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第5話 必歩流帝〜酷等との抗争②

 暗い道の向こうから、爆音を響かせながら明るい光がやってきました。次々とバイクが必歩流帝(ヒッポリュテー)たちの前に止まります。

「よく来たな!

 今日が『必歩流帝(ヒッポリュテー)』最後の日になる!」

 「酷等(ヒドラ)」のヘッドは一番奥にいて、どんな人かはよく見えません。

「うるせえ!

 最後なのはそっちだぜ!」

 必歩流帝(ヒッポリュテー)はそう叫んで、武器を振りかざして敵陣に突撃していった。メンバーも皆、必歩流帝(ヒッポリュテー)に続く。

 空玲須(クレス)は、近くにあった武器を拾った。金属のトゲのようなものがたくさん生えている、木の棒。なんだか懐かしい気がする…。

 バット、パンチ、飛び蹴り…。必歩流帝(ヒッポリュテー)の白い特攻服が、美しい金髪をなびかせながら鮮やかに「酷等(ヒドラ)」たちを倒していく。「酷等(ヒドラ)」はあっという間に数を減らし…。

 いや。

 倒れた「酷等(ヒドラ)」たちがゆっくりと立ち上がる。そして、ゆらりと揺れたかと思うと、その姿が二人に分かれていく。

「必歩流帝(ヒッポリュテー)が言っていたのは、このことか。」

 必歩流帝(ヒッポリュテー)が「酷等(ヒドラ)」をいなしながら、空玲須(クレス)の横に戻ってきた。

「何かわかるか?どうすれば倒せる?」

 手下は、明らかに自分の意思を持っていない。操っている者、おそらくヘッドを倒せばいいだろう。しかし…。

「手下が邪魔だな。」

 空玲須(クレス)は周りを見回した。そして、必歩流帝(ヒッポリュテー)に聞いた。

「なんか、火をつけるものないか?」

「はあ?

 ウチらは、タバコ厳禁の健全なレディースだからな。ライター持ってるやつなんか…。」

 その時、メンバーの一人が必歩流帝(ヒッポリュテー)の足元に滑り込んだ。手にはライター。

「あねさん、ウチ持ってます。」

「バカヤロウッ!」

 必歩流帝(ヒッポリュテー)の鉄拳が飛ぶ。メンバーはライターを残して吹っ飛んだ。

「すみません、あねさん…。」

「本当は追放するところだけど…。今回だけは感謝するよ。

 で?何に火をつけるんだ?」

 必歩流帝(ヒッポリュテー)は、空玲須(クレス)にライターを手渡した。

 小さな箱。コレが、火をつける道具なのか…。一体どうやって?

 戸惑う空玲須(クレス)の顔の前で、必歩流帝(ヒッポリュテー)はライターに着火した。

「うわぁ!」

 驚く空玲須(クレス)に、呆れた顔の必歩流帝(ヒッポリュテー)。

「さあ、早く。なんとかして。」

 空玲須(クレス)はライターを受け取り、バットに火をつけようとした。しかし焦げるばかりで、なかなか着火しない。

「おい、だれか。ガソリン持って来い!」

 必歩流帝(ヒッポリュテー)の言葉に、予備タンクを持ってくるメンバー。必歩流帝(ヒッポリュテー)は、空玲須(クレス)のバットの先に、ガソリンを流した。

「気をつけろよ。下手したら爆発するからな。」

 その時、戦っているメンバーたちの悲痛な叫びが聞こえた。

「あねさんッ。もう!持ちません!」

「待ってろ、今行く!

 …あとは頼んだよ。」

 空玲須(クレス)にそう言って、白い特攻服はまた戦場に戻っていった。

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