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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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056 後期社会科見学(土・火・風)とお墓参り

「クロエです! 聖歌を歌います!」


それはそれとして、『アンチマジック宣言』アコギバージョンはこちら。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=Bt4YeVcIDTc

後期「魔法使用状況の現地説明」の3回目。


今日は土木魔法の見学だ。

今回も複合的な魔法の使用例となるらしい。


市外にある市庁土木建築課の管理区域に来た。


少女のように可憐な方、ジュリエットさんが説明役だ。


「みなさん初めまして。

市建設長のジュリエットと申します。

本日はよろしくお願いします」

ジュリエットさんはお辞儀をした。


ん、建設長?

建設部門のトップ?

建設長なんて、市の要職の中でも一番“男っぽい”イメージなのに――女性……

男っぽい職場なのに名前がジュリエット……

インパクトがあるな~


「今日はまず、土魔法を使ったレンガの作成をお見せしますね」にっこり

かわいいな~


「最も堅牢な構築物を作るには、石を用いることが良いのですが、

モデルテ市の周囲には適切な石を採取できる場所がありません」


「そのため、城壁や中心にある市庁舎、神殿、魔法院、組合事務所だけが、石造りとなっています。

その他の建物は、基本レンガ造りとなります」

「また、周辺の農家などでは、ハーフティンバーという木と石を混ぜた構造の家が多いです。

耐久性では煉瓦造りに劣りますが、市周囲に点在する農家の場合、素材と魔法師の両面で制約がありますから」


「もっとも、それはそれで風情があって良い家です」

農家出身の生徒がなるほどと頷いている。



「レンガは、大昔は、粘土・わら・小石を型にはめて天日干ししていたそうですが、

今では、すべて焼いて作られています。

このレンガをただ「煉瓦」と言っています。

一方、窯炉など高温で使用する構造物のために作る煉瓦を「耐火煉瓦」と言っています」


「今日は、普通の煉瓦を作成する様子を見学していただきます。


まず、原土を混ぜ合わせます。

この過程は土魔法師が行います。」


『土よ、主神デーメーテールに信仰を捧げる、この土を混ぜ給え、ミックス・クレイ【MIX CLAY】』


同じ混ぜると言っても、水はスターで土はミックスなんだね。


「次に混ぜた原土を貯蔵して安定化させます。


次に煉瓦の形に成形します。

この成形は、土魔法師の力量が最も問われる部分で、多量の煉瓦を同一の形に成形させることは熟練の能力が要求されます。」


『土よ、主神デーメーテールに信仰を捧げる、この土を型にはめ給え、

ソイル・クワドランギュラープリズム・モールド【SOIL QUADRANGULAR PRISM MOLD】』」


おお、土の同属性複合魔法だ!


「今は私が発語しましたが、この成形過程を発現できる魔法師が限られ、また大量の煉瓦を成形する必要があるため、奴隷による手動成形が中心となります。


次に、乾燥作業となります。急ぎの場合は風魔法師によって強制乾燥しますが、通常は自然乾燥で対応します。


最後に焼成釜に入れて焼成します。

焼成時間は、一般的に約1日です。

焼成は、火魔法師がテンパラチャーから始め、ゆっくりと重ねがけしながらテンパラチャーハイに移行し、それを維持します。

焼成が終わった煉瓦は、亀裂が入らないようにゆっくりと冷ましていきます。」


「釜の温度維持のため、また、均等に煉瓦に熱を与えるため風魔法師が補助します」


「このように、建設資材の基本資材である煉瓦は、土・火・風の魔法師の協力によって作られています」


(……完全に工場だこれ)


確かに

建設作業は魔法の総合力が試されるね。

さっきのソイル・クワドランギュラープリズム・モールドの発語を見たら、ジュリエットさんが若い女性にもかかわらず、属性魔法の能力からトップを任されているのが分かったよ。


魔法の力によって、性差が無意味になる場合があるんだ。

……これは、ちょっと衝撃かも。


土魔法の女子達

「農家しか進路がないって思ってたけど」

「ジュリエットさんすごいのね」

「私たちでも建設課に就職可能かな?」

「頑張ればできるんじゃない?だって………」

「そう!私たちの学年はみんな能力が高いし」

「それに、魔法師不足世代のど真ん中だもんね!」


キラキラ会の時は少し気持ちが後ろ向きだったけど……

……土コースのみんなにとっていい授業だったな、これ。


挿絵(By みてみん)


久しぶりのアーサー

「風魔法が評判ほど悪くないのは分かったけどさー、

どの現場でも扱いが補助なんだよな………」

私 「衛士隊に入ったら?

