入り混じる感情⑥
どこだろうここ……薄暗い部屋かな? ん~。鉄……牢屋? わからない。人の話し声がするけど、あたしには分からない言葉で話してる。なんだろ、悲しい、寂しい? 帰りたい。そんな感情で胸が締め付けられるぐらい痛い! やだ、ここには居たくない! クルル様、オリジン……たすけて
「……さま?」
なんで、なんでそんな酷い事するの? あたしは自由に空を飛びた――!
「白様?」
「――っ! あ、メアリーおはよう」
「お休みのところ申し訳ありません。魘されておられましたので勝手ながら起こさせて頂きました」
「あ、ん~。ありがとう?」
よく分からないけど、魘されていたらしい。夢の内容は……あら、なんだっけ? よく分からないけど、悲しかったことだけは覚えてる。
着替えをする間中ぼーっとしながら、夢の内容を思い出そうとするけど全く思い出せなかった。
『ハク? どうしたにょだ?』
うーん。夢の事思い出そうとしてるんだけど……思い出せなくってさ。
『ふむ。余り良い夢ではにゃかったにょだろ?』
かも? よくわかんない。
『クルルが来る』
そっか! じゃぁ、クルル様にも許可貰えたらあの約束は守って貰うからね?!
『わかっているにょだ』
オリジンとの約束。それは、クルル様の許可が下りればクリスティアちゃんの部屋に行ってもいいと言うものだ。
実は昨夜話したところ、オリジンは相当にオコで……お菓子ではつられてくれなかった。が、そこであたしも引く訳ないはいかない。
どうにか悩みまくって捻りだした案が、クルル様がクリスティアちゃんい会っても良いって言ったら会いにいく事を許すと言ってくれた。
「おはよう。白、痛みはどうだ?」
「おは~、クルル様。ん~平気だよ」
「そうか、それは良かった」
相変わらずのイケメン具合。開口一番の挨拶と心配する言葉にほっこりする。
あたしの座るソファーに腰掛けたクルル様が、相変わらずスマートな手つきで腰に手を回し座る。するとすぐさま、紅茶が出来るメイドメアリーさんによって差し出された。
カップをつまみあげる男の人らしい筋張った手が萌え要素だな! なんて思いながら、クリスティアちゃんの部屋訪問の話をどうやって切り出そうか悩む。
そのまま言っても絶対却下って言われそうだし……うーん、何か良い感じに良い回せないかな?
そうだ! これだ! ここは淑女らしく、漫画のヒロインよろしく女子力アップ作戦でいこう!
よし、まずは上目遣いを意識してっと……
「あの……クルル様!」
「ん? どうし……た」
クルル様の表情筋があたしを見た瞬間引き攣るようにピクピクと動く。
ちょ! なんでそんな引き攣ってるんですか顔!
「あのですね……お願いがあるのですがっ!」
「あ、あぁ……そうだ、すまない用事――」
立ち上がろうとするクルル様の裾をひっつかみ、ニッコリ笑みを浮かべた。そしてキッと睨みつけ、頬をぷくぅと膨らませる。
「酷いです……もういいです、バカ! クルル様のばかぁ!」
からの泣きまねで泣き落とし……さぁ、どうだ! これで確実にしとめたはずっ?!
慌てたように座りなおしたクルル様が「す、すまない」とスゴスゴ謝って来た。
そこで、あたしは「じゃぁ、ぐずっお願い聞いてくれますよね?」と言質取る。そして成功した。
ニヤっと俯きながら笑ったあたしは、悲しそうな表情を作り顔をあげクルル様にお願いをする。
「クリスティアちゃんと面会していいですよね?」
「なっ! そ、それはっ!」
クルル様が途中で言葉を止めてしまう。その様子から多分、ダメだと言いそうになったっぽい。
けど、あたしもここで引く訳にはいかない。ごめんね、クルル様。
「さっき……お願い聞いてくれるっていいましたよね? 約束は守るべきだと思うんですよね……?」
「……うっ! どうしてもか?」
「どうしてもです」
クルル様とガチで視線がかち合うのは、あの日木の下で初めてあった時以来だ。恥ずかしさから、微かに頬が熱を持つ。けど、ここで逸らす訳にはいかない! そう思ってクルル様を見つめ続けた結果――。
瞼を閉じて視線を逸らしたクルル様が「10分だけだ」そう言ってくれた。
やった! あたし頑張ったよ? これでクリスティアちゃんと話せる。まぁ、上手く話せるかは微妙だけど……少なくとも、魔法で攻撃を受けたあたしが姿を見せる事で彼女の不安はなくなるはずだから。
「じゃぁ、さっそく!」そう言って立ち上がりかけたあたしをクルル様とオリジンが同時に抑え込むようにソファーに引き戻した。
二人同時に溜息を吐きだし、呆れた顔をする。
「医師の許可がおりたらだ」
「身体が回復してからにするのだ!」
そして口々にこう言われてしまった。医師の許可って……何日後だろう?
なんて事を考えていたら、クルル様からクリスティアに会わせるには条件があると言われてしまった。
「3日後、ゼシリア殿に来て貰う。それまでは、部屋で大人しくしておくこと! 脱走したら……今度こそオリジン様に頼んで、お前を縛り付けて貰うからな!」
「えー!」
クルル様の言葉にブ―たれるも、そこで違和感に気付く。
ん? 今度こそってどう言う事? ま、まさか! オリジンちくった?!
いつもなら心の声を読むはずのオリジンが何も言わない。その事に確信を持ちジト目をオリジンに向けた。すると、オリジンは既にあたしたちの会話に興味が無くなったのか、小人の姿でモグモグとお菓子を咀嚼している。
この……駄精霊め!
そう心の中で、美味しそうにお菓子を頬張るオリジンに毒づいた。
足を運んで頂きありがとうございます。




