閉ざされた真実 - 2
礼拝堂の裏庭は、夕暮れの光に包まれていた。
セラは1人、祈りの言葉を口にしていた。
「セラ」
背後から名を呼ばれ、彼女はびくりと肩を震わせる。
「イ、イリスさま……?」
振り返った先に立っていたのは、イリスだった。
「少し、話がある」
その声は静かだったが、拒否を許さない強さを帯びている。
「はい……」
セラは不安そうに頷いた。
礼拝堂の影になる回廊。
人目の届かない場所でイリスは立ち止まる。
「セラ。正直に答えてほしい」
真っ直ぐな視線が、セラを捉える。
「お前は、どうしてお父様にそこまで大切にされている?」
セラの瞳が、大きく揺れた。
「わ、わたしは……ただのシスターです」
「嘘だ」
即答だった。
「昨日、お父様へ報告した際、あの人はお前の事を気にしていた。そして、お父様のことを探ろうとした瞬間、拒まれた」
「……っ」
セラは息を呑み、指先を握りしめる。
長い沈黙のあと、セラはぽつりと呟いた。
「……本当に分からないです」
涙を堪えるように、俯く。
「私は孤児です。フィオと一緒に拾われて……でも私ばかり力のせいで贔屓にされていたのも事実です。もしイリスさまが本気で知りたいなら……私も逃げません」
一瞬の迷いのあと、イリスは決断する。
「セラ。今から王宮へ行く」
「え……?」
「二人で、確かめる」
セラの目が見開かれる。
「でも……王宮は……」
「内部構造は私が一番知っている。見張りの癖も、結界の弱点も」
イリスは静かに言い切った。
「それに、お前に王宮は何か反応を示すはず」
セラは一瞬ためらい、そして強く頷いた。
「……わかりました」
2人は並んで歩き出す。
王城の影へ。
真実の眠る場所へ。
知られてはならない秘密に、少女2人が踏み込む夜が始まる。




