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野菜士リーン  作者: longshu
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1-42 アンピトリテのシャボン玉

怪我の功名で難なくセイレーンを発見したリーン達は、崖下に全裸で腰掛けている美しい彼女にこの先の順路を尋ねるのであった。ガラハドは目のやり場に困ってシバシバしている。


「セイレーンさん!私達、地下世界のノームの都に行って『水の賢者』フィリに会いたいの!!どうやって行ったら良いかしら?」


「『水の賢者』フィリですね?何ヶ月かに一回思い出したようにそこの絶壁から、私達の都市を見下ろしているのを見かけますね。普段は地下世界『ムスペッルスヘイム』の王都『ルルロロノラムスル』に居るはずですよ。でも『ミズガルズ』と『ムスペッルスヘイム』の境は普段は閉じられています。通るには『海神』エーギル様の許可が必要ですね。それから私、アンピトリテっていうんです。よろしくお願いします。」


アンピトリテの声は、崖下に向けてずっと怒鳴っているリーンのような銅鑼声ではなく、小さく澄んだ綺麗なソプラノだが不思議と遠く離れた崖上のリーン達の耳によく入った。これも【魅惑】という人の脳裏に作用する能力を持つセイレーンの魔力の賜物なのかもしれない。


「『海神』エーギル?ますます神話みたいな名前が出てきたな?」


「私が最初に心配した通り、どんどんエスカレートしているわね?ド○ゴンボールみたいにインフレ合戦にならなければ良いのだけど、、、いつの間にか、ギ○ュー特戦隊の戦闘力10万とか、、、グガッ!!?」


「ねぇ、アンピトリテさん、『海神』に会うにはどうすればいいの?」


「ああ、会いに行きたいんですね?ここからはるか西の『フレーセイ島』の『ヴァンドロメオン』という立派な館に住んでるから、そこまで連れていってあげますね。」


と言うと、親切なセイレーンは、早速リーン達を連れて『死者の海』を渡る準備をし出すのであった。


《フェイザオパオ》(海の浮遊球)


アンピトリテがルーンの詠唱を唱え、手にした何かに口で空気を入れると、みるみる内に直径5mほどの巨大なシャボン玉が出来上がった。


「これに乗ってください、『フレーセイ島』までは半日程度ですよ。」


そう言うと、巨大なシャボン玉は上昇気流を受けてフワフワと絶壁の上を浮いていきリーン達の足元へ漂う。その透明球は、薄く虹色に輝き水魔法により防護されているようだ。セイレーンの言うように人が乗れるのかどうかはともかく、とても丈夫そうには見えた。


「あれ、これワ○ピースでもあったような、、、ガッ。」


「え、これに乗っていくのかよ!?」


「いえ、これに入ればいいんです、入ったらそのまま飛び降りてください!防護膜になって海の上を漂えます!」


(おい、信じていいものなのか?セイレーンって海の魔物だろ??オレも不意打ちで誘惑されたし。。。)


(あれは悪意はないし、それにあなたは隙がありすぎるのよ。どうせ、今のところ他に地下世界へ行く手がかりはないし、彼女の話に乗ってみましょうよ。悪い人魚じゃなさそうだわ。それから、何かあっても私は海の上ではほとんど何の役にも立たないけどメルなにか手はあるの?)


(もちろんよ、伊達にラルっちのもとで2年も修行していないわ!)


「お~い!どうしたんですか~!?」


内々の相談を終えると、アンピトリテの提案にリーンは答えた。


「ご親切に甘えて道案内お願いするわ!」


と言うと、リーンは覚悟を決めてアンピトリテの作ったシャボン玉に手を押し付けた。


とぷんっ。リーンの手が虹色の膜に触れるが早いか、シャボン玉は彼女を舐めるように腕部から上半身、顔と、みるみるうちにリーンを飲み込む。


「あらっ、どうなってるのかしら、これ?」


数秒で、リーンはガラス球に入っている精巧な帆船の木細工のようにシャボン玉の中に取り込まれた。内側から手で押しても弾力のあるボールのように逃げるようにグニャグニャ動いて決して割れないようだ。


「お、おい、息できるのかよ?痛い所ないか?」


ガラハドはどんな時も臆病だ。


「大丈夫よ、なんだか透明な気球みたいね。こう見えて、とても丈夫そうよ。」


「本当か、、、メル、奥の手を信用して良いんだな、、、?」


「大丈夫だって!?あの蜘蛛の幻術の腕前を見たでしょ?ほらっ!」


ドカッ!メルに背中をひどく叩かれガラハドはつんのめるようにシャボン玉に手を入れる。するとリーン同様にするすると中に取り込まれていった。


「あ、ホントだな、どーなってんだこれ!?」


「よし、じゃぁ、いよいよ地下世界『ムスペッルスヘイム』へ出発よ!!」


メルは勢い良くシャボン玉に飛び込むと、なんと、そのまま2人を引きずるようにして絶壁から飛び降りた!!!


「きゃー!!!」


「ぎゃー!!!!お、おい!?」


一瞬で50mも崖を落下するシャボン玉。二人の心配をよそに透明球は海面で跳ね上がり、何度かバウンドを繰り返すとセイレーンの待つ岩礁へ辿り着いた。シャボン玉の中でさながらひっくり返したおもちゃ箱のようにゴチャ混ぜになる3人。


「ちょっと!!!無茶しないでよ!!!!」


「へへへ、実は『ミズガルズに住む亜人と風習』っていう本で、シャボン玉のこと知ってたのよ。水魔法の得意なセイレーンの使う頑丈で便利な水上船って説明があったの。」


「先に言えよ!」


「剛毅なガラハドを脅かすのが、私のライフワークなの~(笑)。」


「あなたって、昔からホント変わんないわね、、、(笑)。」


トラブルメーカーのメルの算入で喧嘩の絶えないリーンたちであった(主にガラハドとメル)。

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