衛士隊では火魔法師より風魔法師の方が不足しているみたいだよ?」

「ほんとか?」

「衛士隊のアリシア先生がそう言ってたからね。

実際、戦闘以外の場面だと、風魔法師の出番は多いと思うよ」


というか、衛士隊って四属性すべての隊員が必要なんじゃないかな。


________________________________________


土コース女子の会話を耳にして思ったこと。


確かにもっともだ。

ここにきて、トランスファーの影響が……目に見えて変わってきたからだ。

女子達のキラキラ会参加は、あれからもう一回ずつやった。

水コースはバルのエリアトランスファーでマナ譲渡をしているため、私が授業に行くことはなくなったけれど、クララやエリスの話を聞く限り、女子達みんなの発語数や発語時間、魔法の基本体系習得数などはすごく伸びているらしい。

マナ基礎値は分からないけど、期末試験では高得点の争いになりそうで、みんなやる気がものすごいという。


土コースと火コースは、私がマナ譲渡しているけれど、周回して次のマナ譲渡に戻ってきたときに、どちらの女子もマナを使い切っていなくて、元気に魔法を発語しているようになった。


前はみんな、へばってふらふらだったのにね!


ルーカス、クロード、テオは、やばいらしい。

私は同じクラスのルーカスしか分からないけど、印象としてはアンヌの前期試験レベルは超えているかも?


エリス、マリィ、アンヌも満足げだ。

エリス 「計画通り。むふふ」


キラキラ会の4人は言うまでもないよね!

だって、いろんなイベントをいつもやってるし、お昼休みも一緒だし。


アンヌ 「お泊まりで、一緒に眠ったりするのが大きいんじゃないか?

ほら、孤児院の時を思い出すだろ」


クララ 「距離感が近くなりますからね。

ソフィさんも調子が良さそうですし」


リナちゃんを亡くしたおかあさんが暗い表情を見せない理由は、私がいることで気が紛れるからだと思っていたけど、私のマナで体調が良くなってるのなら嬉しいよ!


肩たたきをもっとやってあげなきゃ!


________________________________________


1月28日

平日だけど、魔法院はお休みさせてもらった。

私は前日からおかあさんのうちに泊まった。


今日はリナちゃんの命日

―――そして、一年前、私が緊急魔臓移植手術を受けた日だ。


おかあさんは、お葬式の後、毎日お墓に来ていた。

今も毎月28日はお墓にお参りして、墓石をきれいにしたり、リナちゃんとお話をしている。


それ以外の日も何かにつけここに来るそうだ。

「なんかね。クロエちゃんに色々あったでしょう?

そんなとき、リナとお話しするのがクセになっちゃって」


「りなちゃん、いつもありがとう」


……ほんとに、私がもらってよかったのかな?


口に出さなかった言葉を聞いたわけでもないだろうに、

おかあさんは私に言った。

「いつも言ってるけどね、リナが死にたくなくって、クロエちゃんを見つけたんじゃないのかな、

そう思うのよね」

「死にたくない、生きていたい、誰か自分を受け取ってって。

それで、クロエちゃんがやってきたみたいな、ね」


私は黙って聞いている。

「だってね。クロエちゃんは孤児院で目覚める前のことを何ひとつ知らないんでしょう?

普通の孤児だったら、生みの親のことを覚えているけど。

クロエちゃんは、まるで私とリナのために来てくれたように思ってしまうのよ………」


「こんな風に思われるの嫌だった?」

ううん

私は首を振った。

「前にも言ったでしょ。

私、おかあさんがいなかったら、たぶん、自分のこと人間だって思えていなかったよ」


「お、おかあさんって呼んじゃってるし………」

おかあさんは抱きしめてくれた。


りなちゃんごめんね。

リナちゃんのおかあさんを横取りするつもりはないからね。




「クロエちゃん、私ね、ずっと考えていたことがあって」


なんだろう?


「クララちゃんの保護者にヴィクトールさんがなっているように………

私もクロエちゃんの保護者になれないかな」


……あ


「どう?」


「うれしい

けど………」


「けど?」


「教会やバルが、おかあさんに悪いことをしないか心配………」


私は右の脇腹を撫でた。


作者「ソフィさん、この前言いよどんでいたことって、保護者のことなの?」

「ええ……クロエちゃんの周囲の大人がちょっと冷たいように感じますし……」

「そうね」

「今後、クロエちゃんが社会に出て行くためには、親の立場でないとできないこともあるでしょう?」

「そうなんですよね」

ソフィさんの気持ちに報いてあげたい方は、リアクション(ブックマーク・評価)をお願いします(・_・)(._.)


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