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野菜士リーン  作者: longshu
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1-41 セイレーンの誘惑

雄大に飛ぶオーグレイドの後ろ姿を見送った後、リーン達はセイレーンを求めて探索に取り掛かろうとした。


「しかし、アースドラゴンが碁か?想像つかないな?それにしても、ぶっ飛んだ存在だったな、、、。あ、あれ、ね、眠気が、、、。」


不意に、ふらふらと倒れこむガラハド。


「あれ、どうしちゃったのガラハド?早旅がたたったかしら、、、?」


すると、どこからか悲しくも美しくそして甘美な楽園にでも誘われているかのような旋律が聞こえてきた。一点の曇りもないソプラノの歌声と、小さくも楽器の完成度の高さを感じさせる竪琴の可憐な音色である。


そして、そのリズムに合わせガラハドは眠ったまま起き上がる。その仕草は人形のようでふらふらと前後左右に揺れ動いていた。


「ちょっとメル!何この歌と曲は?また変な呪術でも使ってんの!?」


「え、何で私!?知らないわよ!?」


様子を見ていると、ガラハドはアゲハ蝶のような右往左往をピタリとやめると、ゆっくりとたどたどしい足取りではあるが真っ直ぐに断崖絶壁の方へ移動しだした。甘く魅惑的な旋律はますますその調子を強めている。


「ちょっと、ガラハド!寝ぼけてんの!?だけど、この旋律は一体? なんだか呪術的な響きを感じるわ、、、? あ、ガラハド~!!!」


眠ったまま、足だけ断崖絶壁の方へ歩みを進め、今にも墜落しそうだ。慌ててリーンがガラハドへ駆け寄る。


「あっ!!!」


断崖絶壁の下、リーンの視線の先に、近くの岩礁に腰掛けた淑やかなセイレーンが繊細な作りの白銀の竪琴を奏でながら口ずさんでいるのが見えた。


<どうしてこんなに悲しいのか わたしはわけがわからない

遠いむかしの語りぐさ 胸からいつも離れない

風はつめたく暗くなり しずかに流れるライン河

しずむ夕陽にあかあかと 山のいただき照りはえて


かなたの岩にえもいえぬ きれいな乙女が腰おろし

金のかざりをかがやかせ 黄金の髪を梳いている

黄金の櫛で梳きながら 乙女は歌をくちずさむ

その旋律メロディはすばらしい ふしぎな力をただよわす


小舟あやつる舟人は 心をたちまち乱されて

流れの暗礁いわも目に入らず ただ上ばかり仰ぎみる

ついには舟も舟人も 波に呑まれてしまうだろう

それこそ妖しく歌うたう ローレライの魔のしわざ>


顔つきは子供のようだが、セイレーンは例外なくやはり美しい。水に濡れた輝かしい黄金の髪をガウンのように身にまとっている。岩礁の上では完全に人間の女と同じ形格好をしているが、当然のように一糸まとわぬ姿で、たわわで健康的な乳房を陽光のもとに晒していた。


「あ、あれ反則だわ!嫌味だ。。。」


「ちょっとちょっと!無差別に男を誘惑するのはよしてよ!!?」


セイレーンに聞こえるように、何の臆面も無く大声で怒鳴るリーン。


「あ、ごめんなさい!他意はないんです、ちょっと歌の練習をしていただけなんです。勝手に人間の男性に魅惑の呪法がかかってしまうんです。ここらは人間から忌み嫌われている土地だし、人っ子一人いないから大丈夫だと思って。。。」


「勝手に【魅惑】にかかったガラハドが悪いと(笑)。なんか、眠っている顔もうれしそうね(笑)。」


「う~ん、これからの事もあるし、ガラハドは魔法にホント耐性ないから、魔法対策を真剣に考えないといけないわね、、、。セイレーンさん! すぐ魔法を解いてちょうだい!!」


今にも崖から足を踏み出しそうなガラハドを引き摺るようにしてリーンが怒鳴る。


「あ、そうだった。すぐに解きます。」


<そして巡り会うあなた

邂逅は川の底

沈没船の上

永久に結ばれる二人>


セイレーンの歌声が止んでしばらく、あと一歩で崖を踏み崩しそうな所で、はたと我に返るガラハド。


「はっ、あ、うわ!!! なんだ眼前真っ青!!?」


「は~、よかった。って、夢のなかでセイレーンと戯れてたんじゃないでしょうね(笑)?」


「へ、セイレーン?何?」

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