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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード2:祈りの場所で
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祈りの場所で - 4

「……そのため、礼拝堂の警備を強化いたしました」

「そうか」


王城の応接室。

昨日の礼拝堂での出来事を報告するため、イリスとリオはレオナルトの前に立っていた。

豪奢な椅子に深く腰掛けた王は、短く返事をすると足を組む。

それだけで、部屋の空気が重く沈んだ。


「それで、ヴェイルの件はそれと関係があるのか?」

「現在、関係性については調査中です」


その答えを聞いた瞬間、レオナルトの目がさらに冷えたのをイリスは感じ取った。


「いつまで調査をしているつもりだ、イリス」


ようやく父に呼ばれた名ーー

だがイリスは、父に名前を呼ばれるのが昔から好きではなかった。

名前には感情がないそれは、ただの“呼称”として発せられる。

イリスは微動だにせず、視線を下げた。


「……申し訳ございません」

「陛下、お言葉ですが――」


見かねたリオの声が割って入る。


「リオ、やめろ」

「……しかし、隊長……」

「おい」


王のその〝おい〟で空気が凍りついたのがはっきりと分かった。

レオナルトは続ける。


「いつ、話していいと許可した?」

「……っ……ですが、レオナルト陛下……」

「……リオ……随分と無駄口を叩けるようになったんだな」


リオは言葉を失い、唇を噛みしめる。


「お父様、申し訳ございません。リオの不手際は私の責任です。後ほど厳しく言っておきます」


そのイリスの言葉に、レオナルトは一瞬彼女を見つめ、興味を失ったように視線を逸らした。


「もう……下がれ」

「「はっ」」


二人は一礼し、静かに応接室を後にする。

応接室の扉を閉めた、その時だった。


「隊長!! 緊急のご報告です!」


廊下を駆けてきた保安組織の隊員は、息を切らしていた。

汗に濡れた顔が、ただならぬ事態を物語っていた。


「セラ様と……フィオ様が……行方不明になりました」


その報告にイリスの胸の奥から、嫌な予感が確信へと変わる音がした。

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