↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/121

実態調査、ポーション屋③

 確実にヤラカシタ感満載のイリュス様の瞳に縋られたあたしは、心の声でイリュス様にとにかくどちらでもいいから名前を言うように伝えた。

 揺れる乙女のようにイリュス様の視線が彷徨い。そして、再びのカトレアさん。


「それでぇ~~~、どっちなのぅ~~~~?」

「――っ、くるっ……ハクサマデス」


 今どう聞いてもクルル様って言いかけたよね? 言いかけたよね? まさかのボーイズラブ展開! クルル様のこと好きだったんだなぁ、イリュス様。こういうとっさの時って本音が出るって言うよね~。でも、まぁこれでカトレアさんの最終試験はクリアかな?


 婦女子が大好きなアレで興奮しているとクルル様がバッとあたしの肩を掴んだ。その力強さに吃驚しながら視線を合わせるために屈んだクルル様が、真剣な瞳を向ける。


「白、誤解だ! 私は男に興味はない! イリュス誤解を与えるな!」

「あらぁん~~~、三角関係なのね~~~。うふっ、モテるのね~~~頑張って頂戴ね~~~。お代は二十万ギンよ」

「白様、止めて下さい。ただでさえ厄介な状況なんです。こんな時に笑えない冗談は勘弁して下さい」

「は?」

 

 今は心の声が二人に届くってことを忘れていたあたしの妄想に、クルル様は必死の形相で訴え。カトレアさんにお代を手渡しポーションを受け取ったイリュス様が、こちらを振り向いた途端、コールドブレスを放ち頬を引きつらせていた。


 とりあえず、ここを出るか。と提案したクルル様の声に従って、ファンシーなポーション屋を出る。店の前で三人固まって話すのも迷惑だろうと少し離れた場所で立ち止まった。


『アーニマ、あの店はどうであった?』

『ん~。匂いを嗅ぐ限り、あの子は来てない~。でも、店の持ち主以外の匂いもしたから、お客さんはいるみたいだよ~』

『しばし様子を見るにょがよいようだにゃ』

『オレじゃ役に立てなさそうだぜ』


 姿を隠した精霊たちがヒソヒソと会話する。ヒソヒソしててもあたしには聞こえるんだけどね。クルル様とイリュス様は難しい顔をして、買ったばかりのダイヤ型のポーション瓶を見ていた。


「今すぐ試せるとすれば、これか……確かフェーリクルポーションだったな」

「はい。精霊様のお姿が見えるようになると白様はご説明でした」


 きゅぽッという音を立ててポーションを開けたクルル様が、イリュス様の静止をまたずに一気にポーションを煽る。くっきりと浮かんだクルル様の喉仏が一度上下に動き、あたしを見るクルル様の目が見開かれた。


「クルル様! 毒かもしれないものを勝手に飲まないで頂きたい! そう言ったことは私たちがすべきことです!」と憤りを露わにするイリュス様に、クルル様はあたしをと言うよりは、オリジンたちを見ながら「…………み、みえるぞ、イリュス……会話まで聞こえる」と呟いた。


『ふむ。にゃらば、アーニマ。風の下位精霊をこにょ店にょ近くに配備しておくにょだ』

『わかった~。皆ぁ~!』


 ニマ君の呼びかけにそれまでいなかったはずの精霊が、次々と姿を現した。一人目は、白い風が渦をまいたようなワンピースのお人形みたいな見た目の女の子。二人目は、親指ぐらいの大きさしかないふわふわとした毛玉みたいな子。三人目は、眼を凝らしてみれば漸くその輪郭が判る熊みたいな子だ。


『みんな、あのお店を見張ってて~、見つからないようにね。誰か来たら僕に教えて~』


 ニマ君に頷いた精霊たちが見えなくなると同時に、柔らかい風があたしたちを撫でた。満足そうに尻尾を揺らしたニマ君の背中をわしゃわしゃする。そう言えば静かだな~なんて思いながら向き直ったあたしの視界に、白いローブを着た人が店へ入っていくのが映った。


「あれは、神官だよね? なんで神官が?」

「神官?」


 神官の背中のマークって聖女のお付きのマークに似てた気がしたけど、うーん。近くで見ないと分からないなぁ~。今出て来たばっかりの店に入るのも微妙だけど、それよりもあのローブをリーンが羽織ってきてた場合、あたしがクルル様とリーンを引き合わせる事になるから行きたくないなぁ~。二人を会わせたくないし、ここはスルーしとこう。リーンじゃなかった場合はどうしよう。うーん。

 

 どうしても二人を引き会わせたくないあたしは、スルーしようと試みる。

 店に背中を向けているクルル様があたしの呟きを拾う。あたしの視線を追うように店を振り返った二人は首を傾げ、こちらに向き直る。


「白様?」

「どうした?」

「あーうん。ちょっともう少しここに居たいんだけど、クルル様たち直ぐ帰る~?」


 二人に誰かが店に入った事を伝えると確実に走って戻りそうだし。よし、とりあえず流そう! 馬車読んでもらって中で話せばいいし、出てくるの待ってればリーンかどうかはハッキリするし。もし、リーンじゃなかった場合は、その時に話し合えばいいや。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。