新しい年に・・。Ⅴ
今でも無意識下で選ぶのか・・・。
「聞きたい事が有るけど大丈夫か?」
「な~に?改まってどうしたの?」
「此所に来て毎日髪を洗ってるけど、本当に毎日洗う物なのか?」
「・・・・・・」
答えが帰ってこない、
やはり風呂に俺を誘う口実なのか…。
「どうなのかな?あたしはお風呂の時は何時も洗ってるけど、其れもお兄ちゃんのせいだよ!」
「何で俺のせいに成るんだ?」
「だって、お風呂の度にお兄ちゃんに洗われてたから、其れが当たり前に為ってるんだよ!」
「あっ!そう言えばそうだった、比較に為らないか?」
「ん~っ?どう言う事かな~、比較ってだ~れと比較してるのかな~?」
「マズッ!」
ヤッベ~声に出しちまった、是って逃げられるのか?。
「比較ってのもそうだけど、さっきのマズイってのはどう言う事なのかな~?」
完全に蛇に睨まれたカエル状態、可愛い妹だった筈じゃ無かったのか?。
「まぁ、聞かないで居て上げる、お兄ちゃんの考えてる事大体判るから・・」
「じゃあ洗うぞ?」
そう言いシャワーで髪を濡らす。
「上がったら晩御飯にしような!」
「ケンタだよねぇ、美味しいんだよね?」
洗い終え湯船に沈み温まる。
「さあ上がろう、御飯が待ってる腹もすいたしな、楽しみだったんだろう?」
嬉しそうに食べていた、此れなら恥をかいた甲斐があったな…。
「お兄ちゃん、アタシ良い子で待ってるから、必ず帰って来てね。約束だよ!」
*****
翌日は船橋の初売りに百貨店へ向かい、本人の見立てと、俺の見立ての服を買った俺の希望した服は貶なされて中々首を縦に振らなかったが・・。
「そんな子供っぽいのばっかり選んで、お兄ちゃんのセンス疑うよ!」
此れも駄目だったか、如何しても小さい時の記憶が邪魔をする・・・。
売り場を変え専門店街へ移った。
其処に目に留まった物が在った。
「此れならどうだ、気に入ってくれるか?」
目を丸くしていた。
「随分な服を選ぶんだね?、あたしに着て欲しいの?其れなら試着するね!」
と言い残し、試着室に消えて行った。
暫くして着替え終わったのか声が掛かる。
「お兄ちゃんそこに居る?ちょっと恥ずかしいんだけどこの服!」
「嗚呼、居るぞ何処にも行きゃしないよ、安心しろ。」
カーテンの隙間から顔だけ出していた、そんなに酷くは無いと思うのだが・・。
「じゃあ、見てくれる、笑わないって約束して!」
「判った、絶対笑わない約束する!」
カーテンを開けた・・。
一瞬息が停まった。
<そうか悠美のイメージだったんだ、それで其の服を選んだんだ>
「似合う?おかしくない?何とか言ってよお兄ちゃん!」
顔の造作こそ似て無いが、コイツが着るとホントに似合う、もう数年たてば本当にその服と釣り合うんだろうな、確かに少し早い気はするが、何処のどいつかが連れ去って行くんだろう…。
「何か言ってよ!似合わないの?何で黙ってるのよ?」
怒られて正気を取り戻したが、適した言葉が出て来ない、だから一言だけ伝えた。
「嗚呼、綺麗だ、ホントに綺麗だよ似合ってるよ・・」
「なんて事言うの、もう知らない!お兄ちゃんのバカ!」
<俺なんで怒られたんだろう?綺麗と言ったのがそんなにおかしいのか?>
元の服に着替えて出て来たのだが、顔は真っ赤に為ってるし…。
「さっきの言葉嘘じゃないよね?」
そう言い睨みつけて来た。
「嘘言ってもしょうが無いだろ、ホントに綺麗だったぞもう少し見て居たかったがな。」
「判った、これ買ってよ!、帰って来た時に着て上げる!」
そう言い背を向け其の侭レジに向かいどんどん進んで行く。
「一寸待てよ、他のは見なくて良いのか?」
そう言ったのだが。
「此れで良い、此れしか要らない!」
足を止めない、続けて一言。
「お兄ちゃんのバカ!もう知らない!」
トドメを刺された、俺なんか間違った事言って仕舞ったのか?何がいけなかったんだろうか?
そう思って居たが答えは出て来なかった。
自宅に帰り着き、夕食如何しようか考えて居たのだが、帰りに喰って来ればよかったなどと考えて居た、後悔先に立たず言葉とおりである。
「ご飯任せてくれる?、考えて有るし下ごしらえも済んでるから直ぐに作れるよ!」
ホントに良く出来た妹である、旦那に成る奴が羨ましいぞ!懐かしさを感じる光景だった。
「その前に、見てくれるあたしが選んで今日買って来た服、まだ見て無いよね?」
そう言われれば、サッサと選んで会計済ませる時には袋に仕舞われてたな。
「ジャーンこちらです!」
着替えて飛び出して来た。
「似合ってるぞ、可愛いの選んだな、此れなら彼氏も直ぐ出来るぞ!」
「何でそんな事言うの・・」
悲しそうな顔をして、呟いた・・。
「ゴメン俺なんか変な事言ったのか?」
「要らないそんな人、お兄ちゃんが誰かと結婚したなら考える・・・」
「ゴメンなもうそんな事言わないから、機嫌直してくれ」
そうとしか言えなかった。
「なぁ、もう一度俺が選んだ方を着て見てくれないか?」
「ヤダ!、帰って来てからじゃないとヤダ!」
「頼む、それを見たいから帰る気に為るかも知れないぞ!」
「判ったわよ!、着れば良いんでしょ!」
未だ怒りが収まらんか、しょうがないな・・。
「ハイ、此れで満足した?・・」
着替えて出て来たのだが・・、
「嗚呼・・・・・・・」
言葉が出なかった・・、
多分コイツがもう少し大人に為ったら・・。
「どうしたの?どこか変?」
此の面倒見が良くて、
世話焼たがりな処も・・・。
「嫌、悪いな、見惚れたぞ、もう少ししたら其れが似合う様に為れる筈だ!」
「結局似合って無いって事!そう言ってるんじゃない!」
何で怒りだしたんだ?
「如何してそう取る?間違いなく似合ってるぞ!」
性格は此奴と同じだった・・・。
「さっき、もう少しって言ったじゃん!似合って無いって事でしょ!」
「綺麗だぞ!まあ、未だ着られてるって言うのは在るが、俺が保証する綺麗だぞ!」
「へェ~、そうやって色んな人口説くんだ~!あたしも口説かれてるのかな~!」
「妹口説いて如何するってんだ?何も始まらんだろ?」
今でも無意識下で選ぶのか・・・。
「口説いて見なきゃ分かんないでしょ?試してみれば?」
「其れは此の間言ったばかりだろ?兄妹口説いて如何すんだ?やって見ても良いが何も変わらんと思うぞ!如何するホラホラやって見ても良いんだぞ?」
あの時此の手を放すんじゃ無かった・・・。
「なんか話を誤魔化されてる気がするんだけど?ネ~ェお兄ちゃん?」
ジト目が痛かった。
「じゃあ、やって見るか?多分何も起こらんぞ?」
兄貴をからかいやがって!
此奴とことん俺を馬鹿にしてやがる・・・・。




