第108話 『 』
『霹靂神』は雷属性の魔法攻撃スキル。
ウィリアムくんたちと解散したあと、試しに使ってみた。
さすが神の名を冠するスキル。
めちゃくちゃ強いけど、かなりクールタイムが長い。
バトル中に使えても一回だけ。
本当の意味で切り札になるスキル。
しかも、莉菜たち全員このスキルを知らない。
最初の一回、いつ誰に使うか。
ここがかなり大事になりそう。
もう一つのスキル。
メリダさんが使い手を選ぶと言ってたやつ。
これは意味がわからなかった。
『 』の書。
スキル名が空白。
ブルーに使ったら、なにかわかるかなと思ったけど、変わらなかった。
プル!プルプルプルプル!プルプル
ピヨピヨピヨ、ピヨ!ピヨ
プルプルプル
ピヨ!ピヨピヨピヨピヨ、ピヨ
ブルーは取得した『 』スキルを気にする素振りを見せない。
寧ろ、ピナを可愛がるので大変そう。
オレの気も知らずに部屋の一角ではしゃいでいる。
翌日、白黒学園学年別個人トーナメント1年生の部のトーナメント表が発表される。
オレはそれを郁斗たちと一緒に教室で見て驚いた。
もちろんオリヴィアと海夕も呼んだ。
オレの一回戦の相手はウィリアムくんが警戒していた蜆くん。
しかも、順当に勝ち進んだら、二回戦は海夕。
準決勝以降は郁斗たちと当たる可能性が高い。
オレだけ激戦区じゃん。
「これ確か俺たち以外はランダムとか聞いてたけど、絶対に違うな」
「うん、注目が集まるよう対戦カードが組まれてるわね」
「誰が相手でも勝てば問題ありません!」
オレだけじゃなく、郁斗や莉菜も同じことを思っていた。
これには、オリヴィアや海夕も頷いている。
まあ、オリヴィアだけはかなり前向きだけど。
実際、オリヴィアが言うほど簡単じゃない。
オレたちはリベリオンとのギルドバトルで手の内を晒している。
唯一、ダブルバトルに出た莉菜とオリヴィアがマリンとアルマの情報を隠せている。
あとはオレのブルーか。
そう考えると、郁斗と海夕がこの中だと一番不利なのか。
きっと、蜆くんたち四人は鬼姫の誰と当たっても勝てるように対策を用意していると思う。
オレの場合、一回戦からヤバいな。
遅かれ早かれ当たるとは思っていたけど。
郁斗は準々決勝で星宮くん。
莉菜は青天目さん。
オリヴィアは葵さんと当たる。
オレの対戦カードもだけど、学園側が意図して相性が悪い相手と当ててそう。
蜆くんとか、ウィリアムくんとのバトル映像を見た感じ、かなり相性が悪そう。
今日はトーナメントがある影響で授業は午前中だけで、しかも短縮授業。
12時からお昼休憩で、13時から開会式。
ただ、開会式に出席義務はない。
一応、市川先生から学園の目玉イベントだから鬼姫メンバーは参加してほしいと頼まれた。
開会式が終わって13時30分から一回戦第一試合が行われる。
今日は二回戦まで行われる予定。
準決勝と決勝は明日行われる。
新入生代表トーナメントと違って、使用モンスターが2体に増える。
その分、バトル一回辺りの時間が長くなる。
だから、二日間に分けて1年生の本戦が実施される。
注目度としては、準決勝以降の方が高い。
例年、一回戦と二回戦は観客の入りが悪い。
だけど、今年は1年生のレベルが高いから、観客席は満席。
生配信も同時に行うとか。
ちなみに2年生と3年生の部は後日、行われる。
ただ、使用モンスターの数が変わる。
今年だと2年生の部は1年生の部と同じで使用モンスターは2体だけど、予選出場に必要なランクはD。
3年生の部は例年以上にレベルが高い。
使用モンスターは3体、予選出場に必要なランクはC。
3年生の部は使用モンスターが3体だから3日間かけて行われる。
ただ、本戦出場者はみんなBランク。
その優勝候補筆頭が琴音先輩。
学年別個人トーナメント三連覇がかかっている。
途中、2年生の部で土日休みを挟む。
3年生の部最終日の翌日、3月21日は白黒学園の卒業式。
特に変わったことは行われない。
