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転生魔王は青春がしたい!!  作者: 夜月 うさぎ


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[23]-ステンドグラス-

嘘....何も見えなかった。見えない?この私が?おかしい、こんなのありえない。しかし、貫かれた腹部と目の前の男がこの現実を突きつけてくる。


「チェックメイトって....やつだ」


「あ....ありえない!」


「ありえなく無いさ。お前は勝てると高を括っていて油断していた。違うか?」


ぐっ....図星だ。彼の言うとおり私は油断していた。


「そして、炎の中から攻撃が来たことでまだ俺はあそこにいると錯覚してしまった。俺の作戦勝ちってやつだなぁ」


高笑いする男。それを見て思わず笑ってしまった。


「どうした?敗北を目の前にして壊れちまったか?」


「いや?ただ、こんなんで勝ったつもりになってるのが心底面白くって」


「ほう、ここからどう巻き返すつもりだ?」


「どうもこうも、まだ始まったばかりじゃないのよ。それとも本当に私が油断するとでも思ってるの?」


ニヤリと笑ってみせる。


「ならやって見せろ。できるものならな」


先生はどこか嬉しそうにそう言った。


「言われなくても」


そういうと私は|魔法を解除した《◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎》。すると、体は輝く欠片となってバラバラに崩れてしまった。


「氷.....?」


『そうよ。あなたが戦っていたのはただの氷。』


コロッセオ中に声が響く。


「面白い魔法だな。どうやってやったんだ?」


「ステンドグラスを想像してくれればわかるんじゃない?あの子もただの色の付いた氷なの」


「なるほどな。それで?随分理性的な香蓮(かれん)さんは一体どこにいるんだ?」


「あの説明だけでもう満足なの?まぁいいや、出てきてあげる」


カツン...カツン....ローファーが氷の上で弾み、澄んだ音が辺りを満たす。今までとは何か、いや何もかも違うことを彼に直感させた。

前から歩いてくる女。見た目はさっきの氷像と一緒。まぁ、象の方が、彼女に似ていると言った方が正しいのだろうか...


「改めて、おはようございます。先生」


「あぁ、おはよう。随分と行儀がいいな」


「これがデフォなんですよ。あの像、自立思考型だから学習が変になったりするんですよね〜」


「自立思考型...?学習...?」


ふっ...気だるげな印象を持った先生のあからさまに困惑している姿に思わず笑みが零れてしまった


「あの像、氷の微細な振動を伝達することで脳の機能を模倣して、自分で考えて行動できるようにしてみたんですよ。名付けて|自動氷像《Automatic-Ice sculptures》。頭文字を取って、通称AI!」


「AI...か」


額に手を...炎を纏った手を当ててなにか考える先生。...熱くないのかな?


「まぁ...後でいいか。続けるぞ」


「ええ」


その言葉を皮切りに先生が曲線を描くように詰めてくる。私は...まだ動かない。軽くジャンプし、拳を突きつける先生。今!わたしの周囲を氷の針で覆う。さながらハリセンボンのようだ。


「くっ.....」


身を翻しギリギリのところで避けてくる。流石先生。でも甘いね。杖に魔力を込め、地面にトンと触れる。すると、千本の針が放射状に飛んでいく。不意打ち返しっ!流石にもろに食らったとは思うが...


「ふぅ...危なっかしいことしてくれるな」


いつの間にかあった炎の壁の後ろから声がする。守って...くるか。

そも氷と炎ではこちらが不利すぎる。言い訳をしたい訳では無い。これ以上火力を上げて実力を疑われでもしたら...そうか、怖いのか....


「ふふ...やってやろうじゃない」


この世にはバレなきゃ犯罪じゃないという言葉がある。そう、バレなきゃいいんだ。

困惑する先生に氷のハンマーを振り投げる。


「いくらやったって同じこtっ...?!」


その身を覆う炎のカーテンを突き破り、先生の肩に直撃する。


「ぐっ....何をした!」


ほんの一部だけ、氷を臨界魔法由来のものにして


「さぁね、もう1回食らってみればわかるんじゃないっ!」


木槌のような形の氷を再び男に投げつける。人間というものは良くも悪くも学ぶ生き物だ。1度脅威と感じたものは何がなんでも避けようとしてしまう。だからその隙をつく!


「『グラシカルソード』!」


一瞬で距離を詰め、氷でできた大剣を先生めがけて振るう。体勢を崩し、意識もこちらにない状態。これを避けられる人はいない。


「...イフリート」


いふりーと?そう疑問に思った時、私は既に宙を舞っていた。地面に衝突した痛みと横になった世界だけが、私が飛ばされたという事実を教えてくれる。...え、嘘......何も見えなかった?イフリートって一体....

霧が晴れ、その全貌が明らかになる。その姿を見た時、ある文献が頭をよぎった。


全身に消えぬ炎を纏い、その身ひとつで7の都市と、12の農村を滅ぼした最悪の炎の精霊...


「なんで...ここに」


「「さぁ...なんでだろうな」」


イフリートからふたつの声が同時に聞こえる。


「同化してるのか....」


「「いんや少し違う、|イフリートは俺自身《◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎》だ」」


...へ?イフリート自身?そうなると話は変わってくる。私が知る炎の精霊なら、その力は相当なもの...本気を出すしか.........


「「いくぞ」」


そういうと先生はパッと私に手のひらを見せる。何気ない動き。だが、精霊にとってはとんでもない意味を持つ。

瞬時に防御の体勢を取り、氷の防壁を立てたが、そんなの炎の前では意味はない。一瞬で気体に戻り、炎が私の身を包む。


「うぐっ........」


使うしかない。今使わないと、このまま焼き尽くされる....

魔術域と臨界魔法の併発。本来人ではできない所業。つかなきゃいけない言い訳が増えるがそれはまた後っ!


「魔術域、展開!絶対零度領域(ポイント:ゼロ)』!」


私を中心に、-273℃の冷気が広がる。間髪を入れずに魔法を発動する。


「『 天断つ絶氷の剣セバーディエティ・アブソリュートフロスト』!」


杖からメキメキと氷が伸びてくる。なるべくバレないように臨界魔法とは言わないし、あまり大きくはしない。再発動は3回.....それで決める。


「さぁ...やる.......っ...」


視界が揺らぐ。上手く立てない。流石に応えるか....でもやるしかない。戦うしかない。無理やり身を起こし、剣を構える。

心臓がドクドクと脈打つのが聞こえる。呼吸が煩く囁いている。


「「大丈夫か?降参しなくて」」


「うるさい!....絶対に........勝つ!」

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