059 続・婚約披露式
ああ!カメラがあればな~!
がやがや
…………
…………
…………
会場がざわついている。
クララ
「引き続き宴席を設けております。
クロードのお父様であるジェローム様に乾杯の発声をお願いします」
ジェロームさん
「ジェロームと申します。
花嫁達の美しい衣装に目を瞠り、
また、誓いの儀式におけるブレッシングという魔法や、その発現現象に………言葉を失っております」
「息子からは長い挨拶はくれぐれもやめてくれと頼まれておりましてな。
先ほどの儀式の感想は、この後みなさんでご自由にお願いします。
それでは、前途明るい、婚約者達に乾杯をお願いします、
乾杯!!」
列席者が「乾杯!」と唱和し、グラスの液体を飲み干す。
「おお!」
「美味しいわ!」
「なにこれ!」
すかさずクララ
「ただいま皆様がお飲みになったお酒は、スパークリングワインと申します。
作成者のアリシア先生から、一言ご説明をお願いします」
アリシア先生
「白ワインに風魔法で気泡を加えた飲み物です。
この気泡によって、通常の白ワインよりも飲み口が爽やかになっております」
アリシア先生に「炭酸ガス」を説明するの大変だったよ……
皆が感心し、前菜と共にスパークリングワインを楽しむ中、ステージには巨大なケーキが現れた。
クララ
「まずテラスからステージ向かって左のケーキをご覧下さい。
スポンジと豊富な果物、それにフレッシュな生クリームで作られた甘い生菓子です。
これを皆様に切り分けお配りいたします」
女性達 「はぁ~」 「美味しそう」
女性達のテンションが上がる。
「そしてこのケーキへのナイフの入刀は、ルーカスさんとエリスさんにお願いします」
二人はミレーヌ先生に導かれケーキの前にやってきた。
「ケーキ入刀を近くでご覧になりたい方は、ぜひ前の方にお越しいただいて、この決定的瞬間を目に収めてください」
カメラがないことが本当に悔やまれるよ!
興味津々の女子達が集まる中、クララの説明が続く。
「新郎新婦の手にあるのは、リボンが結ばれた豪華なナイフのハンドル部分です。
ミレーヌ先生、このナイフ、ブレードがありませんよ?」
ミレーヌ先生
「それは、エリスさんにお願いしましょう!」
『水よ、神ボレアスにマナを捧げる、冷たき氷を現し給え、アイス・ライン・モールド』
すると、氷のブレードが――音もなく現れた!
「おお!」
「何だと!水の形質変化魔法を構築化し、さらにモールドで刃状に成型したぞ!」
「魔法院一年で水の複合魔法だと!」
氷でできた刃は、青く、細く、美しい形状を保っている…………
クララ 「あの氷のナイフでケーキを切るのでしょうか?」
アリシア先生
「切れ味を増すのは、ルーカスさんにお願いしましょう!」
『風よ、主神アルテミスに信仰を捧げる。万物をマナの命ずるまま風を現し・切り裂き給え、ウィンド・ライン・カッター』
すると、氷のブレードの表面に、緑の風が刃に沿うようにまとわりついた!
「すごい!」
「こちらは風の複合魔法じゃないか!」
「……あれが一年の魔法か?」
「治癒院の執刀医レベルだぞ!」
クララ
「それでは婚約者による初めての共同魔法で入刀いただきましょう!」
「ケーキ入刀!」
ケーキにナイフが入った!
「ケーキ入刀が見事に決まりました!」
…………
…………
ミレーヌ先生
「みなさ~ん!
ケーキカット十分目に収めましたか?」
クララ
「今一度、幸せいっぱいのケーキ入刀に拍手をお願い致します!」
クララ
「今度はテラスからステージ向かって右のケーキをご覧下さい。
こちらもスポンジと豊富な果物、それにフレッシュな生クリームで作られた甘い生菓子です。
一つ目のケーキとは果物を変え、リキュールを加えております。
こちらも皆様に切り分けお配りいたします」
男性達 「ほぉ~」 「酒入りか!」
男性達のテンションも上がる。
「そしてこちらのケーキへのナイフの入刀は、クロードさんとマリィさんにお願いします」
「先ほど近くでご覧になれなかった方は、ぜひ今度は前の方にお越し下さい」
ああ!カメラがあればな~!
