第102話 妹
リベリオンとのギルドバトルを終えて、1ヶ月が経過した。
合同打ち上げでは、いろいろと話ができてよかった。
連絡先も交換できたし、いつでも連絡ができる。
連絡する用事があるかは別として。
ただ、オレの中で最も謎なブルーの種族名に関しては誰もが前例を知らなかった。
たまたま同席してくれた輝夜さんたちもわからなかった。
そして、今日から遂に年に一度のイベント。
白黒学園の学年別個人トーナメントが始まる。
新入生代表トーナメントを除くと、学内で行われる大会のようなイベントは存在しない。
2、3年生は去年の雪辱を果たす。
1年生は新入生代表トーナメントの結果を覆するために1年間、積み重ねてきた。
オレたちはリベリオンとのギルドバトルで手の内を見せてる分、情報戦は圧倒的に分が悪い。
ただ、市川先生から鬼姫のメンバーはシード枠と言われた。
本来なら全員参加の予選が免除。
本戦からの出場で、しかも準々決勝まで当たらないよう配慮までされている。
オレたちだけ特別扱い。
学園としていいのか疑問に思ったけど、1年生のこの時期にCランクに到達しているプレイヤーが他にいない。
オレたち予選に出た場合、そこで当たって負けた生徒が可哀想。
一応、ハンデを背負ってるわけだし、大丈夫だと思うけど、リベリオンのみんなが応援に来てくれる。
予選は学園の敷地内の至る所で行われていて、形式としては新入生代表トーナメントに近い。
一つ違うところがあるとすれば、一度負けたら即終了というところだ。
新入生代表トーナメントの予選は2回負けたら終了だったからそこは厳しくなっている。
学園の広報面での力の入れようからもわかることだけど、実力ある生徒を本戦で競わせて知名度アップを狙っている側面もある。
オレたちは予選が免除されてるからみんなで一緒に予選の生配信を見ることにした。
郁斗が言うには視聴者数が多いバトルほどレベルが高く、白熱してる可能性が高い。
人海戦術でそれを探して本戦に向けて対策を立てようってこと。
オレたちはギルドバトルでほとんど手の内を晒してる。
このくらいしても許されると思う。
うーん、どこもやっぱり予選一回戦となると強い人はあっさりと勝ってるな。
全然、手の内見せてくれないや。
もうちょっと予選も終盤に差し掛らないとダメかな。
「うー、どれもこれもレベル低い!もう予選の終わりの方だけ見よ!疲れた」
「そうだな、莉菜に賛成」
「私もちょっと疲れました」
「うん、みんな疲れてるみたいだし、予選終盤まで休もうか」
予選が終盤に差し掛かるのはだいたい午後4時半とかかな。
今は3時半だからあと1時間くらいあるか。
なにして時間を潰そう?
プル、プル、プル
ブルーがオレの腕の中にスポッと収まって、くつろいでる。
あれ?でも、ブルーってモンスターの卵の面倒を見てなかったっけ?
