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5話

 なにやらやばそうな雰囲気なので口を噤む。

「なんてこった、ブルオークだけでも厄介なのにシャドウウルフまで」

 副隊長さんが暑くもないのに汗をぬぐう。

「下手をするとこの村が滅ぶぞ」

 そんなにもやばいのかよ!? 俺が倒したシャドウウルフは特別弱かったのかそれともよほっど運が良かったからか。

「あのー?」

「聞いての通りだ。お前も運が悪かったな、防衛に参加してもらうぞ」

 あー、やっぱそういう話になるよな、今依頼の途中だし。

「俺、光魔法の適正持ってるんで、シャドウウルフの影の本体を攻撃しますよ。光属性が弱点のシャドウウルフなら、それで難なく倒せるでしょう?」

「なに!? 何て偶然なんだ。よろしく頼む!」

 頼まれましょうとも。シャドウウルフの肉は美味かったからな。


 村の入り口に駆けつけると、既に自警団のメンツが揃っていた。

 その向こうにはイノシシ面のオークと例のシャドウウルフがにらみ合っている。成程、あれがブルオークか。

 ようし、初仕事だし張り切ってやるぞ! 俺は自警団の人たちの前に出ると、両手を前に掲げた。いざ、村の危機を救わん!

「ライトブラスター!」

 一瞬で両手から眩い光が発生し極太のビームが魔物たちを包んだ。

 次の瞬間には光は消え失せ、魔物たちは光の粒子に変わっていた。

経験値的な光が体に流れ込んで来るのを感じながら、ドロップ品は何かとワクワクしながら確かめる。


<シャドウウルフのガントレット>

物理にとても強く、耐魔にも優れた一級品。シャドウウルフの革と骨で出来ている。魔力によって爪を生成できる。

<シャドウウルフの上肉>

食べると影魔法の適正が上昇する。超レア。

<ブルオークの肉>

大変美味。筋力、耐久力が微量に上昇する効果がある。

<鋼鉄の斧>

僅かながら魔力が宿っており、損傷し難くなっている


 大漁大漁。ブルオークの肉は、一抱えもあるのが3つもある。美味いらしいし、これは楽しみだ。

 片端から、全部アイテムボックスに放り込むと。

「いやぁ、お疲れ様でした」

といい笑顔で挨拶するのであった。


 あの後、一悶着あったが、俺が異世界からの異邦人であり、女神様の加護を持っていることを教えたら一応納得してくれた。

 夜間警備も問題なく終わった。以来完了のサインをもらい、ギルドへと戻る。

心なしか、みんなの俺を見る目が怯えていた気もするが、気のせいだろう。


 ギルドに行き依頼完了のサインの入った書類を渡す。

「はい、確かに。お疲れされさまでした」

 依頼料が入ったか革袋を受け取る。300ルピーある。ルピーはこの世界の通貨の単位だ。金貨が1万ルピー、銀貨が100ルピー、銅貨が10ルピー、石貨が1ルピーだ。他にもあるが割愛する。

 今の所持金は銀貨3枚という訳だ。一般的な4人暮らしの家庭での一月の生活費用は大体1000から1500ルピーらしい。一月30日計算で一日あたり330~500ルピーか。一人一日100ルピー前後といった所か。

 ということは、駆け出し冒険者用だけあって給金は良心的な模様。

 まだできる事の少ない、経験も浅い冒険者見習いにとって、この依頼は命綱になっているそうだ。

 実際、俺の他にも、今日の――というか昨日の日銭にも困った奴らが依頼を受けていたらしい。

 3グループに分けて、交代で見回り、待機、櫓での物見のローテーションを

組んでいた。他のグループは俺と違って戦闘経験豊富な奴らが選ばれてた。

 俺は登録したてのGランクだったのでほとんど待機組で留守番だった。

 のだが、昨日のシャドウウルフの一件で凄腕の光魔法使いという認識をされているようだ。ランクの更新をするとかで、ギルド証を預けて、今もまた待機中だ。

 まあ、只生活するのが目的じゃないからなぁ。武器防具は高価らしく、安くても数千ルピーかかるらしい。遺跡や迷宮に潜る為の費用だって馬鹿にならないはずだ。今から考えても仕方ないが。

 それに、俺には斧が二つにメイスがある。防具は火事場泥棒したチェインメイルを着ているし、ブラックウルフのコートとガントレットがある。

 などと考えていると、受付嬢が戻ってきた。

「お待たせしました。こちらが新しいギルド証になります。」

渡されたのは透明なガラス板に見えるカードだ。と言っても裏側は透けていない。何かが間に挟まれているようだ。Eの文字が気になるところだ。

「いきなりニ階級特進ですか」

「シャドウウルフを難無く倒せるのであれば、Dランクでも良いぐらいですけれどね。まだ実績が無いので、もう少し依頼をこなしてくださいね。」

 苦笑で返して俺は踵を返した。イカン、キザだったな。半分無意識に恰好つけてしまった。もういいや、そのまま出口に行こう。

 徹夜は堪える、もう今日は宿をとって寝よう。受付嬢に訊いておいたお勧めの宿に。一泊80ルピーと高級宿だが、風呂も有るらしいから楽しみだ。

(そういえば宿の場所は聞いたけれど、名前は訊いていなかったな。)

 そう思いながら俺はそそくさとギルドを出た。 



 結論から言おう。当たりだった。

 何がかって? 風呂だよ風呂。いや違った宿だ。

外観は総て煉瓦造りの建物だった。内装もゆったりとリラックスできるように配慮されているのだろう。とても落ち着く。

 そして風呂。なんと公衆浴場が併設されていた。銭湯である。俺大喜び。

たっぷりと堪能して至福を味わった。

 ついでに、温水も出せないかな、と新魔法を作ってみた。その名もボイル!

まんまだけれどもね。

 これでドラム缶でもあれば即席に風呂が用意できる。

・・・・・・風呂釜買ってアイテムボックスに突っ込んどきたい。

 真剣に検討しよう。いや、マジで。

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