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異世界には「アレ」がない!?  作者: 和口
第1章 ベスティア王国編
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【第12話】異世界には準備がない!?

「さて! 材料も道具も揃いましたし、いよいよ装備造りですよ!」


 レナが先程と180度違うテンションで言った。

 どうやらマナタイト症候群から復帰してくれたみたいだ。


 しかし、俺は先程大変な事に気づいてしまったのだ。


「レナ、よく考えたら俺は加工魔法が使えるってだけで装備造りの方法を知らないんだけど……」


「えっ」


 この反応……まさか加工魔法だけで何とかなると思っていたようだ。

 確かに加工魔法を使えば木を剣の形にしたりは出来る。

 しかし、それはあくまで"形"だけなのだ。

 鉄の剣を造ろうと思えば鉄鉱石を精錬し、ハンマーで打つ、という工程が必須になる。


「ええ……ソウマさん器用だし何とかなるかな〜って思ったんですが……何とかなりませんかね……?」


 しかし、困ったな。これじゃせっかく採ってきた鉱石も無駄になってしまう。


「ふふふ……そんなあなた達に朗報よ! なんと! 買い物ついでに昔の知り合いの鍛冶屋を呼んできたのよ!」


「「おおおお!?」」


「さすがルナさん! ナイスです!」


 まず、ルナさんの知り合いに鍛冶屋がいた事に驚いたが、何はともあれこれで装備が造れる。


「それで? その鍛冶屋の人はどちらに?」


「先にギルドの作業場に行ってもらったわ。頑張ってね」


 ルナさんが珍しく真面目なトーンで言う。


 意を決して作業場に向かう。



――――――――――――――――――――――



「おう! アンタが例の鍛冶屋見習いか?」


 作業場にいたのは筋骨隆々で色黒のおじさん。

 いかにも鍛冶屋って感じの人だった。


「は、はい! ソウマと言います! よろしくお願いします!」


 握手を求められ、慌てて応じる。


「ソウマか! 俺はスラッグだ。ベスティア王国一の鍛冶屋と呼ばれている」


 (ルナさん……何で王国一の鍛冶屋と知り合い何ですか……)


 ルナさんの謎は深まるばかりだ。


「さて、じゃあ始めるか! 取り敢えず俺が1通りやるからそれを見て覚えてくれ。後で詳しい手順の載った本を渡すが……まあ見るのが一番だ」


「はい!」


 百聞は一見にしかずというやつか。


「じゃあ始めるぞ」


 スラッグさんは炉の中に木炭を入れ、火魔法で着火する。

 火の具合を見つつ、木炭を少し追加し、鉄鉱石を入れる。

 炉の温度が上がったのか、火の色が白に近くなる。

 炉から出てきた鉄は不純物を取り除かれ、スポンジのような形状になっていた。

 出したばかりの鉄を再び炉に入れ、加熱。

 再び鉄を取り出しハンマーで叩く。

 叩く度に火花が散る。

 すると、つい先程までは鉄の塊だったものが徐々に形になって行く。

――1回、2回と叩いていくうちに鉄の表面に膜が張る。

 スラッグさんはそれをブラシの様なもので落とし、常温の水に鉄を入れる。

 そして、手をかざし氷魔法で冷却したと思ったらまた少し熱する。

 しばらくしてから砥石を引っ張り出し、刃全体を磨く。

 磨き終わったら砥石を変え、仕上げに入る。


「完成だ」


 つい先程までただの鉄の塊だったものが今では美しい光沢を湛える剣になっていた。


「す、凄いです……」


 凄い勢いだった。かなりの時間、作業を見ていたはずなのだが、炉に木炭を入れたのがものの数分前に感じる。


「ほら、これはソウマにやるよ」


 先程出来上がった剣を渡される。柄がまだついていないためどこを持てばいいか少し迷った。


「じゃあ、俺の仕事はこれで終わりだ。手順の載った本はルナに渡してあるから、後で受け取ってくれ」


「はっ、はい! 今日はありがとうございました!」


「じゃあな、若いの。期待してるぜ」


 そう言うとスラッグさんは帰って行った。


 (何か……あっという間だったな……)


 正直、あんな事が自分に出来るとは思えなかった。


 しかし、スラッグさんが残していった剣を眺めていると、不思議とやる気がみなぎってきた。

今回は鍛冶の描写を入れましたが、ちゃんと工程があっているか心配です……

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