まってきた。

ありがたいからもらうけどね。


さて、本題の早速パン作りだ。

「よし、早速作るぞー!」

まずはパン酵母作り。

ぶどうを皮ごと潰して、小麦粉を少し入れて発酵させる。

「わぁ、どんどんブクブクして来た。」

発酵は特能でできるから楽々だ。

あっという間に理想的な状態になった。

さらにできた種を水洗いして生イーストを作る。

これでどんなパンでも、ぶどう味にならずに作れる。

「やっぱりこの能力すごい!!これがあればなんでも焼けそう…そうなると何にするか迷うわね。」

今日は初だしパン・ド・ミにしようかな。

パン・ド・ミは日本だと食パンと大差ないやつで、おやつに食べてもらったら、いいかも。

生イーストを半分取り分けて、夜はバターロールにしようかな。

材料の粉や砂糖、塩などを混ぜバターを加えてこね…生イーストを加える。

生地の状態はスキルで好きなようにできるので、正直ものすごくやりやすい。

そのまま発酵させて、型に入れてからまた理想の状態まで発酵させる。

焼き上げて…

「できた!!」


早速取り出して蒸気を抜いていると、呼びかける前にすでにメルヴィンがスタンバイしている。

焼きたてはカットできないから、しばらく待ってもらおうかと思っていたけれど…

ちぎって食べちゃおうかな。

焼きたても美味しそう。

「これは?なんだ?パンか?へんな型だな。」

メルヴィンは鼻をふんふんしている。

「そうよ、ちょっと待っててね。」

型から外して皿に乗せる。

「食べてみてのお楽しみだけど、口に合えばたぶん美味しいわよ。」

テーブルに持っていく。

「熱いから気をつけて食べてね!」

自分も慎重にはじをちぎり取った。

メルヴィンは不審そうにくんくんしている。

「熱い!…でも何これ。美味しすぎ!!」

カリッと焼けた香ばしい外側と、ふわふわの生地がたまらない。

むしろとろけるレベルでふんわりなめらか…

ほんのり甘くて、みるく風味と香りがいい小麦が香りほんのわずかに果実感がある。

「やばい…止まらない。」

冷めてからも食べたいのに手が止まらない。

記憶にあるどんなパンより、ふんわりなめらかで美味しい。

ふとメルヴィンを見ると、一口食べてぽかーんとしている。

「え?もしかして、不味かった?」

こっちの人達の口には合わないのかな?

「……いや、本当にこれパンか?」

「うん、そうだよ。いつも食べているのは無発酵パンだけど、これはふわふわにするために発酵させてから焼いたんだよ。」

「発酵?」

「うん、ぶどうに含まれる酵母って言うのがパンをふわふわにしてくれるんだよ。気に入らなかった?」

「いや、歯応えが無くて驚いたが…すごく美味い。」

「よかった。不味かったかと思った。」

「リアの飯は美味い。」

今リアって呼ばれた?

愛称で呼んでもらえるとなんか嬉しいな。


その晩に焼いたバターロールも大好評だった。

聞くと、食堂には行っても行かなくてもいいみたいなので、その日からサッパリ行かなくなり、夜以外のほとんどの時間をメルヴィンからもらった家で過ごした。


翌朝、シナモンロールを焼きメルヴィンに振る舞うとこれも美味しそうに食べていた。

「甘いの、平気なの?」

「ああ。でも、甘すぎは苦手だ。」

このくらいの甘さは平気なのね。

「ねぇ、メルヴィン。私外散歩してみたいんだけど、一緒に来てくれる?」

ここが長いらしいメルヴィンと一緒なら、危険な外も出歩けるかも。

「ああ、かまわない。」

「ありがとう!ちょっと外行きたかったのよね。」

お昼外で食べられるように、バスケットにいろいろ詰めて行こう。


「どっちに行く?」

「あっちの森の方にいってみたいんだけど…」

「なぜだ?」

「え?ちょっとお肉に合いそうな、野生のベリーがあれば嬉しいし、他にもキノコとか食べられるものあるかと思って。」

「……買わないのか?」

言われると思った。

「…あのね。私ここの誰よりも貧乏なのよ。お金、全然持ってないのよ。」

「…そうか。ならいくか。」

ガックリと肩を落とした私をみて、それ以上聞かないで歩き出した。

でもここは訳ありの子ばかりだし、私みたいな子も珍しくないのかもだけど。


森には細い道があったので、そこをたどっていると、思った通り森にはいろいろあってテンションが上がる。

しばらく野生のブルーベリーを摘んで楽しんでいたが、何故かメルヴィンが少し落ち着かないみたい。

「何?そっちに何かあるの?」

メルヴィンはずっと道の先を見ている。

実は魔女の家への道だったとか?

「いや…行きたいなら行くか?」

「危ない場所なら、別に行かなくてもいいんだけど…」

「そういう訳ではない。行くぞ。」

メルヴィンはズンズン進み出した。

少し行くと、小さな家が見えた。

さらに近寄ると…

「ちょっと、メルヴィン?ここ何?ひどい匂いなんだけど!!」

玄関前に積まれた、腐った食べ物のせいでひどい匂いがする。

1番上には新しいようだけど、カビカビなパンが置かれている。

「メルヴィンってば。帰ろうよ。」

ここ虫もひどいしいたくない。

その時…

扉がキィ…と開き、ガリガリに痩せた黒髪に青い目の男の子が現れた。

「メルヴィン?きてくれたんですか?」

何?

男の子?

服も汚れていてひどい状態だ。

「生きているな。」

「はい、大丈夫です。」

「大丈夫って…全然大丈夫に見えない!!」

「?そちらの方は?」

「…リア。友達。」

「貴方のお友達ですか?僕はギルバートです。ギルって読んでください。」

「ギル君ね…私はコーデリア・ハヴェルカ。貴方、ひどい姿よ。ここに住んでいるの?」

「お見苦しい姿でごめんなさい。僕1人ですが、たぶん明日か明後日には、また食べ物も来ますので、本当に大丈夫ですよ。」

「それは大丈夫って言わないわ。…メルヴィン、悪いんだけど、うちから掃除セットとセシルに言って私の寝巻き持ってきてくれる?」

「わかった。」

ギルバートは、立ち去るメルヴィンを意外そうに見ている。

「本当にお友達なんですね。」

「え?メルヴィン?…そうね、いろいろ助けてもらっているわ。」

「…そうなんですか。」

見た感じ、5歳くらいの男の子のがたった1人でこんな場所で過ごしているなんて…

なんとなく、杏弥の姿がかぶり放っておけない。


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