折角だし琴音先輩にプレゼントを渡したい。
今、サプライズ企画をギルド総出で練っているところ。
まだ、なにも具体案が出てないけど。
1年生の部が終わったら薫先輩抜きでも話を進めないとヤバいかもしれない。
「はい、それでは今日の授業はこれにて終了です。1時間のお昼休憩を挟んで13時からは開会式、そして本戦1回戦第1試合の流れで進行します。出場する生徒は精一杯頑張ってください!」
そうして開会式まで残すところあと1時間という所までやってきた。
お昼はいつも通り、みんなと学食で食べる。
今日はいつもより賑やかな気がするな。
「それにしてもまた蓮は第1試合ね!」
「ああ、言われてみれば確かに!」
「あ、ホントです!」
「あ、言われてみたら」
え、莉菜以外気づいてなかったのか。
まあ、トーナメント表見て、誰といつ当たるか。
そこに目がいったのかな。
ていうか、新入生代表トーナメントの本戦と同じでまた一回戦第一試合。
しかも1年生の部から始まるからオレが今年の開幕戦を担う。
プレッシャー以外ない。
まだメリダさんから受け取った『 』がどういうスキルかもわからないし。
朝、試しに使ってみた。
当然、不発だったけど。
ただ、リーフィアがなにかを知ってそうな雰囲気だった。
ブルーが頑張って使おうとした瞬間、珍しく驚いてた。
「ブルー、どう?使えそう?」
プル!プル!プルプル!プル、プルプル!……プル
あ、うん頑張ったのは伝わってきてるよ。
ピナがピヨピヨってブルーを慰めてる。
「……主、今ブルーが使おうとしたスキルはもしかして、『 』 ですか?」
「え、ごめん。リーフィア、今なんて言った?」
「あ、なるほど。道理で使えないわけですか。主、このスキルは意識して使おうとしても使えません」
意識しても使えないスキル?
それってどう頑張っても使えるようにはならない。
「主とブルーもいつも通りいれば、きっと必要な時に使えるようになります」
いつも通りか。
うん、変に気にし過ぎない方がいいかも。
ただ、ブルーの方はちょっと厳しいかも。
妹のように思っているピナに慰められている。
かなり精神的なダメージは大きそう。
「ブルー、おいで」
プルプル
「よしよし、今できることだけを頑張ろうね」
プル!
お昼を食べ終えて、白黒スタジアムに向かう。
時間になって、学園長の開会宣言が行われる。
「おっほん!それでは只今より白黒学園毎年恒例イベント、学年別個人トーナメント本戦の開幕を宣言する!」
観客席が盛大に盛り上がる。
今年の実況にあのステラさんが来ている。
ついこの間のリベリオンとのギルドバトルでも思ったけど、ステラさんが来てくれる。
それだけで観客は集まる。
「……まだ記憶に新しい者が多いでしょう。昨年、現3年生の本戦でのバトルがあらゆる方面に波紋を生みました。その為、既に該当する生徒には通達了承済みの元、今年は神技の使用を禁止とします!」
まだ一部例外はいるが、白黒学園関係者以外には伝わっていない新ルール。
今年の3年生は強者揃い。
神技の撃ち合いも一度や二度では済まない。
それを楽しみにしている観客も一定数いる中、開会式まで情報を一般公開しなかった。
かっこよく見えるよう話しているが、実際は面倒事は御免というだけ。
先に輝夜さんたちから内情を聞かされているから、なんとも言えない気持ち。
もちろんブーイングの嵐だが、学園長はその対策はしっかりと行っていた。
去年、わざわざ鬼姫とリベリオンのギルドバトルをセッティングし、広報活動までしたのはそのための布石。
これにより、鬼姫に世間の注目が集まった。
それに加えて予選はシード枠として免除されたことで必然と本戦でのバトルに注目が集まる。
更に開幕戦にギルドマスターであるオレが出る。
観客からのブーイングはトーナメント表の一般公開と同時に収まった。
まだバトルが始まってすらいないのに白黒スタジアムはものすごい熱気に包まれている。




