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最終話

最終話になります。

あれから数か月後、俺は祐司と買い物に来てる。もうすぐ真也と奏の誕生日だ。二人は誕生日が同じなんだよな。そんなわけで、俺らは二人の誕生日プレゼントと、俺の服を買いに来てる。


「しかし、光也も痩せたなあ。半分くらいになったか?」

「大げさだ。オレはちょっとぽっちゃりだっただけなんだからな。」

「そのぶかぶかな服着てよく言うぜ。で、彼女の親に好感度が高そうな服だっけ?」

「そう!お前は俺よりセンスがいいからな。頼りにしてるんだ。何としても澪ちゃんのご両親に気に入られたい!!」


なんと!澪ちゃんが自宅に招待してくれたのだ。ご両親もいらっしゃるということで、きちんと挨拶しなきゃな。緊張する!


「じゃあ、まず、奏へのプレゼントからな。」

「いやいや、俺の服からにしてくれよ。服が大きくてちょっと恥ずかしいんだよ。」

「今のサイズの服買ってたろ。何で今日は前のサイズなんだよ。」

「みんな洗濯しちゃったんだよ。」

「めんどくせーなー。あ、あの店、いいな。」

「宝石店だろ!?奏に何やるつもりだよ。」

「指輪。」

「小学生だから!!重いだろ、そんなプレゼント!!」


そんな会話をしながら歩いていたら、何か、後ろの方が騒がしくなってきて、悲鳴が聞こえてきた。


「何だ?」

「事件?」


黒い服を着て帽子をかぶってサングラスをして、いかにも怪しい男がこちらに走って来ていた。男の右手には何か、光るものが。


「危ない!!!」


俺は力いっぱい祐司を突き飛ばした。男が右手を俺に向けてきて、握っていたナイフが俺の服を掠めた。


「光也!!!!」


祐司の焦っている声がする。このまま、死んでたまるか。無我夢中で持っていたリュックを男の頭をめがけて振り回した。


・・・・・・


辺りは騒然としていた。警察や救急車が来て、忙しく動いている。結果的に言うと、ナイフを持っていた通り魔は、メンズカタログやファッション誌が袋一杯に詰まっていたリュックをまともに受け、脳震盪を起こして警察に捕まった。俺はどこにも怪我をせず、むしろ突き飛ばした祐司が擦りむいたくらいだ。


警察から事情聴取を受けた後、祐司には、運動神経がないのに何で自分をかばおうとしたんだ、と怒られた。確かに祐司の言う通りだが、体が勝手に動いたんだから、仕方がない。きっとまた似たようなことがあっても俺は同じ行動をしてしまうだろう。自分の予知夢は見られないんだから、体を鍛えておくべきか。


ふと、気付いた。これが俺が死ぬ原因だったんだ。ナイフが掠った場所、ダイエットしていなければ服だけでなく、俺の体がそこにはあったのだから。それに、澪ちゃんのご両親に会うための服を買いに来ていたのもラッキーだった。だからあんなに雑誌を持っていたんだ、そうじゃなきゃ助かってなかったかもしれない。


この時の話をみんなにしたら、怒られたり、泣かれたりと大変だった。特に母親と澪ちゃんに泣かれたのが一番きつかった。真也と奏は泣いてはいなかったが、それからしばらく俺にくっついて離れなかった。予知夢で見えた人以外にもたくさんの人を俺は悲しませるところだったんだな。


きっと乙女ゲームの『目黒光也』には予知能力がなかったんだろう。澪ちゃんが彼女になることもなく、ダイエットをすることもなく、死んでしまったのだ。


あれから、一度だけあの夢を見た。もちろんヒロインの傍に真也と祐司はいなかったけれど、他の男を侍らせているヒロインが、なんとなく最初に見た夢より、嫌な感じがした。俺はあの男たちには何もしてやれないけど、あいつらが他の男と共有してでも彼女の傍にいたいというのでないのなら、ヒロインの呪縛から解き放たれるといいなと思うんだ。

「もし、予知夢で自分の未来を見られるとしたら、何が見たいですか?」



◇祐司(保健室の先生バージョン)の場合

「え?未来?そりゃもちろん、オレと奏の大人な夜の・・・あ、別に夜に限定しなくても、濃厚なめくるめくかんn」

「はい、アウトー。あ、すみません、回収に来ました。」


ええっと、専属の方が回収していかれました。


◇真也(高校生バージョン)の場合

「に~~~っこり。」


迫力のある笑顔で何も答えてくれないんですが。


「真也く~ん!」

「みちるちゃん?走ったらだめだよ、危ない。」

「あのね、教えてもらったところがテストに出、きゃあ!」

「危ない!!」


ええと、保護対象の方を無事にキャッチできたようで何よりです。目を離したら危ないですね。


◇光也(大学生バージョン)の場合

「え?自分の未来が見えたら?た、例えば、澪ちゃんとの、けっけっ結婚式とか、澪ちゃんに似た、かっわいいお、女の子が・生まれ・・な、何を言わせるんだよ!!!」


痛っ!!せ、背中痛いから、そんなに叩かないで下さいよ。真っ赤な顔をしたまま、にやけていってしまった。ほんっとピュアピュアなんですね。



え?オレが誰かって?オレは次の話に出てくる予定なんですよ。


オレが予知夢を見られたら?ああ、そうですね。光也さんと同じ予知夢が見たかったです。そうすれば、彼女に悲しい思いをさせることも・・・いえ、結局は同じだったかもしれません。


じゃあ、オレ出番までもうちょっと奥にいます。また、お会いできる日を楽しみにしています。お読みいただきありがとうございました。

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