なんでここでプルプルしてるのかな。
そしたら案の定モンスターの卵をリーフィアとラグニアに託してオレのとこに来ていた。
さてと、ブルーをしっかりと抱えてリーフィアとラグニアのとこまで行きますか。
オレの腕の中でプルプルする癖は相変わらず直らない。
「ブルー、しっかりとモンスターの卵の面倒見なきゃダメだよ!」
プル!プル、プルプル
「ブルー、主を困らせてはいけません」
ブルーのプルプル抗議も虚しくリーフィアの前に散った。
それからホントに少ししてモンスターの卵が少し動いた気がした。
最初は気のせいかなとも思ったけど、徐々にそうじゃないとわかった。
そして、遂に卵が孵った。
半年ほどかけてブルーが面倒?を見ていた卵がようやく孵る。
全体に亀裂が迸り、ピキッと音がする。
そして卵の中からモンスターが出てきた。
小さくて丸くて黄色いモンスター。
ふわふわの毛で覆われている。
ブルーの時と同じで全く心当たりがない。
生まれたばかりで丸まっている。
徐々にモンスターの全体像が見え始める。
すると休んでいたはずの郁斗たちが集まっていた。
「小さくて黄色いわね」
「どんなモンスターでしょう?」
「男の子と女の子どっちかな?」
「蓮のことだから想像の遥か上をいくとみた!」
莉菜、オリヴィア、海夕、郁斗の順にオレの後ろで言いたい放題。
でも、郁斗の言うことあながち間違えじゃかいかも。
もうこの時点でオレの想像の遥か上をいってるよ。
「え?」
生まれてきたこのモンスターをオレはよく知っている。
まだモンスターとして見たことはない。
でも、噂で実在する程度に聞いた事ある。
ステラさんの話を聞いて少し安心してたけど、まさかこうなるとは。
スライムじゃなかったし、そこは喜ぶべきか。
プル!プルプルプル!プルプル
あ、ブルーが気に入ったみたい。
すごく可愛がってる。
生まれたばかりのこの子もすぐに状況に適応して、ブルーに懐いてる。
「でも、まさかヒヨコが生まれるとは思わなかったよ」
「どうするの、蓮。名前、ブルーみたいに与える?」
「スライムの次はヒヨコですか?良いと思います!」
「可愛い〜!」
「俺も賛成!ヒヨコ育成協力するぜ!」
「あはははは」
これ名前を与えないといけない流れかな?
元々、生まれてきたモンスターには名前を与えるつもりだった。
リーフィアとラグニアの了承も得てるけど、どうしような。
プル、プルプル
ピヨ、ピヨピヨ
ブルーの上に乗って、なにかを期待するような目でオレを見てくる。
「うん、決めた。名前を与えるよ。そうだな……。ピナにしよう!」
ピヨ!ピヨピヨ!
ブルーの上で嬉しそうにはしゃいでる。
生まれてすぐのモンスターに名前を与えるとこんな感じなのかな?
「ピナってこの子、女の子なの?」
「はい。女の子で間違いありませんよ」
「へえ、リーフィアが言うなら間違いないな」
「可愛いです」
名前を与えてから、オレも莉菜と同じ疑問を持った。
男の子だったらどうしようかと思ったけど、女の子で良かった。
ラグニアは男の子、リーフィアとピナが女の子、ブルーは性別不明。
まあ、スライムに性別があるのかどうかわからないけど。
聞いてもはぐらかされるからブルーには性別のことは触れないようにしている。
ちなみに今のピナのステータスはと
名前:ピナ Lv1
種族ベビーチック
カテゴリー:一般種
HP:100
物理攻撃力:6
物理防御力:5
魔法攻撃力:8
魔法防御力:5
素早さ:5
SP:0
《スキル》
『つつくLv1』
『プチダークLv1』『プチファイアLv1』
『プチシャインLv1』
『頑張って羽ばたくLv1』
『プチヒール』
あれ……?
オレの想像よりも遥かに強い。
ブルーが最初に召喚された時なんて、『体当たり』しかなかった。
最初から六つもスキルを持ってるし、回復魔法が使える。
それにステータスも高い!
これって卵から孵した影響かな?
てか、種族名ってヒヨコじゃなくてベビーチックなのね。
生まれたばかりで赤ちゃんだから頭にベビーが付くのかな?
「闇、火、光か。これってリーフィア、ブルー、ラグニアがそれぞれ使える属性。なにか関係してそう」
「あ、確かに。ブルーがメインとはいえ、リーフィアとラグニアも面倒見たからとか」
海夕の言う通り、ピナの使えるスキルの属性がブルーたちと共通してる。
しかも、これ一番最初にブルーたちが使えるようになった属性。
なにか関係がありそう。
そう思ったオレはプロフェッサーに情報を共有した。
一応、シグマさんとエルシーさん両方に。
あとはシグマさんから返事が来るのを待つだけと思っていたら秒で返事が来た。
有益な情報ありがとう!すぐに調査する!って。




