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商人を追って⑦

遅くなりました!

 アストラル王国から無事に戻った四人の前に、シェフお手製のお菓子を並べる。お菓子は基本、オリジンとニマ君ようだ。クルル様、イリュス様は甘いものも多少は食べるけど、基本紅茶だけ。

 並べられたお菓子を両手に持ち食べるオリジンと、器用に風の魔法を使って口に運ぶニマ君を微笑ましく見守る。


「そうそう、白に母上から手紙を預かった」と思い出したようにクルル様が紅茶のティーカップを優雅に置き、胸元から一通の封筒を取り出した。それを受け取って、封筒を開くと中から甘い香りが漂う。

 開いた紙を数えれば、十枚……お義母様……どんだけ書いたの? ていうか、そんなに手紙書くほど時間経ってないよね? だって、今日の昼過ぎだよ……この国に来たの!


「ぶ、分厚いな……母上は、まったく……」

「王妃様にとってはそれだけ、大事だったのでしょう」


 あたしが手紙の枚数を数え終えるとクルル様は苦笑いを浮かべ呆れ顔を見せ、イリュス様は遠い眼をしながらなんとかお義母様を擁護していた。

 そんな二人の様子に笑いかけたあたしは、お義母様からの手紙へ視線を移した。


 書かれていた内容は大まかに、アリュスートの王妃様は厭味ったらしいから気を付けて! や、クルルに婚約者に王女をとか言ってきたらはっきり断りなさい! と言った内容を体験談込みで語っていた。

 お義母様……遅いです。既に全部食らった気がします。


 読み終えた手紙をたたみ、返事を書くべきか思案する。だって、まだ半日しか経ってないし……ね。でも、多分これは書かないとダメな方向だと思う。なぜかって、手紙の最後に追伸で、いつでも白ちゃんのお返事待ってるわね! って書いてあったから……。


「ふぅー。クルル様、今度いつ王城に戻ります?」


 一つ息を吐き出して、クルル様へ視線を向けた。返事を持って行って貰う必要がある。その為いつ城に帰るのか聞かないと……。


「まぁ、日々報告にはいくつもりだが?」

「あぁ、そうなんですね……じゃぁ、明日までにお返事の手紙用意するので、王妃様に届けてもらっていいですか?」

「母上に手紙を?」

「うん。王妃様と文通する感じになりそうだから、毎回お願いすることになりそう……紙って結構な値段するし、毎回なら交換日記とかにした方がいいのかな?」

「交換日記とはどういったものなのですか?」

「確かに、王族が使う紙はそれなりに上質なものだからな」

 

 クルル様と話をしながら、手紙ではなく交換日記の方がいいのではないかと思い立ちそのまま口に出してしまう。するとイリュス様が興味津々な様子で聞いた。

 交換日記の説明は簡単なようだけど……説明するとなると難しい気がする!


「えっとですね~。勉強用のノートとか日記帳みたいなものにメッセージとか日記とかを書いて交互にやり取りするんですよ」

「それは面白そうですね」

「日報みたいなものか?」

「まぁ、それに近いですね~。王妃様とするよりはクリスティアちゃんとした方が似合う気がしますけど……」


 実際王妃様と交換日記してます~とか言うと確実に「え?」って顔されそうだしね。その点で言えば、思い込み的友人関係にあるクリスティアちゃんなら問題はなさそう。

 なんてことを考えていたら、クルル様から「ダメだ」と言われた。何故……?


「白とクリスティアが二人だけで交換日記をしていると母上が知ったら、確実に嫉妬で怒り狂うだろうから、交換日記をするなら母上ともしてやって欲しい」


 は? 嫉妬? 何を嫉妬するんですか王妃様!

 その後もお茶の時間を楽しむ合間合間で、クルル様に「頼むぞ? 母上とも交換日記をしてやってくれ」と真剣な目でお願いされた。その目があまりにも真剣だった為「いいよ」と言ってしまったあたしは悪くない!


「でも、交換日記するならノートか日記帳をどうにかしないとですね」

「ふむ。それなら明日は私と街へ行こうか」

「わぁ~い。()()()ですね?!」

「ま、まぁ買い物に付き添うだけだがな」


 一緒に出掛けようと言ってくれたクルル様。きっと気づいてはいないのだろうと思いつつ敢えて、デートと言う単語を強調していってみる。するとプイっとそっぽを向いたクルル様の耳がほんのりと赤くなった。

 まったく可愛いなぁ~。こういうとこが庇護欲そそるってなんで気付かないんだか。


 ニマニマとしながら赤くなったクルル様を眺め、お菓子を一つ摘み口へ入れる。肩と膝では満腹になったらしい精霊二人が鼻提灯を膨らませ眠っていた。


足を運んでくださりありがとうございます。

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