「こちらの新郎新婦の手にも、リボンが結ばれただけのハンドルです」
ミレーヌ先生
「今度は、クロードさんにお願いしましょう!」
『土よ、神シーシュポスにマナを捧げる、堅き石を現し給え、ストーン・ライン・モールド』
すると、石のブレードが現れた!
「こちらは土の形質変化魔法の刃状成型だぞ!」
「あのジュリエット女史でさえ一年ではここまでではなかったぞ!」
石でできた刃は、黒く、冷たく、美しい形状を保っている…………
アリシア先生
「切れ味を増すのは、今度はマリィさんですね!」
『風よ、主神アルテミスに信仰を捧げる。万物をマナの命ずるまま風を現し・切り裂き給え、ウィンド・ライン・カッター』
今度も、石のブレードの表面に緑の風が薄くまとわり始めた!
……ルーカスと、遜色ない発現だ。
「こちらも風の複合魔法だ!」
クララ
「それでは婚約者による初めての共同魔法で入刀いただきましょう!」
「ケーキ入刀!」
…………
…………
クララ
「ただいまより、テオとアンヌが、皆様のテーブルのキャンドルに火を灯しに回ります。
会場の照明が暗くなります。みなさま一旦お席にお戻りください」
メインディッシュ前に会場が暗くなった。
「婚約者のお二人が皆さまのテーブルに参りましたら、お声がけをよろしくお願いします。
そしてテーブルのキャンドルに見事に火がともったら拍手で祝福してくださいませ」
「お二人は、今日はこうして大勢の皆様方の祝福の拍手の中で永遠の愛を誓っています。
これからはいつも二人、二人なら悲しみは半分に減り、慶びは大きく膨らむことでしょう。
それではテオさん、アンヌさんよろしくお願いします!」
テオとアンヌは、まず、魔法院生徒のテーブルのひとつに近づいた。
テオ
『水よ、神ボレアスにマナを捧げる、冷たき氷の霧を現し給え、ドライ・アイス・フォグ【DRY ICE FOG】』
すると、青白いスモークが、静かに足元から広がっていく。
一方、アンヌは二人で手にしている金属のトーチの先に向けて
『火よ、主神アーレスにマナを捧げる、輝く火花をトーチに灯し給え、ファイアー・スパーク【FIRE SPARK】』
トーチの先には炎ではなく小さな花火が灯され、テーブルのキャンドルに火が移された。
女子達
「アンヌちゃん、おめでとう」
「とってもきれいだよ!」
「この魔法もとっても綺麗なのね!」
「キス最高だったよ!」
「ああ、私も婚約披露式やって、アンヌちゃんみたいなドレス着たい!」
「テオ、すごいな…………」ちなみにこれはアルフォンス
テオとアンヌはテーブルひとつひとつにキャンドルサービスを行い、最後に自分たちの両親の席のキャンドルを灯して着席した。
ヴィクトールさんは涙で顔がぐしゃぐしゃだ!
「うぅ~~ ニナ!見てるか?
アンヌが、あのアンヌが!
うぅ~~~」
もう声にならないみたい。
おかあさんが慰めている。
アンヌは困り顔で――それでも嬉しそうだ。
宴席もメインディッシュとデザートを残すのみとなった。
会場は再びカーテンを開け、明るい昼の光が差し込んできた。
エリスの父アルデリック 「聞いたこともない魔法ばかり出たな」
ルーカスの父フォースタン 「……これは、放ってはおけませんな……」
エリス 「これがクロエの力。本人が属性魔法が使えなくても、すごい力を持っている」
ルーカス 「そうそう、クロエさんとは父さんも母さんも、友好的に接した方がいいよ」
エリスの母アリス 「あなたのこの衣装もクロエちゃんの提案なんでしょう?」
エリス 「そう。魔法がなくても、マナと知識が膨大。しかも本人は友好的な人間にしかその力を発揮できない」
ルーカスの母ローズ 「あのマナやブレッシングという魔法もびっくりしたわ。
とても綺麗だったけれど……あの子、少し“普通じゃない”わね」
クロードの母オリヴィア 「あなた、このドレス……大きなチャンスなんじゃないかしら?」
クロードの父ジェローム 「ああ、うまくすればモデルテから、新たなファッションを発信できるかもしれないな」
マリィの母シャーリー 「ほんとに。ファッションに興味がないマリィがこんなに綺麗になるなんてねぇ」
マリィ 「おかあさん、びっくりしたでしょ。私も頑張れば化けるのよ」
シャーリー 「ほんとねぇ。 なんだかいつもより美人に見えちゃうわ。気のせいかしら?」
マリィ 「それがね!これもクロエの発案でお化粧というのをしているのよ!」
マリィは、口紅やグロス、頬紅、シャドーなどの説明をする。
「でもね、まだ私たち年齢的にかなり若いでしょ?こういうときは薄化粧といって、目立たないようにお化粧するのよ」
シャーリーとオリヴィアがマリィの顔をのぞき込んだ。
「「まあ!」」
ジェローム 「化粧道具とドレスをセットで販売するのか!」
感心しきりだ。
クロード 「父さん、無粋ですよ。今は私たちの宴席を素直に楽しんで下さい」
「ああ、悪かった。つい、商売と関連する話題なもんでな」
テオの両親は農家の出だ。今も郊外の農村暮らしである。
豪華な式典に固まっている。
ヴィクトールは亡き妻を思い出しては泣き濡れている。
アンヌ、小声で (父ちゃん、しっかりしてよ!テオやご両親の前で失礼でしょ!)
