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精霊救出作戦 ⑥ 侵入組編@クルル

 アーニマ様が魔法で開けた箱を、イリュスと二人覗き込んだ。その中身は……麻袋だった。首を傾げイリュスが、麻袋を取り出す。ジャラっと言う金属音に近い音が鳴り、その重さから今にも袋がちぎれてしまいそうな状態だ。


「鍵? もしくは貨幣でしょうか?」

「どちらにしても、開けてみるしかないようだ。アーニマ様、これに魔法などはかかっていませんか?」


 匂いでも嗅ぐかのように鼻を近づけたアーニマ様は、『大丈夫だよ~』と軽い感じで返事をした。その言葉を信じて、イリュスが硬く絞られた紐を解き袋を開けた。そこには行っていたものは……。


「……石か?」

『!!』

「なんなのでしょうか?」


 色とりどりの石のようなそれは、水晶のように透き通り、六角形で、薄く硬化のようでもあった。その一枚を手に取り表面や裏を指でなぞり見た。

 指先に感じるのは、僅かな凹凸。明かりが無く見通しは悪いが、これは葉の形か? それに、僅かながらに魔力に似たものを感じる。

 探るように何度も何度も指先をそれに押し当てる。


『可哀そう……』鼻先を麻袋の中へ近づけていたアーニマ様が、尻尾を丸め耳を垂らし悲しそうな顔をと声でそう呟かれた。

 その様子がとても悲しげで「アーニマ様?」と声をかけようとしたその時、私達の前に別行動を取っていたオリジン様が戻られた。


『そちらはどうだ?』

『オリジン! 皆がっ!』

「オリジン様、これを」


 何かを訴えるようにオリジン様を見上げたアーニマ様に変わり、私は手に持つ不思議なそれをオリジン様に見せるように手渡す。

 私が手渡した物を見たオリジン様は、忌々しげに空を睨みつける。


『我らが同胞に何たる仕打ちか!』


 恐れを感じる程の魔力が一瞬にしてオリジン様から放たれる。と同時に、屋敷内から複数の悲鳴にも似た声があがった。

 まずい! オリジン様の怒りの魔力が屋敷の者たちに伝わってしまった! このままでは、ここに我らがいると気付かれるのも時間の問題だ。そう急に対処せねば……。


「オリジン様。どうか、どうか今はその怒りをお納めください!」

「そうです。まずは囚われた精霊達を白様の元へ連れて行かなければ!」


 怒り心頭気味のオリジン様に本来の目的を思いだして頂く為、イリュスと二人掛かりで声をひそめながらなんとか宥めようと試みた。

 が、オリジン様からは、無言の威圧を受け撃沈されてしまった。

 そんなオリジン様に、アーニマ様が鼻を寄せる。


『オリジン~』

『……許せぬ。人風情がっ!!』


 ギリッと奥の歯が音を立てる。この水晶のような物体がなんなのか、それは私にはわからない。だがオリジン様の様子から、精霊様に関するものだと言う事は推測できた。ならば、これは傷つけぬよう大事に運ばねばならない。


「イリュス」

「はい」

『オリジン落ち着いて~? ね?』

「これをマジックバックにしまえ」

『落ちついてなどいれるか!』

「わかりました」


 私達が会話をしている間も、アーニマ様はオリジン様を宥めていた。それもどうやら失敗したらしく、眉根を下げたアーニマ様が犬とは思えぬ溜息を吐きだされ『もう仕方ないなぁ~。本当は終わってからねって白に言われてたけど』と言葉を零される。

 その言葉が終わるかどうかのタイミングで、柔らかい緑の風がアーニマ様の身を包み、その姿を隠す。

 風が無くなり再び姿を見せたアーニマ様は不思議な事に、首に袋のようなものを括りつけていた。


『クルル~。これ外して~、開けて~』


 アーニマ様に促され、言われるがまま首に括りつけられた袋を外すし、袋を開く。

 そこには……甘ったる蜜の香りをさせた、見慣れぬ食べ物がいくつか入っていた。


『あのね~。これハクがね。精霊さん助けたら皆で食べて~って持たせてくれたの。だけど、オリジン怒りで我忘れてるから、今食べさせようと思って~』


 慌てた様子もなく非常に軽いノリでアーニマ様はそう仰ると魔法を使い、未だ怒り心頭気味のオリジン様の口へお菓子を一つ放り投げた。無言で咀嚼するオリジン様は、お菓子を一つ食べ終わる。


『もう無いのか?』

『あるよー。ハクの手作りなんだって~。おいしいねぇ~』

「「……」」

『うむ。初めて食べたが、これは美味だ』

『お菓子用意して待ってるね~ってハク言ってたから、早くかえろー?』

『そうか、ならば急がねばなるまい!』


 何ともいえぬ空気を醸し出す私とイリュスを余所に、御二方はお菓子談義を続けられた。その際『そうだ、忘れていた』と仰ったオリジン様が持ってきた三本の鍵を此方へ渡された。

 オリジン様のご機嫌はお菓子で治るのか……。そうか、今度からマジックバックにお菓子を常備しておこう。

 

「イリュス。精霊を開放する。鍵をあければ自分達で出てこられるはずだ。後はオリジン様達にお願いしよう」

「かしこまりました」


 この地下にあるのは三種類の鳥カゴで、鍵は種類ごとに同一の物だった。イリュスと二人手分けをして、近場の鳥カゴへ近づき鍵を使う。

 一本目の三つ葉を模した鍵は、先端が尖ったカゴ。鳥を模した鍵は先端が丸く六角形のカゴ。平らで丸く二重になった鍵は、四角いカゴノ物だった。

 次々に、鍵を開け扉を開く。

 私達が扉を開く度、お菓子を食べていたらしいオリジン様とアーニマ様が中の精霊に声をかけ外へ出るよう促していた。

足を運んで頂きありがとうございます。


クルルとイリュスの心情。

「え……お菓子で機嫌が直るの? マジで?!」的なかんじでしょうねぇ~(笑

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