[22]-重要で気楽な一戦-
気だるそうにする目の前のスーツ男。こんなに舐められるのは初めてかもしれない。...心底腹が立つ。けど舐めてるとはいえ相手も本気でかかってくるだろう。文字通り殺す気で。特殊な結界のおかげで死んでも生き返るのが更にタチが悪い....
「負けたら退学だぞ?大丈夫か?」
風が砂を舞わせる。うっかりタンブルウィードが迷い込んできそうだ
「はい。知ってますよ?」
当たり前のように答える私に先生はポカンとする。
「そんな心配しなくて大丈夫ですよ。負けないんで」
「そうか...あまり自惚れてると痛い目みるぞ?」
「このぐらいが丁度いいんですよ。先生」
「はぁやっぱガキ相手だと疲れる....」
「あーまたガキって言ったー!サイテー」
「もういい。準備はできたか?」
「ええ、もちろん」
深呼吸する。大丈夫、私ならできる。
「それじゃ、始めましょう。先生」
「はぁ、死んでも泣き言は───」
男がネクタイの紐を緩める。するとそこから粘性の炎が立ち上り、手に絡まりついていく。『炎の拳』。おそらくそれがあの先生が得意とする魔法だろう
「聞かねぇぞ?」
「ご心配なくっ!」
先手必勝!先生の頭上に巨大な氷柱を形成し、落下させる。ドオンという音が辺りを包み込む。まともに入ったようにみえるが....
「はしゃぎすぎるなよ。リードが必要か?」
氷の中から声が聞こえ、直後氷の塊が粉々に砕かれる。まぁ、そう簡単にはいかないよね〜
炎の拳がものすごいスピードで飛んでくる。とはいっても刀花よりは遅いから簡単に避けられ...?!炎が一気に大きくなる。突っ込む時の大きさはブラフなのか!
防御体型を取るがもう遅い。気づいた時にはもう体は宙に浮いていた。なるほど...相当慣れてるね。さすが先生ってところだ。
「もう!国宝級美少女の私の顔に傷がついたらどうするのっ!」
「どうせ治るから安心しろ。御託並べるほど余裕なら次いくぞ」
拳を地面に押し当てる先生。すると、地面は一瞬にして溶解し、赤黒いマグマと化した。
「お〜派手な攻撃するね〜」
スタッとマグマの上に着地する。ん?立てないだろって?マグマを冷やせば黒曜石になる。こんなの誰だってイメージできるでしょ?
「にしても暑い〜...どうにかなんないかな〜」
辺りを見渡す私。そこに容赦なく相手は攻撃を仕掛けてくる
「フレイム」
手を相手の方に突き出し氷の防御魔法を展開する。何かは分からないが、攻撃がくるのは見なくてもわかる。
手に衝撃が伝わってくる。これぐらいなら大丈夫か。ちらっと前に視線を向ける...て、待って?気がつくと目の前全てが真っ赤に染まっていた。
「いやいやいや、火力高すぎでしょ!フレイムって炎って意味でしょ?こんなん地獄の業火じゃん!詐欺だ詐欺だー!」
「五月蝿いガキだな。もう少し試合にしゅ...」
「あ!解析できた!」
かかとで地面を軽くたたく。かつんっという澄んだ音とともに周囲のマグマが凍っていく。
「なるほどな実力は申し分ないってことだ」
「ふふん、それほどでもーあるかもね」
「その言葉がなけりゃ完璧なんだがな」
「完璧すぎないぐらいが丁度いいんだよっ!」
巨大な3本の氷の針を高速で投げ飛ばす。しかし、男に当たる直前に蒸発して消えてしまった。
「こんなヘボい攻撃、先生に通用すると思ってるのか?」
「こんなの序の口だよっ!」
何十本もの針を先生に向かって放つ。流石の先生も捌ききれないのか、何本かは額を掠めていった。
「いい攻撃だな。だが!」
燃え盛る炎が彼を包む。炎の障壁か...緻密で繊細に魔法を扱う先生。性格とはまるで真逆だね。これは...どうしようか...っと
竜巻から一筋の炎が飛び出す。危ない危ない。危うく当たるところだっ............
腹部に謎の衝撃が加わる。それの正体はすぐに理解できた。が、その時にはもう遅かった。いつの間にか真近にいた男がにぃと笑い、口を開く。
「チェックメイトって....やつだ」