ソフィ 「アンヌちゃん、とっても綺麗ね……
ニナも喜んでいるわよ」
「うん、そうかな?そうならいいけど」
「ほんとに良かったわね、おめでとう」
こうして、婚約披露式は和やかに終わったのだった。
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夜、私とクララはおかあさんのうちにお泊まりした。
おかあさん 「二人ともお疲れ様。とっても素敵な式だったわ!」
私 「おかあさんが色々相談に乗ってくれたからだよ~ ありがとうおかあさん」
クララ 「ソフィさんありがとうございます。クララだけ母親席が空いていたらと思うと、ソフィさんに来てもらって本当に良かったです」
おかあさん 「私もニナの役に立てて良かったわ。
クララちゃんの結婚式の時は私が母親席に座るからよろしくね」
「はい」
私 「え~ クララだけ?
私は?」
「何を言ってるの!クロエの時は当たり前です。アンヌちゃんやクララちゃんはあくまで代役の話ね」
「えへへ……」
わかってるけどさ!
甘えたかったんだもの!
私とクララはこれからが本番なの!
私とクララの式があるのだ。
といっても、指輪の交換だけ。
じゃあ始めるよ。
「おかあさんお願い」
おかあさん 「昼間のクロエちゃんの役をやれば良いのね」
「うん」
おかあさん 「クララちゃんもいいのね?」
「はい」
おかあさんは芝居めかして言う。
「では。
クロエよ あなたはここにいるクララを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
友として愛し 尊敬し…… 「慈しむ」はちょっと違うかしら?」
私 「尊敬し、助けるというのはどうかな?」
おかあさん 「そうね」
クララ 「愛しは残したいかな」
おかあさん
「クララのことを愛し 尊敬し 助けることを誓いますか?」
私
「はい」
「クララよ あなたはここにいるクロエを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
友として愛し 尊敬し――助けることを誓いますか?」
クララ
「はい」
おかあさん
「クロエとクララは、お互いの友情を形に残し、ここに指輪を交換します」
私が指輪を受け取ってクララの指につける。
私 「ブルーサファイヤって言うんだって。
「神聖」と「守護」を司るってアリシア先生のおばあさんが教えてくれたよ」
今度はクララが私に
「これはダイヤモンドです。
強力な浄化と魔除けの力がクロエちゃんには必要だって。
しかも……クロエちゃんの運命は、見通せないそうです……」
クララが気遣わしげな表情をするので、
「……大丈夫だよ!
それにクララが「守護」となってくれるんでしょ?」
そう明るく否定した。
「そうね…………」
その日はおかあさんとクララと私で一緒に眠ったのだった。
クロエ「みんな綺麗だったね~」
クララ「アンヌちゃん、立派だったわ」
アンヌ「や、やめてよ、クララはあたしの母ちゃんかよ!」
クロエ「読者のみなさん、私の歌、聴いてもらえました?」
クララ「小説では邪魔にならないよう、画像は基本一枚なんですけど、今回はいっぱいあるんですよ」
クロエ「なかにはね、アンヌの「むふふ」な絵もあってね~」
アンヌ「わーーー! やめろーーーー!」
https://youtu.be/V3SjtHurQoY




