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蒲田チャイエスの夜

大田区蒲田の雑居ビル6階に橋本章(アキラ)はいた。チャイニーズエステの薄暗い一室には、アロマの薫りが漂い、アキラは裸にバスタオルを巻いた状態でタバコを吹かしていた。

「お客さんはじめて?」

 ジャスミン茶をアキラに手渡してリエはいった。

「いや、半年に一回は来ている。リエちゃんとははじめましてだけど、いつからこの店にいるの?」

「最近、この店入った。前は、蒲田の違う店いた。ここのママさんとてもいいひと。あなたここから近くに住んでる?」

 リエはアキラに肩を寄せながらいう。ショートヘアの髪の毛からフランキンセンスとホワイトセージをミックスさせたような甘くてスパイシーな台湾製オイルの薫りがした。

「徒歩で15分くらいかな。リエちゃんはどこに住んでるの?」

 黒いタイトなチャイナ服の隙間から見えるリエの胸を撫でながらアキラはいう。リエは少しうっとりとした表情でアキラの股間に視線を移した。色気を感じているようだ。

「鶯谷よ。友達と住んでる。けど、私、仕事忙しいね。ほとんどお店泊まってる」

 鶯谷は蒲田から京浜都北線で一本で行ける。都内でも有数の風俗街がある上野の次の駅のため、デリバリーヘルスやソープランドに従事する女が多い。それでも、電車で30分以上かかるお店で働いているということは、地元で顔を知られたくない心理が働いているのだろう。

「鶯谷かぁ。上野の隣町だけど、降りたことはないな。うちはお墓が浅草にあるから、上野で降りて歩いて浅草までがちょうどよい運動だよ」

「お墓が浅草にある。古くからある家ね。金持ちね」

 タオルが巻かれたアキラの股間のあたりをリエの手がまさぐりだす。中国人女は金や権威にめっぽう弱い。アキラの家は旧家ではあるものの決して金持ちといえるような家柄ではない。しかしながら、アキラの母親は沖縄では有名な資産家の娘なので、沖縄に帰省するたびに叔父さんやおばさんから十数万円のお小遣いを貰っている。その金のほとんどは小説家になる為に人と違う学びに投資されている。占いも風俗遊びもその一部だ。

「お客さん。うつ伏せ。マッサージするね」

 リエはアキラの腰に巻かれたバスタオルを剥いだ。アキラがシングルの布団へとダイブする。リエは足の裏から優しくマッサージをする。店内はヒーリングミュージックが流れていて、隣の部屋からはパンパンという音が密かに聞こえてくる。俗にいう本番店だ。ただ、アキラは追加料金なしでリエとセックスできるとしてもそのような気分にはなれなかった。

「オニイサン。今日休み?」

 リエはアキラのふくらはぎから大腿筋を揉みほぐしながら尋ねる。

「休みと言えば休みだし、仕事といえば仕事」

「お仕事何してるね」

「占い師やっているよ。あと、副業で小説を書いている」

「小説家なの?オニイサン頭いいね。あと、占いもできるの?」

 リエはおもむろにアキラの顔のそばに来て手相をみせた。

「わたしの手相どうなっている?」

 うつ伏せから半身になったアキラはリエの手相を観る。なんてことはない平凡な手相だった。

「人に優しい手相をしているよ。誰かの役に立ちたいという気持ちが強い人だから、マッサージのお仕事は天職かもしれない。後は、太陽線という人気運を司る線がでているから、このお店でも人気セラピストの上位に入れる素質をもっているよ」

 アキラが褒めちぎると、リエはアキラの横に寝転がり、ペニスを触り始めた。

アキラはリエの髪の毛を撫でて、目と目が合うと、リエはオニィさんよく見るとかっこいいね、と言った。そのまま耳元で、『ウオーアイニー』とアキラが囁くと、リエの黒い下着の上から手で愛撫した。ゆっくり優しく、時に激しく、リエの性感帯を刺激していくと、そのまま下着の中に手を突っ込んで濡れていることを確認する。

「オニイサン。頭良くてかっこいいね。少しだけいれていいよ」

 リエは自ら下着を脱ぐとアキラのペニスを優しく掴み、中へと誘導していった。



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