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お妃修行、敢行中⑫

 クッションでプスープスーと寝息を立てるオリジンを優しく、指先でつっつく。すると、嫌がる子供のように寝返りをする。


「オリジン~。ごめんね、起きて~!」

『んにゃ~。ハクにゃんにゃにょだ……まだ、眠いにょだ』


 眠そうに眼を擦るオリジンに、ごめんね。そう謝りながら、何とか起きて貰う。瞼を両手の掌で擦りながら起きあがったオリジンに、クルル様たちにあの魔法が使えないか聞いた。


『クルル達にはつかえにゃいにょだ』

「え? なんで?」

『ハクは、我と契約しているからできるにょだ』

「もしかして、契約して無いと魔法は使えないってこと?」

『そうではないにょだ』


 そう言って、オリジンは姿を小人から大人の姿に変化させる。

 大人の姿になったオリジンに、クルル様とイリュス様がハッとしたように立ち上がり軽く頭を下げた。

 二人に気遣いは無用と言わんばかり手をあげたオリジンは、軽く背伸びをしつつソファーに座った。

 オリジンが座ったのをみた二人も、ソファーに座る。


『これで、声は聞こえるか?』

「「はい」」


 二人を交互に見つめ、声が聞こえるようにしたらしいオリジンが話かければ即座に返事が返していた。


『では、説明する――』そう言ってオリジンが説明を始める。

 オリジンの口から流れ出る呪文のような何かを聞いていたはずのあたしは、その内容が全く理解できず一人置いて行かれた。


『――と言う訳で、そなたたちに魔法を使う事はできぬ』

「なるほど……要はハク様を媒体に魔法を発動させている。

 と言う認識で問題ありませんか?」

『あぁ。問題ない』


 眼鏡をツイっとあげたイリュス様が、オリジンの説明を分かりやすく? 全く分かりやすくは無いけど、復唱していた。

 するとオリジンもいつもの可愛らしさのかけらもない声音を出し、頷いている。


 あ~。オリジンが、あたしの癒しが可愛くない!


「では、白様がその場に居れば私たちに魔法を使う事は可能ですか?」

『ふむ。それならば出来なくもないが……ハクの魔力が尽きる。

 出来るとすれば、どちらか一人だろうな』


 イリュス様とオリジンが何を話しているのか全く分からない。

 ただわかるのは、この国の王子とそのお付きが姿勢を正して聞いているのに対して……オリジンは、偉そうにひじ掛けに肘をつき寄りかかるような態勢で二人と話していると言う事。


 オリジン、もっと姿勢良くしなさい! そう心の中で突っ込みを入れるあたしを無視して話は続く。

 

「なるほど……。白の魔力は人よりも少ないからでしょうか?」

『精霊が好む心地よい魔力ではあるが、その量は微々たるものだ。契約精霊が増えれば増えるだろうが……。クルルにもそれはわかっているだろう?』

「はい。それは十分承知しています」

『我の魔力とハクの魔力を混ぜ合わせれば、二人はいけるとは思うが』

 

 そう言って漸くオリジンはあたしの方を見る。

 その視線の意味がわからず首を傾げたあたしに、オリジンは『無理だろうな』と言う。


 その態度にイラっとする。

 はぁ? なんなのさ! 喧嘩売ってんの? 買わないけど!


「ちなみにですが、その魔力を混ぜ合わせるのはどうされるのですか?」

『言葉で語るより見せた方が早いだろう』


 そう言って立ち上がったオリジンが、あたしの顎を持ち上げ顔を近付ける。

 は? ちょっ――!!


 危うくキスされるかと思ったその時、コツンとおでことおでこがくっついた。

 なんだろう……これ、凄く瑞々しい感じ……あぁ、そうか! 朝陽が登る少し前の森林の中にいるみたいな感覚だ。

 凄く、気持ちいい。


『白、そのまま身を委ねのだ』

「ん~」


 側に居るはずのオリジンの声が遠くこだますように聞こえ、自分の意思に反してオリジンの言うまま身を委ねた。




 誰かに揺り起こされるような感覚を覚え、現実へと引き戻される。

 無事か? と問いかけていそうなクルル様とイリュス様の顔に、ヘラッと笑った。


「お、おりじん様……は、はく様はだ、だいじょうぶなのですか?」


 見てはいけないものを見てしまったと言わんばかりの表情したイリュス様があたしから視線を逸らし焦ってオリジンに聞く。

 するとオリジンは『すぐに戻る』そう言って、あたしの目の前で両手の掌をパンっ! と打ち付けた。


「うわっ!」

『ハク、気分はどうだ?』


 音に驚いたあたしの顔を覗き込むようにオリジンが、その顔を寄せる。

 あぁ、オリジンの瞳の中って金? が混じってるんだ。知らなかったなぁ~。

 オリジンに再び気分はどうだ? と聞かれ、ほんの少しだけ気だるさを感じそのまま言葉にした。


「ん~? 少しだるい?」

『ふむ。慣れるまで何度か試す必要はありそうだが、無事耐えられたようだな』


 あたしの答えにオリジンが、腕を組みソファーに座り直す。

 二人の視線を受け、何かを感じ取るように瞼を閉じたオリジン。

 沈黙するあたしたち。

 ふぅー。と息を吐きだしたオリジンが、瞼を開いた。


『何度もするのは難しいが、一度ならば数時間程度は耐えられるだろう』

「そうですか……では、一気にやるべきですね……」

「うむ。どうにか手を考える必要がありそうだな」


 え? 何? 意味がわからないよ!

 意味深過ぎる発言をする三人を交互に見つめるあたしは、一人蚊帳の外だった。


足をお運び頂きありがとうございます!

読んで頂けるだけで嬉しく思います。


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