真実①
人生初めての告白は、勢いに任せてクルル様におでこを片手で抑えられた状態で終了した……。なんでそんなことになったのかと言えば、気合いを入れすぎたあたしがベットから乗り出し、クルル様に迫った挙句ベットから落ちそうになっただけ……。
「はぁ~。分かった。お前が、私を好いていてくれているのは分かったから落ち着いてくれ……」
「えへへっ、う、嬉しくて……ごめんね?」
「まったく……自分で自分が信じられない。なんでこんなのが可愛く見えるんだ……」とボソボソ呟きながら、クルル様は耳を赤くしてあたしの頭をぐりぐり撫でる。その仕草も照れ方もカッコカワイイ。
デレるクルル様の様子に調子に乗ったあたしは、クルル様の顔を覗き込み「可愛い」と声に出す。するとそれに反応したクルル様が、むっとした顔をした。
数秒だけ見つめ合った後、何かを諦めたように瞼を一度下ろしたクルル様は、再び視線をあげる。
「…………。それよりも、アレクと一緒に居たあの女について何か知っていることがあるのだろう?」
本当はこの世界についてあたしが知りうる全てを話そうと思っていたけど、本当にいいのか不安が募る。もし、クルル様やイリュス様、オリジンやニマ君があたしが全てを語る事で消えてしまったら? それじゃなくても、この世界の神様が機嫌を損ね地球に戻されてしまったら? 嫌だ。皆と居れなくなるのはもう嫌だ。
「クルル様……あ、あのね……」
全て話すべきだと言う思いと今が全て無かったことになるかもしれないと言う思いで、言葉がのどに詰まり出てこなくなってしまう。
俯き、またもグルグルと考え出した途端、ベットが軋む。顔を上げそちらを見れば、優しい瞳であたしを見るクルル様と大人オリジン、ニマ君があたしを囲むように座っていた。
「無理はしなくていい」
『ハクは意外に真面目だからね~』
『あの女については、我らが調べても構わぬのだ』
オリジンが珍しくあたしの背中を摩る。ニマ君は、大丈夫? とでも言いたそうな表情で首を傾げていた。クルル様は肩を抱いて何度も大丈夫だと言ってくれる。こんな優しい人たちにあたしは…………情けない。暖かい気持ちを受け取ったあたしは、胸が熱くなるのを感じる。涙がこぼれそうになり慌てて顔を伏せた。
話す決意をしたあたしは、涙で潤む視界の中で皆に視線を合わせる。
「あのね。リーンについてと言うより、この世界に似た世界をあたしは知ってるの。でも、それを皆に話して、皆が居なくなるのが怖いの。でも……知らないと多分もっと状況が悪くなると思うから……聞いて欲しいの」
そう前置きして、あたしはLove with youの世界について話し始めた。
数ある乙女ゲームの中であたしがはまったLove with youと言うゲームは、少し変わったゲームだったと思う。その理由は、出て来るイケメン達とハッピーエンドを迎えるために、必ずと言っていいほど国の滅亡や世界の滅亡を防がなければいけなかったから。
例えばだけど俺様王子のアレクの場合だと、国の滅亡で……先代の王弟であるイシュリウスが、強欲貴族たちと結託して怒りで暴走した精霊を使って反乱を起こすのだ。それを学園内でアレクと仲良くなり、協力して未然に防ぐとハッピーエンド。少しでもその要素が解決できないとノーマルエンド、反乱が起こってしまったら全員死亡のバットエンドとなる。
基本的に高感度を上げるために会話を交わしたり、デートしたりもするけどその程度じゃここの登場人物たちは落ちないと言う訳だ。
「私の場合は?」
「クルル様の場合は、精霊界とクルル様の国であるアストラル国が消滅もしくは滅亡します」
「理由は?」
「怒り狂った精霊達の暴走です。クルル様もオリジンもニマ君も知っているでしょ? あの公爵が精霊を集めて利用していた事を」
「なるほどな……だが、それはもう防げたのではないのか?」
クルル様の言葉にあたしは首を横に振る。その理由は、今回の精霊拉致監禁事件には続きがあるからだ。未然に防ぐことが出来たのは、地下に捉えられていた精霊達だけ。既に出荷された精霊達は、未だにどこか――多分、あの協会だろうけど――に捉えられている。
精霊達が怒る最大の理由は、オリジンが教えてくれた力のない精霊のコインの存在だ。アレを全て集めて――ぶっちゃけこの集める作業がしんどい――精霊樹へと返して許しを請うことが出来ればクルル様の国も精霊の国も助かる。
「なるほどな……精霊のコインか……一体どれ位あるのだろうか?」
「77,777デス」
「は?」
「一ヵ所に何枚もあるから場所的には、そんなに多くないよ。何度もやって頭の中に全部覚えてるけど……それが本当にあるのかは判らないの。だって、この世界は私の知る世界とよく似てるけど……違うから」
実際、ストーリーの本筋は同じだけど出て来る人間が違うし、出会い方も違うからハッキリと言えない。
『ハク、コインの場所はどれ位あるのだ?』
「ん~。結構な場所に別れてある感じだよ。学園に行って行動するのが一番の近道だと思う。学園の行事ごとに手に入れられてたから」
「なるほど……だったらすぐにでも手配するべきだな」
「えっとね。学園に行くのはいいけど……リーン、えっとヒロインって言うんだけど彼女には気を付けて欲しいの」
イリュス様を呼びすぐにでも動き出そうとするクルル様の袖をつかみあたしは注意を促す。振り返ったクルル様が「どういうことだ?」と首を傾げた。




