幕間 暗殺失敗
少し時を遡った王宮にて…
「どうしてまた失敗したのだ!!」
報告にやってきた、暗殺部隊の隊長を怒鳴りつける。
何度やっても上手くいかないので、ついに王家秘蔵の古代魔道具まで持ち出したというのに…
「それが…結界に守られ…かすり傷すら負わせる事ができませんでした…」
「そんなハズがないでしょう?」
ちょっと脅して味方につけた、魔導士団のアーチストへ目を向ける。
目を向けられたアーチストは大慌てで答える。
アーチストは少し小太りな人の良さそうな青年だ。
「た、たしかに、あの魔導具は正常に作動するハズです!!それに、発動すれば魔導士団が全員で防御にあたっても防ぎきれないような、強力な呪詛が発動する仕組みです。その内容も凄まじく…自分が最も嫌な死に方を自分で実行してしまうと言う…致死性の高い品のはずです!」
「コレを作るためだけに、過去に罪人が万単位で殺されたと…そう聞いていたわよ?」
王妃はアーチストをイライラと見ながら言う。
「そ、その通りです…」
「それなら、何故失敗したのかしら?どうなったのか教えてちょうだい?」
今度は暗殺部隊長に促す。
「我々は、いただいた命を遂行すべくアカデミーの出入り口で見張っておりました。対象が確認できた為、魔道具を発動…しかし…」
隊長は何が起きたのかわからない…と言う風に続ける。
「次の瞬間…発動したはずの魔道具ごと…跡形もなくなっていたのです。」
「えっ?しかし…あれは発動すれば、視認可能な死神が現れる…と伝えられていますが?」
アーチストが、混乱しながら質問する。
「はい、私もそこまでは一瞬ながら確認致しました。しかし…まるで幻のように消えてしまったのです…」
「そんなハズが…」
「事実なのです。」
「もう良い。」
イライラとした調子を隠さず、王妃が遮る。
「アレを使えば、1人は偽物と世間を謀った罪悪感から…もう1人は、それを助けた事への罪の意識から…と言う事にでもして、邪魔者を2人消せたハズだと言うのに…」
「申し訳ございません!!」
「して…連日の不始末。暗殺失敗の理由くらいは掴んだのであろうな?」
隊長の顔が一気に曇る。
「その…娘の方が経営するレストランまで結界の魔道具が張られている事は確認出来ましたが…」
結界と聞いて、アーチストが不思議そうな顔をする。
「結界?結界魔法の魔道具は大層高価な上に、存在自体がレア中のレア…そのほとんどが王宮の宝物庫にあるハズでは⁇第一、結界魔道具はそこまで強力な守りのものは現存しないハズですが…」
「そこは…あの公爵のやつかもしれぬな。」
「王妃様、公爵というと…あの娘の父親の…」
「そうだ。あやつであれば、そんな道具をわんさと隠し持っていても何ら不思議はない。」
「娘可愛さに大盤振る舞いしたと?」
「ああ…だがそうであれば、奴の魔道具も攻撃を続ければ、打ち砕けよう。」
「なるほど…ですが、あの魔道具の次は、何を使いますか?最強の部類の古代呪具でしたが…」
「宝物庫へ向かう。2人ともついてまいれ。」
「はは!!」
今まで失敗した内容は…
触れたら最後、死ぬまでワインを飲み続けるグラス。
座ったら最後、死ぬまで座り続ける椅子。
見たら最後、鏡に魂が吸い取られる鏡など…
きっと内容が緩かったのだ…
王妃は次なる攻撃を考え、宝物庫へと向かう…




