閑話
俺の名前はドラウス。このアビンソン村の自警団の副団長だ。
先日村に三匹のブルオークと一匹のシャドウウルフが来襲した。
この村の自警団には大した魔法を使える奴も少ない。冒険者の方もいるのは駆け出しの冒険者と、いつも出してる夜警の依頼をいつも受けている、なじみの顔ぶればかり。
まだ精々Fランクの奴ばかりだ。そいつらの腕の程は、これまたいつも出している自警団の訓練参加の依頼でいやというほど知っている。
俺自身は冒険者でいえばランクEの能力だ。
対するシャドウウルフはランクDCだ。サブランクは厄介な魔物の証で、シャドウウルフの本体は影の中にある魂なのだ。しかもメインのランクはD。
単純に戦闘能力を表しているそれは、日頃から迷宮に潜っているようなランクD以上の冒険者でなくては渡り合えないことを示している。
とてもじゃないがギルドに依頼を出して、偶然居合わせたランクD以上の冒険者が来るのを期待するしかない。
冒険者のランクはギルドへの貢献度が基準だが、貢献するにはそれなりの能力が無くては貢献でいない。したがってギルドのランクと戦闘の強さというのはほぼイコールで結ばれている。なので――
「俺、光魔法の適正持ってるんで、シャドウウルフの影の本体を攻撃しますよ。光属性が弱点のシャドウウルフなら、それで難なく倒せるでしょう?」
などとのたまった男が、ランクGで今日登録したてのペーペーでは、大して心強くなかった。
しかし、だ。
確かにシャドウウルフは光魔法や雷魔法が弱点だ。ギルドへ依頼を出してランクD以上の冒険者が駆けつけてくるまでは時間が稼げるかもしれん。そう思っていた。
それが――
「ライトブラスター」
の一言で方がついてしまった。
訳が分からなかった。
思わず詰寄り、問いただしたところ。
「実は俺、異世界からの迷い人なんですよ。それで、こっちの世界には昨日来たばかりで」
「さっきの魔法は女神様から授かったものなんです」
だそうだ。確かに、迷い人は総じて何らかの特殊能力じみたものがあるとは聞いたことがある。あの魔法も、神授の魔法というなら納得だ。
だが、あれ程の魔法を放っておきながら、少しも疲れた様子を見せない。いったい彼はどれ程の力を有しているのだろうか?
翌日には彼がランクEに昇格したと聞いてギルド員に訊いてみた所。
「登録した次の日に、しかも二ランクも上がるなんてな。いったい彼はどの位の能力をもっているんだい?」
「我々にも分かりませんが、古い記録を探したところ迷い人は素の状態でランクC相当だという記述がありました」
なんていう馬鹿げた話を聞かされてしまった。異世界人ってのは恐ろしいな。




